葬儀・葬式

【香典マナー】書き方・渡し方や金額相場、ご辞退と言われた時の解説

今回は、香典マナーを解説。書き方・渡し方や金額相場、ご辞退と言われた時の対応などをまとめました。香典は、通夜・告別式に参列する時に供物の代わりに現金を包みます。故人への供養と同様に遺族が負担する葬儀費用を少しでも助けたい目的で始まった慣例です。

中山 みゆき

執筆者:中山 みゆき

冠婚葬祭ガイド

香典マナー……書き方・渡し方や金額相場、ご辞退と言われた時

【香典マナー】書き方・渡し方は?

通夜、告別式の両方に参列するのなら、香典は通夜に持参するのが一般的です。

一般的に通夜、告別式に参列する際、供物の代わりに現金を包みます。これは香の代わりに供えるお金、すなわち「香典」です。故人への供養と同様に遺族が負担する葬儀費用を少しでも助けたい目的で始まった慣例です。香典のマナーには、知らなかったでは済まされないことがたくさんあります。渡し方や金額相場、書き方など様々なマナーをまとめてみましたのでご参考にしてください。
 
<目次>
 

お葬式で渡す「香典」とは? 由来・意味 

香典とは、死者の霊に手向ける香を持参する代わりの香の料(代金)。古来の葬儀儀式の際、昔の人は故人との最後のお別れに米や麦、食料やお酒を持ち寄リました。それが時代を経て、香や花が弔慰(ちょうい)を表すものとなったのです。

現代ではお香などの葬儀で必要なものを喪家が全て用意するようになり、お香に代わる香の料との意味で現金を供えるようになりました。また近年は葬儀費用も高額になり、故人への供養とともにその遺族の葬儀費用の一部を負担する意味合いも強くなっています。
 

香典にまつわるマナー

香典を事前に渡すのはだめ? 通夜と告別式、両方に出席する場合はどっちで香典をもっていくの? ――慌てずに落ち着いて対応できるように普段からマナーを心得ておきましょう。

■通夜の前に香典を渡すのはNG!
香典を持参するタイミングは、通夜か告別式の時です。

もし不幸を知って駆けつけたような場合は、香典は必要ありません。悲しみの真っ最中の遺族に対しての最低限の礼儀です。訃報を知って駆けつけたのに香典をもっていけば前もって用意していたように思われても仕方ないでしょう。

香典を渡すのに適したタイミングが通夜か告別式なのかというと、どちらでもよいでしょう。最近はお通夜に参列したら告別式には参列されない場合もありますし、その逆の場合も、両方の場合もあります。

通夜に香典を供えたが、金額が少ないようなのでもう一度告別式で供えたという話を聞いたことがありますが、これは絶対にやってはいけません。両方出席はOKでも二度の香典持参は「不幸が度重なる」という意味で避けます。

■通夜と告別式の両方に参列する場合
通夜、告別式の両方に参列するのなら、通夜に持参するのが一般的です。その場合、告別式では記帳のみすればよいでしょう。家族葬の通夜の場合、香典を辞退するという案内がなければ持参します(※住む地域によってしきたりが異なる場合がありますので気を付けること)。

■手ぶらでの葬儀参加は避ける
例えば「供物・供花をご辞退します」と連絡があれば、供物・供花は「受け取りません」ということですので贈りませんが、手ぶらはNG。香典を持参します。

ちなみに「ご厚志ご辞退」は「香典も供物・供花も受け取りません」ということですので、この違いをよく理解しておくこと。得策は、香典を用意しておき、会場の受付の様子を見て決めることです。

また供物や供花はお香典と同じ意味合いのもの。贈るのは香典か供物どちらでも構わないのですが、故人への思いが強かったり、関係の深さによっては両方贈ってもよいものの、相手の負担にならない範囲で贈るのがマナーです。 

■香典は現金書留で郵送も可能
遠方での不幸の場合は、持参する時と同じように「不祝儀袋」に入れ、郵便局の現金書留用の封筒に入れて送ります。現金をそのまま送らないように注意してください。また、不祝儀袋の表書き、中袋の住所、氏名、金額など書くのを忘れないように。現金書留の封筒に住所が書かれているからといって香典袋に書かないのも、後で家族の方が整理する時に困るためいけません。

また香典と一緒にその時に伺えなかったことへのお詫びを書いた手紙を同封するとよいでしょう。お悔やみ状として送る手紙は、封筒も便箋も模様や色のついていない白一色のものを選ぶこと。「不幸が重なる」といい忌み嫌うため、封筒は内側に別の紙がついている二重封筒は使用しません。また、黒のペンで縦書きで書きましょう。
 

香典の金額相場

香典の金額は故人との関係性が重要なポイント。基本的に故人との血縁関係が近いほど金額は多くなります。

香典の金額は故人との関係性が重要なポイント。基本的に故人との血縁関係が近いほど金額は多くなります。

20代~50代の年代別、親・孫など親戚、上司や同僚など職場、近所・友人・知人など色々なケースにおける金額相場について一般的な事例を解説します。

■両親・兄弟姉妹など身内が亡くなった場合は香典を出す?
両親、兄弟姉妹などの身内が亡くなった場合に香典を出すのかと疑問を持つこともあるでしょう。身内であっても、喪主以外の人は喪主に対して香典を出すのが基本です。

また同居している/していないなどを基準にして、香典を出すか出さないかを決めることが多いようです。ただし祖父母が亡くなった場合、結婚して家庭をもっている孫は同居/別居にかかわらず香典は出します。一方、独身の孫の場合は、喪主が自分の親になり喪主側になるわけですから香典は出しません。

その他の例については、以下を参照してくださいね。
  • 夫または妻を亡くした時、喪主を子が務めた場合、残された夫または妻は香典を出しません
  • 両親が亡くなった時、同居している兄弟姉妹のうちの誰かが喪主を務める場合、あとの兄弟姉妹は香典を出しません
  • 両親が亡くなった時、同居している兄弟姉妹が喪主を務める場合、その他の別居している兄弟姉妹は香典を出します。
※両親が亡くなった時の香典の目安は10万円前後。兄弟姉妹が亡くなった時の香典の目安は3万~5万円です。

■親戚が亡くなった場合は香典を出す?
親戚が亡くなった場合でも、香典を出すのか出さないのか迷うことがありますよね。この場合は結婚して所帯を持っているかが判断の基準になります。結婚している場合は親と同居している、していないに関わらず香典を出します。

独身の場合はどうなのでしょうか。親と同一と考え出さなくても差し支えはありません。しかし独身であっても、社会的な地位がある方などは出すのが一般的です。反対にほとんどお付き合いのない親戚の場合では、親が家の代表として香典を出しますので必要ないでしょう。

※伯父伯母が亡くなった時の香典の目安は1万~3万円。親が出す金額より少なめにします。

■会社関係の故人に香典を渡す場合、上司や同僚との関係、年齢別で変わる?
勤務先の上司・同僚・部下やその家族が亡くなった場合には香典を包みます。その場合に香典を出すか出さないかは、その方との関係などで決まります。また自身の年齢によって相場が異なります。

<年齢ごとの香典の金額目安>
  • 20代:3000円~5000円
  • 30代:5000円~1万円
  • 40代:5000円~1万円
  • 50代:5000円~2万円
※目安としては3000円~2万円になります。

■友人・知人が亡くなった場合の香典はどうする?
友人知人の場合、同じくその家族が亡くなった場合には香典を包みます。香典を出すか出さないかはその方との関係などで決まります。

※香典の金額目安 5000円~1万円

■ご近所さんが亡くなった場合の香典はどうする?
ご近所や同じくその家族が亡くなった場合にはお香典を包みます。香典を出すか出さないかは、その方との日頃の関係などで決まります。

※香典の金額目安 3000円~5000円

香典の金額はあくまでも目安です。その時の状況やご自身の気持ちで判断すれば良いでしょう。また会社や町会などで決まっている場合もありますので、その場合はそれに従うようにしてください。
 

香典の金額に「偶数額」はタブー

香典に限らず、お金に関することはとてもデリケートのこと。香典の金額に偶数額はタブーといわれています。「香典の金額が偶数=2で割り切れてまう→故人とのつながりを切ると連想する→よって偶数はいけない……」と関連付けられます。

しかし最近の傾向では偶数か奇数かを気にされる方は少なくなってきています。

また、住む地域によっては偶数の金額を包んでも問題ないという考えもあるかと思ますが、迷った時は、慣習どおりに奇数にしておくと問題ありません。

また、不吉とされいる4と9の忌みの数は知っておくとよいでしょう。なぜなら「4=死」「9=苦」を連想させるため、お悔みの席では使われません。
 

香典袋の書き方:表書き(宗教別)

■仏教
表書きは「御霊前」「御香典」「御香奠」「御香料」などがあります。
「御仏前」という表書きは一般的には四十九日以後の法事に用いますが、浄土真宗は葬儀でも「御仏前」とします。

■神道
表書きは「御玉串料」「御榊料(おんさかきりょう)」「御神前料」「御神饌料(ごしんせんりょう)」などがあります。「御霊前」も使用OK。

■キリスト教
「御花料」……カトリック、プロテスタントともに用いられる表書き
「御ミサ料」……カトリック教会の葬儀に
「御霊前」も使用OK

■無宗教
仏式、神式、キリスト式など共通に使用できる表書きが「御霊前」ですが、蓮の模様があるものは仏式ですので、相手の宗教がわからない場合は模様の無い「御霊前」を使用します。ただし、浄土真宗やキリスト教のプロテスタントでは正式ではありませんので注意しましょう。
 

香典袋の書き方:氏名・金額

■氏名
名前は中央下にフルネーム(姓と名)を香典の上書きよりやや小さめに書きます。上下、左右のバランスがとれていれば見やすくて丁寧な印象になるでしょう。中袋がある場合は、表側に金額を、裏側に住所・氏名を記入します。中袋がない場合は、裏側に直接金額と住所を書きます。

■連名の場合
右側より地位・年齢が上の人から、左側にむけて下位の人の順で書きます。地位・年齢の関係がない場合は五十音順に。3名くらいが限度です。

■金額の書き方
漢数字を使って縦に書きます。「一金○○円也」と書く方もいますが、「一」と「也」は不要。シンプルに「金 ○○円」でOK。書き方について「一万円? 壱萬圓?」と悩む方もいますが、どちらでもかまいません。数字だけ旧字にして「壱万円」というのがよく使われてます。

※金額に使われる漢字
一「壱」・二「弐」・三「参」・五「伍」・千「阡」・万「萬」・円「圓」
 

香典の渡し方

香典は受付直前まで袱紗に入れておき、受付で取り出して渡します。香典を袱紗の上にのせ、相手から見て文字が正面になるよう向きを変え、両手で渡します。

香典は受付直前まで袱紗に入れておき、受付で取り出して渡します。香典を袱紗の上にのせ、相手から見て文字が正面になるよう向きを変え、両手で渡します。

香典を出すときは袱紗(ふくさ)に包んで持参します。カバンやスーツのポケットにむき出しのままの状態では、しわになったり角が痛んだりするばかりか、渡すときも丁寧さが欠けて、相手に失礼な印象を与えます。また購入した時のセロハン袋に入れたまま出すのもマナー違反です。

袱紗には台付きや爪付きのものがありますが、おすすめは略式の手軽な金封タイプのもの。不祝儀袋を挟み入れて使える財布型、封筒型になっており、折りたたむ手間がいらないため便利です。

弔事における袱紗の色は、紺、深緑、灰緑、緑、うぐいす、灰青、グレーなど地味な色がふさわしいとされています。おすすめの色は紫。慶弔どちらにも使えるので1枚持っていると便利です。

■香典は袱紗に包んで取り出す
香典は受付直前まで袱紗に入れておき、受付で取り出して渡します。渡すときは香典を袱紗の上にのせて、相手から見て文字が正面になるよう向きを変え、両手で渡します。不祝儀の場合は袱紗ごと渡さないように注意が必要です。袱紗を返すことで不幸が重なるとされ縁起が悪いとされています。

■お悔やみの言葉を述べながら香典を渡す
弔問の際の受付でお香典を渡すときには、お悔みの言葉を述べるのが基本です。遺族に対しては、近くに行った場合を除いては、わざわざ近づいて言葉をかける必要はありません。焼香の際に黙礼だけでも気持ちは十分伝わります。また、近くに行った場合で、遺族に対して初対面の場合は、個人との関係を述べてからお悔みを述べます。
 
  1. 会場に着いたら受付をします。受付では、受付係りの方に深く一礼します。 そして簡単な挨拶をします。「このたびはご愁傷さまでございます」とひとことお悔みの挨拶をします。
  2. バッグなどから袱紗に包んだ香典を取り出します。 次に袱紗を手早くたたみ、香典をその上におきます。その時は自分から見て香典が正面に向くようにします。
  3. 香典を相手から見て正面(表書きが受付の係りの人に読めるように)になるように右向きに回転させます。そして「ご霊前にお供えください」と差し出します。最後に芳名帳に記入します。

※家族葬など受付を設けていない場合、通夜に遅れて受付業務が終了していた場合などは、直接遺族へ手渡しても大丈夫です。祭壇に直接置くこともありますが、その場合は関係者に声をかけておくこと。
 

報告とお礼「香典返し」の選び方

香典返しは「半返し」といわれ、頂いたご厚志(お香典・玉ぐし料・お花料・お供え)の半分程度の品物を返すとされています。以前、関西においては3分の1のお返しが一般的でしたが、今は基本的に半返しと覚えておけばよいでしょう。なお関西では香典返しのことを「満中陰志」と呼びます。

香典の額は人によってまちまちのため、一人一人に見合った品物を送るのは手間がかかるもの。あらかじめ香典の金額にあわせて3種類ぐらいの品物を用意して振り分けるのがよいでしょう。

お返しの品物を送る際には、喪主の挨拶状、またはお礼状を添えて送ります。挨拶状、お礼状は「忌が明けました、お世話になりありがとうございました」という感謝の気持ちを表すため、また忌明けの法要が滞りなく終えたご連絡をするものです。

香典返しに何を贈ればいいのかというと、お香典は不祝儀に対するお返しですので、後に残らない食品やすぐに使ってしまう日用品などのいわゆる「消えもの」が基本です。また内祝いで人気のカタログギフトを送る方も増えています。


悲しいですが、人はいつか人生を終える運命です。それが突然やってくるものだとしても、マナーを心得て静かに見送ることが遺族への慰めになります。事前の知識があれば突然の別れでもきちんと対応できるもの。故人を偲びながら香典を用意して、安心して旅立っていけるように祈りたいものです。


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