「新型コロナワクチンの有効率が高い」の意味は?
ワクチンの有効率とは?
「ワクチンの有効率」とは……インフルエンザワクチンを例に
「有効率」と一言で言っても、何に対しての有効性を示しているのか、その対象も重要です。一般的にワクチンの有効性を評価するためには、以下の3つの方法があります。■免疫原性の有効率
ワクチンをした人の血清中の抗体レベルが、感染や発症を防ぐレベルに達した人の割合を見るもの。麻疹や風疹ワクチンの効果を見る時に使われています。
■臨床試験での有効率
ワクチンをした人としていない人との発症率の差を比較するもの。新型コロナウイルスワクチン(COVID-19)での効果を見る時に使われています。
■実社会での有効率
ワクチンが普及して多くの人がワクチンをした後で、感染症が実際にどれだけ減少したかを評価するもの。肺炎球菌ワクチン、Hibワクチンでの効果を見る時に使われています。
多くの人が毎年受けているインフルエンザワクチンを例に挙げると、小児における有効率は25~60%、成人では50~60%と報告されています。これはワクチンを接種した人のうち60%がインフルエンザを発病するという意味ではありません。インフルエンザワクチンをしていない人の発病率を「1」としたときに、ワクチンを接種した人の発病率が「0.4」であった場合、「有効率60%」となります。
有効率95%は「100人中95人に効く」ではない?考え方と計算法
COVID-19ワクチンの有効率は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の「感染」ではなく、COVID-19感染症の「発症」を指標としています。つまりワクチンによって感染が防げたかどうかは測定されていません。そして、ワクチンの「有効率95%」は、「100人中95人に効く、つまり、ワクチンした人の95人はかからないが、5人はかかる」というわけでも、「ワクチンをした人の95人に有効で、5人には効果がなかった」というわけでもありません。ワクチンをしていない人の発症率よりもワクチンをした人の発症率が0.05倍、つまり20分の1であったということです。この場合、感染はしているが発症していない人は、「有効」の中に入ってしまう可能性があります。仮のモデルとして、ワクチンをしていない人の発病率が20%、した人の発病率が1%とすると、ワクチンをしていない人の発病率に対するワクチンをしている人の発病率は1%/20%=0.05、ワクチンによって相対的に減少した発病率は1-0.05=0.95、有効率はワクチンによって相対的に減少した発病率×100で95%となります。