国民年金の被保険者になれるのは20歳から60歳まで
国民年金は20歳から60歳までの人が加入しなければならない強制加入の保険制度で、国が保険者です。国民年金の被保険者は、老齢や死亡、障害など何かあったときに手続きをし、国から給付(年金等)を受け取ります。国民年金の被保険者には第1号被保険者(自営業者、学生、退職者等)、第2号被保険者(会社員・公務員)、第3号被保険者(第2号被保険者の被扶養者)があります。60歳以降も、国民年金を支払うことができる任意加入制度
任意加入とは国民年金の被保険者から適用除外されている人が、国民年金の第1号被保険者(自営業者、学生、退職者等)として加入できる制度です。保険料納付済期間が最長480カ月になるまで任意加入して年金保険料を支払うことができます。国民年金に任意加入できるのは、下記のすべてを満たす人です。【1】日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の人
【2】老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない人
【3】20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480カ月(40年)未満の人
【4】厚生年金保険、共済組合等に加入していない人
【5】日本国籍がなくても永住許可をもらっている人(在留資格が医療滞在や旅行ロングステイ以外の人)
また次のいずれかを満たす人も任意加入できます。
【1】年金の受給資格期間を満たしていない65歳以上70歳未満の人。
【2】外国に居住する日本人で、20歳以上65歳未満の人。
国民年金に任意加入するとどうなるの?
国民年金に任意加入すると月額1万6520円(令和5年度)の年金保険料を支払うこととなります。支払った年金保険料は全額社会保険料控除にできるので、収入がある人は節税につながるでしょう。任意加入して年金保険料を支払うことで、65歳以降にもらえる(60歳から64歳で繰上げ受給した場合はその年齢)老齢基礎年金が増額されます。増額される額は以下のように計算ができます。
79万5000円(令和5年度の新規裁定者老齢基礎年金の満額)×任意加入月数÷480カ月(昭和16年4月2日以降生まれの人の場合)
例えば、昭和38年8月2日生まれの人が、60歳から1年間、国民年金に任意加入する場合、65歳以降の老齢基礎年金が年額で約1万9875円(79万5000円×12カ月÷480カ月)増額されます。1カ月の任意加入なら年額で約1656円増額されます。
60歳以上で国民年金に任意加入したほうがいいのは、どんな人
60歳以上で国民年金に任意加入する目的とは、保険料納付済期間を480カ月に近づけ、老齢基礎年金の満額(令和5年度、新規裁定者・79万5000円)に近い額をもらうためといえます。1カ月で1万6520円の保険料を支払い、年額で約1656円増えるわけですから、1カ月分の元を取るには約10年かかる計算になります。厚生労働省の令和4年簡易生命表によれば、男性の平均寿命が約81.05歳、女性の平均寿命が約87.09歳ですので、65歳以降に老齢基礎年金を受け取り、75歳以降も平穏に長生きするなら国民年金の任意加入はお得といえます。
65歳以上で、年金の受給資格期間10年を満たしていない人は特例任意加入制度の申し込みをしましょう
以前は老齢基礎年金を受けるためには、国民年金の受給資格期間(つまり、年金保険料を支払う期間)が25年以上必要だったのですが、平成29年8月より、国民年金の受給資格期間が10年あれば老齢基礎年金を受けられるようになりました。
1965年(昭和40年)4月1日以前生まれで、老齢基礎年金の受給資格期間が10年に満たない65歳以上の人は、申し出をすることで65歳から70歳未満の間で受給権が発生するまで国民年金保険料を納めることができます。受給資格期間が10年になったら請求手続きを済ませ、老齢基礎年金を受けることができるようになります。
【関連記事】
国民年金の満額とは?満額もらえない人が満額に近づける方法【ガイドが動画で解説】
国民年金保険料の支払いは何歳から何歳まで?
参考
日本年金機構「あなたも国民年金を 増やしませんか?」