月経前から閉経後までに起こる子宮の変化
子宮も加齢の影響を受ける
卵巣の機能が年齢とともに低下することや、卵子の質が加齢によって妊娠には適さない状態になっていくことは、多くの方がすでに知っていることかもしれません。
実は、子宮もある程度年齢の影響を受けます。正確には、子宮は「エストロゲン」という女性ホルモンの影響を受けます。
月経が来る前の子宮は、大人のサイズよりもひと回り小さく、初経を迎えて女性ホルモンが出始めると徐々に大きくなります。大きくなるといっても、正常な子宮の大きさは長さ7.5cm×幅4cmくらいなので、それを超えて大きくなるわけではありません。ホルモンが働いている間はそのままの大きさで、妊娠時を除いてそれほど変化はしません。閉経すると、女性ホルモンの作用がなくなるため、徐々に小さくなっていきます。
年齢とともに子宮内膜の厚みが薄くなり「妊娠率が低下」する
また、子宮内にある「子宮内膜」は、女性ホルモンの作用で厚みが出て月経血として排出されます。この子宮内膜が妊娠するためのベッドになる部分であり、内膜の厚みが不十分だと妊娠しにくくなります。
通常は、「エストロゲン」の影響を受けて徐々に厚みが出て、排卵後に「プロゲステロン」の影響を受けて妊娠に適した状態に変化していきます。
40歳以上になると、人によっては内膜の厚みが薄くなっていき、それに伴って妊娠率が低下します。内膜の厚みは、超音波検査を受ければ見ることができます。妊娠の希望があり、経血量が減ってきたなと感じている人は、排卵期に超音波検査で内膜の厚みを確認してみることをおすすめします。
加齢により発生頻度が上がる「子宮筋腫」や「子宮腺筋症」
異変を感じたら病院へ
子宮に良性のコブができる「子宮筋腫」、そして、子宮の壁全体が分厚くなっていく「子宮腺筋症」は、いずれも年齢が上がるにつれて発生頻度が上がってきます。
また、月経がある間は徐々にサイズが大きくなっていく可能性があるので、40歳を過ぎて急に経血量が増えたり月経痛がひどくなってきた場合は、これらの「子宮の器質的疾患」がないかチェックが必要です。
閉経前後には「子宮体がん」が発生しやすい
子宮にできるがんには、「子宮頸がん」「子宮体がん」「子宮肉腫」などがあります。子宮頸がんは、ホルモンの影響を受けないため、比較的若い年代から発生することがあります。
子宮体がんは、ホルモンの影響を受け、エストロゲンが過剰な状態の時に発生しやすくなります。閉経が近づくと、エストロゲンばかりが出てプロゲステロンが不足した状態になりやすく、このホルモンのアンバランスさが、子宮体がんを発生しやすくしてしまいます。なので、子宮体がんは閉経前後に増えてくるのです。
閉経間際に不正出血が続いたり、閉経後に少量の出血があった場合は、子宮体がんの検査を受けるようにしましょう。
子宮と付き合う期間は初経から閉経までの約40年間。定期的に必要なメンテナンスを
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