5位:『ミナリ』(2021年3月19日公開)
アメリカの映画賞レースを席捲中の『ミナリ』は、韓国系アメリカ人監督のリー・アイザック・チョンの作品。農業で成功しようとアメリカにやってきた韓国人のジェイコブ(スティーブン・ユァン)は、成功した姿を二人の子どもに見せたいと前向きだけれど、妻のモニカ(ハン・イェリ)は少年のように夢を追う夫に不安を抱いている……というアメリカンドリームを目指す家族の物語。 大農園を夢見る夫と現実的な妻の対比やアメリカンドリームはそう簡単に手に入らないという現実がリアルに綴られています。妻の母がサポートに来たり、農園にトラブルがあったりとさまざまな出来事が起こる中、登場人物たちの感情が激しく揺さぶられる様がスクリーンを通して伝わってくる!
そばから見ると崖っぷち状態なので観ているこちらもハラハラし、彼らから目が離せなくなる力作。ちなみにリー・アイザック・チョン監督の次回作は、日本のアニメ映画『君の名は。』のハリウッド実写版です!
監督:リー・アイザック・チョン
出演:スティーヴン・ユァン、ハン・イェリ、ユン・ヨジョンほか
4位:劇場版『奥様は、取り扱い注意』(2021年3月19日公開)
綾瀬はるか主演、西島秀俊共演で2017年に大ヒットしたドラマ「奥様は、取り扱い注意」(日本テレビ系)の劇場版です。元特殊工作員(綾瀬はるか)が結婚し、専業主婦をしながら町で起こるトラブルを解決していくというドラマ版の物語から一転、劇場版『奥様は、取り扱い注意』は、記憶喪失になったヒロインが国家レベルの事件に巻き込まれていくというスケールの大きな物語。 西島秀俊はヒロインの夫、かつ、公安警察官。でも妻は元工作員であるため、公安であることは隠しています。妻の記憶が戻り、公安に協力しなかったら彼女を殺さないといけないという夫婦関係もスリリングで見逃せません!
綾瀬と西島のアクションシーンもふんだんに盛り込まれ、特に、綾瀬はるかのアクションがびっくりするほどすごい。こんなに動ける人だったとは! ぜびその目で確かめてください。
監督:佐藤東弥(『カイジ』シリーズなど)
出演:綾瀬はるか、西島秀俊ほか
3位:『ノマドランド』(2021年3月26日公開)
アカデミー賞最有力といわれている作品がいよいよ日本で公開されます。タイトルは『ノマドランド』。原作は、「ニューヨーク・タイムズ」などの一流媒体で執筆してきた気鋭のジャーナリスト、ジェシカ・ブルーダーが、数百人のノマドを取材して書き上げたノンフィクション「ノマド: 漂流する高齢労働者たち」(春秋社刊)。ノマドとは家を持たない遊牧民のような生活をしている人のことです。 主人公のファーン(フランシス・マクドーマンド)が、仕事と家を失い、キャンピングカーで季節労働者の生活をする中、行く先々でさまざまなノマドに出会い、生きる道を見出していくという物語。
ファーンが出会うノマドたちは俳優ではなく現実にノマド生活を送る人たち。つまりフィクションとドキュメンタリーがミックスされた作品ということ。しみじみと心に染みわたり、仕事、生活、生きることなど、自分自身、振り返りたくなる映画です。
監督:クロエ・ジャオ
出演:フランシス・マクドーマンド、デヴィッド・ストラザーン
2位:『ブレイブ -群青戦記-』(2021年3月12日公開)
新田真剣佑の初主演映画は青春アクション時代劇『ブレイブ -群青戦記-』。戦国武将 VS 体育会系高校生という荒唐無稽な展開にハラハラドキドキのエンタテイメント大作です。ある日突然、高校に雷が落ち、そのときから学校まるごと戦国時代にタイムスリップ。学校に野武士が突入して生徒たちを斬りまくり、校内はパニックになります。時代は「桶狭間の戦い」の直前。織田信長(松山ケンイチ)の軍勢に攻められながらも、弓道部の蒼(新田真剣佑)と体育会系の部員たちは、自分たちの特技を駆使してバトルを展開させていくのです。 自分に自信が持てずモヤモヤした学校生活を送っていた蒼が、闘いながら成長していく姿を真剣佑が熱演。三浦春馬は唯一、高校生に歩み寄りを見せる家康役。懐の深さを感じさせ、改めていい俳優だなと感じさせる好演を見せています。
監督:本広克行(『踊る大捜査線』シリーズ)
出演:新田真剣佑、山崎紘菜、鈴木伸之 / 三浦春馬、松山ケンイチ
1位:『騙し絵の牙』(2021年3月26日公開)
おすすめランキング1位は、大ヒット映画『罪の声』の原作者・塩田武士が大泉洋を主人公にあて書きした同名小説の映画化『騙し絵の牙』です。出版業界不況の中、大手出版社である薫風社の雑誌トリニティの編集長・速水(大泉洋)は、文芸誌から新人編集者の高野(松岡茉優)を引き抜き、斬新な企画を次々と提案。速水は、ベテラン作家(國村隼)や才能あふれる新人小説家(宮沢氷魚)や人気モデル(池田エライザ)を巻き込んでいくのですが……。 前半は薫風社に旋風を巻き起こしていく速水の編集者としての個性と能力の高さを見せつつ、後半は次々と騙しの真相が明らかになっていきます。ものすごいスピード感と予想のつかない展開に加え、出版界あるあるも満載!
キャスト全員がイキイキとスクリーンで躍動しており、最後まで大いに楽しませてくれる出版エンタテインメントです!
監督:吉田大八(『桐島、部活やめるってよ』『紙の月』)
出演:大泉洋、松岡茉優ほか
ランキングには大いに悩みましたが、納得のベスト5になりました! どれも面白く、しみじみ感動したり、スカッとしたり、どんでん返しに驚いたり。5作品コンプリートするのもあり! 春映画を大いに楽しんでください!