定年・退職のお金/老後の生活設計・ライフプラン

60代が子どもや孫へのお金の使い方で気をつけたいこと3つ

60代になり、子どもが独立して子育てから開放された人も多いと思います。「子どもや孫にお金を多少でも援助したい」という親心を抱く人も多いと思いますが、お金を援助する時には気をつけたいことを3つ紹介したいと思います。

執筆者:All About 編集部

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老後に気をつけたい子どもへのお金の援助って?

60代になり、子育てや教育費の支出から解放されたものの、何かと親は子どもの生活が気になるものです。これからも子どもや孫にお金の援助をしたいと思っている方に、注意したいお金のことを解説します。
 

注意その1 兄弟姉妹平等にあげること

子どもが複数人いる人は、平等に援助することが大切です。例えば子どもが3人いる場合、長男には苦労させたから多めにあげ、次男には何もあげない、などと、金額に差をつけてはなりません。受け取った子どもたちに不公平感が生じ、子ども同士の関係がギクシャクしかねません。お金を援助する時には、みんな平等にすることです。
 

注意点その2 1年間に110万円以上贈与すると贈与税がかかる

贈与税とは、贈与を受けた人(子ども)が負担する税金です。贈与税には、暦年課税制度(一般贈与)と、相続時精算課税制度の2種類あります。今回は一般的な暦年贈与についてお伝えします。

暦年課税とは、子ども(もらう人)1人あたり、1年間(1月1日~12月31日まで)に贈与を受けた金額に対して課される税金です。この暦年課税制度には非課税枠があり、贈与を受けた子ども1人につき年間110万円まで非課税になります。1年間に複数回、または父と母とそれぞれから贈与を受け、子ども1人につき1年間の合計贈与額が110万円を超えてしまうと、贈与を受けた子どもに贈与税が課されてしまいます。思わぬところで子どもに税金の負担が生じてしまう可能性があるので注意が必要です。
 

注意点その3 子どもに援助し過ぎて自分が使うお金がなくなってしまった

60代になると、今まで健康で大きな病気をしたこともない人でも、医療費や介護費用が必要になることが多くあります。「長寿社会」でもあり、思わぬケガをしたり、病気になったりすることがあります。自分の健康維持に必要なお金を残しておく必要があります。「私は健康だから大丈夫」と考えるのは禁物です。生活費以外の予備資金として500万~1000万円を用意しておく必要があります。子どもや孫に援助する以前に自分のこれからの老後の生活をきちんと成り立たせることが大事なのです。
 

お金を渡しすぎない。自分の老後資金として残しておく目安は? 

少し前の話になりますが、2019年に金融庁が発表した「老後2000万円問題」を覚えている人も多いのではないでしょうか。

高齢者夫婦2人の日常生活費は月に22万円程度といわれています。ゆとりある生活のためには平均で36万円程度が必要、という調査結果もあるようです。

老後に2000万円が不足するという金額は、平均的な収入・支出の状況から、男性が65歳以上、女性が60歳以上の夫婦では、年金収入に頼った生活設計だと毎月約5万円が不足する、65歳から年金受給開始して、その後30年間に必要な金額として提示されました。

老後に必要な金額はその人の生活スタイルや家族状況、預貯金等によって異なります。まずは受給年金額や、保有している預貯金を把握することです。毎月の予算を決めて、その予算以内で生活するよう心がけていきましょう。

気をつけたいことは、たとえお金が5000万円あるから老後は大丈夫と過信してはなりません。手元に大きなお金があると支出も多くなる傾向があります。退職して給与収入がなくなると、それに伴うお金(経費)もかからなくなります。会社の同僚とのつき合いもそれほど多くなくなるでしょう。

退職とともに必要な生活費が少なくなると思います。目安としては、今までの生活費の7~8割くらいで生活するように心がけていくといいと思います。急に生活費をダウンサイジングすることは難しいかもしれません。早い段階で日々の生活費を削減していきましょう。
 

お金に苦労させたくないという想いは、子どものためにならないことも?

子どもたち世代は、お金の教育を受けてこなかった人も多いでしょう。親が世話を焼くよりも、子どもが自分で学び、働き、お金を稼ぎ、貯金や資産運用することで、お金の勉強をすることができるのです。

高齢者と違い、若い年代の人は損失を受けても取り戻す時間があります。親が必要以上にお金を渡してしまうと、お金の稼ぎ方、使い方、資産運用の勉強をする機会を失いかねないのです。子どもたちに必要以上のお金を渡すのではなく、お金の勉強の機会を作ってあげることが子どもへ一番の「贈り物」になるでしょう。
 
いかがでしょうか。子どもへのお金の援助をする際に、これらのことを心にとめておくことで、子どもたち、親である自分たちも、老後生活が「夢のある生活」になることでしょう。

監修・文/深川弘恵(ファイナンシャルプランナー)
 
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