やっぱり富裕層は都心を好む
昭和時代の富裕層は、都心から少し離れた閑静な住宅街に大きな一戸建てを所有するのがメインストリームでしたが、2000年代に入ると職住近接を求め、都心の賃貸マンションが人気となりました。通勤時間がもったいないという理由と、仲間や取引先と遅くまで酒食の会を持てる、必要があればすぐに集まって打ち合わせができるという理由からです。
それに、やはり人も情報も都心部に集まりますから、最前線にいたい彼らは(年配の富裕層は悠々自適かもしれませんが、現代の富裕層は現役の起業家・経営者が多い)、やはり都心に住まいを持つ傾向があります。
お金もちが重視する住まいの考え方とは
持家よりも賃貸マンション派が多い
また、賃貸マンションが人気の理由は、やはり身軽で自由だからです。もちろん所有に舵を切る人もいますが、それはたとえば子どもが生まれるなど、生活の拠点を固定させる目途が立った人、学校や教育環境を考慮して引っ越すデメリットの方が大きい人です。事業形態や生活スタイルが変われば、今の住まいが不便になることがあります。そんなときでも、賃貸ならササッと住み替えることができますから、変化に柔軟に対応するには非常に利便性が高い。
これが分譲マンションであれば、管理組合に参加しなければならないとか、組合理事を務めなければならないとか、何かと面倒です。設備が故障すれば自費で修繕する必要がありますが、賃貸であれば、そういう面倒はありません。設備の故障はオーナー負担ですから、管理会社に連絡すれば基本は無償で修理交換してもらえてラクです。
変わらず都心のマンションを選ぶ理由
しかし、コロナでリモートワーク・テレワークが日常的になり、大勢での飲食が敬遠されるようになりました。それで冒頭の話に戻るのですが、それでもやはり彼らは都市部のマンションに住んでいます。すでに関係がある人とのオンラインミーティングは問題ありませんが、初対面でオンラインだとどうしても信頼関係を築きにくい。ここはやはりリアルに軍配が上がります。
また、少人数での酒食の会は相変わらず行われており、都市部だからこそ集まりやすいというメリットも変わることはありません。一時期流行ったZoom飲み会も、富裕層の間ではほぼ廃れています。
業種や職種によっては移住する人もいる
一方で、数は多くないものの、一部では地方・郊外へ移住する人も散見されます。ホワイトカラー型職種を中心にリモートワークやテレワークが増えているのはご存知の通りですが、「意外になんとかなる」と気づいた経営者の中には、オフィスの縮小や移転に動いている人がいます。もはや都心に大きなオフィスを構える必然性がなく、すると会社の近くに居を構えていた経営者自身も都心に住む必要がなくなるため、高い家賃がバカバカしくなります。なのでオフィス移転と同時に経営者も引っ越すケースです。
また、従業員を持たない自営業者の中には、地方都市やリゾート都市へ移住する人もいます。パソコン1台あればどこでも仕事ができるため、家賃など生活費が安く、なおかつ集中とリラックスが両立できる環境を求めての移動です。
特にリゾート地では近隣住民も都市部からの移住組であることが多く、地元で起業家同士のコミュニティができるなど、それなりに充実した生活を送っているようです。そしてそれが町おこし・村おこしというムーブメントにつながることもあり、地方起業の呼び水にもなるケースもあります。
このように、人によって住まいに求めるもの、それが合理的であるかどうかは異なります。しかし、コロナをきっかけに自分の住まいの在り方を考え直すきっかけになった人は、少なくないようです。
【関連記事・動画をチェック!】