年金(国民年金と厚生年金)は、年金保険料を10年以上納めた人が原則65歳から受け取ることができますが、受け取り時期を60歳から70歳の間で年金受給者が自由に決めることも可能です。65歳以降に受け取ることを「繰下げ受給」、65歳未満で受け取ることを「繰上げ受給」といいます。

「繰下げ受給」では、1カ月繰り下げるごとに0.7%増額された年金額を生涯受け取ることができます。一方で「繰上げ受給」では1カ月繰り上げるごとに0.5%減額された年金額を生涯受け取ることになります。

※2022年4月からは、75歳まで繰り下げることが可能に、また、繰上げ受給の減額率が0.4%に変更される予定です。

たとえば、老後も「働けるだけ働く」ことで収入を得られるのであれば、年金を「繰下げ受給」して、老後の収支を安定させることもできます。

オールアバウトが2021年5月に実施したアンケート結果を紹介した記事「525人に聞いた、何歳まで働く予定? 第3位は「60歳」、第2位は「65歳」、第1位は早期リタイアかそれとも……」では、多くの方が、定年後も「働けるまで働く」という回答をされていました。

それでは、その意向にあわせて年金も「繰下げ受給」しようと考える人も多いといった傾向は見られるのでしょうか。今回は、年金の受け取り時期について「繰下げ受給」「繰上げ受給」の意向について調査した結果を発表します。

参考記事:75歳から年金を受給すると、本当にお得なの? 繰下げ受給のメリットとデメリット
 

(1)実施したアンケートの回答者属性

今回、インターネット上での調査を実施し、525人の方に回答をいただきました。回答者の年代別人数については以下の通りです。
属性
 

(2)繰下げ受給の意思が最も高いのは55~59歳

まずは年金受給の開始について、聞いた結果が以下になります。
 
年金受給タイミング
調査結果によると、30~34歳を除いては、年齢が高くなるほど繰下げ受給を考えている割合が高くなり、55~59歳の方の4人に1人が繰下げ受給を考えているという結果になりました。

この結果に対して、All Aboutのマネーガイド、坂口猛さんにコメントをいただいています。

「まず、年金の繰上げや繰下げ支給について、考えていない方や考えたことがない方、そして制度を知らない方の割合は、全体として約78%いらっしゃいました。

繰り上げるか、繰り下げるか、の判断については、『将来いくら年金がもらえそうか』であったり、『将来の生活費に占める受け取る年金の割合』など、『将来の収支計画』を立ててみないと判断しがたいと思います。『定年後の収支計画を立てたことがあるか』をとったアンケートで、計画を立てたことがあると答えた方が少なかったという点からもこの結果は理解ができます。

一方で、繰上げを考えている人が全体で約9%、繰下げを考えている人は、全体で約13%となっています。55歳以上で繰上げを考えている方は、約17%、繰下げを考えている方が25%となっており、全体平均よりも、数値が高くなっています。これは、年金の受給時期が近くなってきているため、より、年金についての意識が高まっていると言えるのではないでしょうか。

繰上げをしてしまうと、将来的にずっと減額された年金額になってしまうことや寡婦年金や障害基礎年金、遺族年金や振替加算などにおけるデメリットもありますので注意が必要です。日本年金機構のHPにも『繰上げ請求の注意点』が掲載されておりますので確認してみてはいかがでしょうか」。

いかがでしたでしょうか。坂口さんは「大切なことは、まず、『将来の収支計画を立ててみること』だと思います」ともコメントをされていました。まだ年金受給の時期について考えたことがないという方は、これを機に収支計画を立て、年金受給の時期を繰り上げたほうがよいのか、繰り下げたほうがよいのか考えてみてください。

コメントをくれたのは…… 
坂口 猛さん
 
坂口猛さん

企業内外におけるお金に関する実務経験30年を活かしたアドバイスには、説得力があり、実務的であると定評があるFPの1人。また、正確な言葉の定義よりも、わかりやすさを重視しているため、初心者でもわかりやすい説明が特徴です。税金や相続・事業承継、副業・開業者への支援やクラウドを活用した働き方改革のための効率的なスキームづくりなどの支援を得意としており、All Aboutのガイドやセミナー講師としても精力的に活動中。

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