松たか子主演のカンテレ・フジテレビ系連続ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』は、作品の内容に加えて毎週変わるエンディングテーマ曲「Presence」も大きな話題を集めました。代わる代わる登場する「feat.」が注目されましたが、この「feat.(フィーチャリング)」と「with」の違い、あなたはご存じでしょうか?

 
Presence I

Presence I

 

「松たか子さんがラップ」構想実現の背景は

「Presence」は本ドラマの脚本を手掛ける坂本裕二さんとプロデューサーを務める佐野亜裕美さんにより「主演の松たか子さんにラップをさせたい」と着想。「3人の元夫」役である松田龍平さん、角田晃広さん(東京03)、岡田将生さんらが週替わりでリリックを刻み、ドラマのサウンドトラック(劇伴)をサンプリングするといった構想が繰り広げられました。

その後、佐野プロデューサーのTBS時代の先輩であり「水曜日のダウンタウン」で知られる藤井健太郎さんが新進気鋭のトラックメーカーSTUTSにオファーし、構想の実現に至ったといわれています。
画像はTwitterより(https://twitter.com/STUTS_atik/status/1381981189511147522)

画像はTwitterより https://twitter.com/STUTS_atik/status/1381981189511147522

 

敬意が表された「featuring」

「Presence I」ではラッパーKID FRESINOと松たか子による男女の掛け合いが楽しめましたが、翌週以降はエンディングのラップ部分が毎回異なるアーティストにより制作され、3exes(=3人の元夫)と名乗る岡田将生、角田晃広、松田龍平がコーラスおよびラップに参加し、注目を集めました。改めて楽曲のクレジットをまとめます。

・Presence I (feat. KID FRESINO)
・Presence II (feat. BIM, 岡田将生)
・Presence III (feat. NENE, 角田晃広)
・Presence IV (feat. Daichi Yamamoto, 松田龍平)
・Presence V (feat. T-Pablow)  
Presence II

Presence II

「Presence」の全てのトラックおよびプロデュースを担当しているのはSTUTS。イントロのメロディおよび楽曲の中核となる松たか子の歌唱パート(=サビ)は不変であるため一つの楽曲として認識されますが、ラップ部分が毎回様変わりすることで、服を着替えるように、メイクを変えるように、多彩な表情を楽しむことができ、楽曲の奥深さを認識できます。

今回の楽曲制作にあたっては「KID FRESINO、BIM、NENE、Daichi Yamamoto、T-Pablowをフィーチャリングに迎え」と発表され、「feat.(フィーチャリング)」という表記がされています。  
Presence III

Presence III

「feat.(フィーチャリング)」には一般的に「客演(ゲスト)」という意味がありますが、語源の「feature(=特徴)」に由来するように「偉大なアーティストを招く」といったリスペクトの意味合いが含まれます。

あくまで「主と客」なので、「A feat. B」の主役はAなのですが、Bにはネームバリューのあるアーティストや、Aにとっての先輩などが起用されます。過去には「青山テルマ feat. SoulJa / そばにいるね」「SoulJa / ここにいるよ feat. 青山テルマ」「MISIA / アイノカタチ feat. HIDE(GReeeeN)」、「平井堅 / 怪物さん feat. あいみょん」などのリリースがあります。
 

with、コラボなどとの違いは?

ところで「Presence」のアーティスト名は「STUTS & 松たか子 with 3exes」となっています。「STUTS & 松たか子」の「&」には「対等」の意味が含まれていますが、「with」には「対等」というよりも「付属」というニュアンスが含まれていることが多いようです。実際に「大豆田とわ子(=主役)と3人の元夫(=3人まとめて固有名詞なし)」というタイトルのニュアンスを表現するのに「with 3exes」という表記はしっくり来ますよね。

アーティスト名だと「hide with Spread Beaver」、「安室奈美恵 with SUPER MONKEY'S」、「CHiCO with HoneyWorks」など「前面に出る個人アーティスト with 一歩引いたバックバンド/バックダンサー」のような使われ方をしていることが多いようです。「ブルゾンちえみ with B」(ブリリアン)やいいとも青年隊の「With T」などを思い浮かべる人もいるでしょうか。  
Presence IV

Presence IV

対等のコラボレーション、共演の場合には「&」や「+」も使われますが、近年は相乗効果の好印象がある「×」を使うケースもあるようです。クレジットではないですが、実際に本作「Presence」の配信リリースを最初に報じたネットニュースの中には「松たか子×STUTS×KID FRESINOのコラボ」というタイトルを付けた記事も見られました。

さらに、複数アーティストが同一の盤でスプリットシングルをリリースする際のアーティスト表記には「T.M.Revolution | SCANDAL」や「KANA-BOON / シナリオアート」などがあります。

コラボレーションというよりは両アーティストのファンを取り込んで売り上げ数を伸ばし、ランキング上位に入る戦略として考えられたものですが、CDより配信が主流となりつつある現在は、異なるアーティスト名として登録されてしまうため、却ってデメリットとなってしまいそうです。

ただし、2020年にオリコンシングルランキングの年間1位を獲得したのはジャニーズの2組のデビューシングル「Imitation Rain/D.D.」で、そのアーティスト名は「SixTONES vs Snow Man」でした。

この他、ドラマや映画の役名として楽曲をリリースする際には「NANA starring MIKA NAKASHIMA / GLAMOROUS SKY」「嵐/矢野健太 starring Satoshi Ohno / Believe / 曇りのち、快晴」など「starring(スターリング)」という表記が使われることもあります。
 

サンプリングという温故知新

ところで、「Presence」を生んだSTUTSは、坂東祐大が手掛けた同ドラマの劇伴「#まめ夫 序曲 ~「大豆田とわ子と三人の元夫」」をサンプリングし「Presence」のイントロを制作したといい、先日その模様を自身のYouTubeチャンネルに公開しました。

既に制作された音楽の一部を再構築して新たな楽曲を作るこの「サンプリング」という手法も、先人へのリスペクト、オマージュ、愛情を込めた音楽の一つの楽しみ方と言えます。楽曲の一部パートをfeat.として開放し、さまざまな色を塗ってもらう一方、そのキャンバス自体には別のアーティストの作品とのコラボ要素も含まれています。

こうしてみると「Presence」は実にドラマチックな一曲と言えますね。  
Photo:seiji shibuya

Photo:seiji shibuya




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