お金の悩みを解決!マネープランクリニック/病気、ケガ、心の病等がある方のお金悩み相談

47歳貯金2200万円。大病を患いましたが子ども2人を中学受験させることは可能でしょうか?(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者はお子さん2人を中学受験させたいと考える47歳の自営業の女性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 体調を優先。現状維持で生涯、金銭的に困ることはない

思いがけない出来事が続き、大変な状況のなか、ご家族のことを一番に考えていらっしゃることが文面から伺えます。順番に説明していきますが、どうか安心してください。今一番大事なのは、スカイさんの体調を優先することです。無理は禁物です。仕事再開は当面しなくて大丈夫ですよ。
 
スカイさんの家計は、収入が多い割に支出が抑えられています。基本的には、このペースで問題ありません。9年間、保険からの20万円の給付が続きますから、この先9年間は、現状維持でいけば、毎月の貯蓄30万円、年間で360万円、9年間で3240万円貯めることができます。現在の貯蓄と合わせて4540万円になります。
 
この間、教育費が大きな支出となります。支出の時期がズレますが、お子さんが中学から私立だとすると、大学まで1人1200万円、2人で2400万円。受験のための塾代などを考慮して2600万円使ったとしても、1940万円が残ります。この他、学資保険の満期金が800万円、投資は現時点の評価で930万円、これらを合計すると、3670万円です。
 
10年後からは、基本的にご主人の収入だけとなりますが、現在の支出であれば、17万円の黒字です。貯蓄ペースはダウンしますが、毎月15万円貯蓄するとして、年間で180万円。ご主人が60歳になるまでの5年間で900万円を上乗せできます。つまり、ご主人が60歳時点での金融資産は、大学までの教育費を差し引いても4500万円程度まで増やすことができるわけです。
 

アドバイス2 60歳時点で住宅ローンを完済。その後も老後資金の上乗せ可能

60歳時点で、住宅ローンの残り1200万円を一括返済すると、金融資産は3300万円になりますが、住宅ローンの返済がなくなり、この時点での教育費はすでに計上されていますので、家計支出は毎月25万円程度になっているはずです。
 
60歳以降、ご主人の収入が半減しても収支トントンで、金融資産からの取り崩しはなく、生活していくことができます。収支が黒字になる可能性も高く、そうなれば、60歳以降も貯蓄の上乗せができます。
 
そして65歳以降は、年金のみの生活となりますが、その時点では、お子さん2人は独立され、家計支出は、もう一段少なくなっています。現時点での公的年金の見込み額は、夫婦で月額約15万円。仮に毎月5万円不足だとしても年間で60万円。貯蓄から取り崩していっても、何の問題もありません。
 
保険については、現在、夫婦それぞれが加入している収入保障保険は、お子さんが中学を卒業したタイミングで解約して大丈夫です。住宅ローンの団信があることと、その時点での金融資産で、万一のことがあっても対応できるからです。払い済みの終身保険もありますから、保障としては十分です。金額はわずかですが、1万円程度の節約にもなります。
 

アドバイス3 公的年金を繰り上げしてもいい。なによりも楽しい老後生活を

ここまでの試算で、生涯、金銭的に問題はないということを説明してきました。
 
教育費については2400万円としましたが、老後資金はそれほど多くを望まないというのであれば、3000万円かけてもいいですし、もう少し、老後資金を確保したいということであれば、子どもの頑張りを応援し、教育費を少し抑えるなど、スカイさんのさじ加減で調整していけばいいのではないでしょうか。また、これまではボーナスから出していた旅行費用も貯蓄から使っていいでしょう。家のメンテナンス費用もゆくゆくは必要になります。教育費の目途はたっていますから、金融資産3300万円の配分は、ご夫婦で話し合って決めていけばいいと思います。
 
公的年金受給を60歳に繰り上げる必要はありませんが、スカイさんの分だけ繰り上げて受給しても問題ありません。生活費を必要以上に削るぐらいなら、減額になってしまっても公的年金を受給して、豊かな老後生活を送ることが、健康を維持するためにも大切なことです。
 
こうしたことは60歳が近くなってから、また考えればいいことです。今からあれこれ心配せず、ご自身と家族が楽しめることを考えてくださいね。
 
最後に、現在の普通預金の預け先ですが、すでに401kや、つみたてNISAをやっておられます。普通預金から投資に振り替える必要はありません。また当面は教育費での支出がありますので、そのまま普通預金に預けておくか、安全確実で、少し金利のいいネット定期や個人向け国債を利用すればいいでしょう。
 
ここまでしっかり家計管理し、頑張ってこられたのです。十分立派です。これからは治療に専念して、無理をせず、心穏やかにお過ごしください。無理は禁物ですからね。
 

相談者「スカイ」さんから寄せられた感想

深野先生に「どうか安心してください」と言っていただき、本当に気持ちが楽になりました。
先生の「無理は禁物」というお言葉を胸に留め、心穏やかに過ごせることを優先しながら、油断せずに家計を守っていきたいと思います。本当にありがとうございました。


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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子


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