ロック・ポップス

映画『はな恋』で再注目!大ヒット曲「勿忘」を歌うAwesome City Clubって何者?

菅田将暉、有村架純主演の映画『花束みたいな恋をした』が大ヒットを記録する中、劇中の「ファミレスのお姉さん」のバンド、Awesome City Club(オーサムシティクラブ)が注目を集めています。インスパイアソング「勿忘」以外にも名曲ぞろいのAwesome City Clubについて、その魅力を解説します。

鈴木 亮介

執筆者:鈴木 亮介

ロック・ポップスガイド

菅田将暉、有村架純主演の映画『花束みたいな恋をした』が大ヒットを記録する中、劇中の「ファミレスのお姉さん」のバンド、Awesome City Club(オーサムシティクラブ)が注目を集めています。映画のインスパイアソング「勿忘」以外にも名曲ぞろいのAwesome City Clubについて、その魅力を解説します。

『花束みたいな恋をした』予告編
 

【2013~2014年】アジカン・Gotchもデビュー前から支持

Awesome City Clubは2013年、それぞれ別のバンドで活動していたatagi(Vocal & Guitar)、モリシー(Guitar & Synthesizer)、マツザカタクミ(Bass & Synthesizer)、ユキエ(Drums)により結成。2014年にサポートメンバーだったPORIN(Vocal & Synthesizer)が正式加入し、翌2015年にメジャーデビューを果たします。その後2019年にマツザカタクミ、2020年にユキエが脱退し、現在は3人体制としてライブではドラムやベースのサポートを入れながら活動しています。
Awesome City Club

映画『はな恋』で再注目! Awesome City Club

男女ツインボーカルということに加え、ロックからソウル、ダンスミュージックまで、メンバー個々の嗜好の幅広さが融合した唯一無二のサウンドは、デビュー前から後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)ら同業者からも熱烈な支持を集めていました。

結成当初は「架空の都市オーサムシティのサウンドトラック」をコンセプトに、楽曲制作をしてはネット上に公開するという活動を続けていた彼ら。インタビューで「(自分たちが)他のどんなアーティストと並べられたら本意か」という質問に、松任谷由実、山下達郎、平沢進、岡村靖幸、宇多田ヒカル、ペトロールズといった名前を挙げています(※1)。

初期曲の中でも支持の厚い「Lesson」
 

【2015~2017年】10年代シティポップシーンを牽引

2015年のメジャーデビューからの2年間は、Chara、米津玄師らのプロデュースで知られるmabanuaをプロデューサーに迎え、『Awesome City Tracks』と題した7曲入りのアルバムを半年ごとに計4枚リリース。ハイペースでの楽曲リリースを続け、ブラックミュージックを昇華したハイセンスなサウンドに、男女ツインボーカルによる曲の幅広さが相乗し、2010年代のネオシティポップシーンを牽引します。

ちなみに、多くの楽曲を作詞・作曲しているatagiは、松本孝弘(B'z)、藤森真一(藍坊主)、SHAKALABBITS、GRANRODEO、アカシック、川崎鷹也ら多数のミュージシャンを輩出している名門・ミューズ音楽院の出身です。

2017年リリース「青春の胸騒ぎ」

 

【2018~2019年】PORINのモデル活動なども注目

Awesome City Clubの曲作りの中心となったのはatagiですが、メンバー個々に楽曲制作・提供や他バンドでのツアーサポートを行うなど、メンバーそれぞれの多彩さが伺えます。中でもPORINはファッション雑誌でのモデル活動や、自身のアパレルブランド「yarden」を立ち上げるなど、活躍の幅を広げます。

その後、メンバー2名の脱退に加え、メジャーデビュー5周年となる2020年にレコード会社をavexに移籍するなど、バンドにとっては大きな転機を迎えます。

2018年リリース「SUNNY GIRL」
 

【2020~2021年】「勿忘」の大ヒット

コロナ禍でも楽曲制作を止めなかった彼ら。ESME MORI、トオミヨウ、永野亮、いしわたり淳治といった共同制作者とともに2020年に『Grow apart』、2021年に『Grower』と2枚のフルアルバムをリリースしました。

そして今、注目を集めているのが映画『花束みたいな恋をした』のインスパイアソング「勿忘」(わすれな)で、MVの再生回数は2600万回を超える大ヒットとなっています(※2021年5月6日現在)。

2021年リリース「勿忘」
映画『花束みたいな恋をした』の脚本・坂元裕二が彼らのファンで、PORINに本人役での映画出演をオファー。その試写を観て感銘を受けたatagiが映画を題材に作りたいと志願し、「勿忘」が誕生したといいます。
 

進化し続けるオーサム、次の一手は

2021年のインタビューでatagiが「シティポップやダンスミュージックとの決別」を語ったように(※2)、常に姿を変え進化し続けるその様は、まさに「都市」。次はどんな一手を見せてくれるのでしょうか。

一方で、ネットを通じて音楽を享受できることのメリットの一つが、過去のヒット曲をいつどこでも楽しめること。「勿忘」のヒットをきっかけに、過去のAwesome City Clubの楽曲も再注目を集めています。

これからAwesome City Club沼にハマりたい、シティポップの神髄に浸りたい、というリスナーには「アウトサイダー」「今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる」などが収録された2017年リリースの『Awesome City Club BEST』がまずはオススメです!
 
【参考】
※1 ele-king 2015年のインタビュー記事より
http://www.ele-king.net/interviews/004410/
※2 mikiki 2021年のインタビュー記事より
https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/27701

Awesome City Club 公式サイト
https://www.awesomecityclub.com/

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