身近な人が亡くなったとき、手続きの流れ
身近な人が亡くなったとき、家族は悲しみに暮れます。一方、ただ悲しんでばかりはいられません。人が1人亡くなるのは社会的に重大事。身近な人が亡くなった後の手続きを時系列でまとめてみました。人が亡くなるのは社会的に重大事。手続きがたくさんあります。
身近な人の死亡
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親族や親しい人、葬儀社・菩提寺への連絡・調整
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死亡診断書の受け取り(状況によっては警察に連絡)
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死亡届(7日以内)、火葬埋葬許可申請を同時に、住民票世帯主変更(市区町村役場)
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遺体搬送、葬儀日時など調整(葬儀社または菩提寺)
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納棺、通夜、告別式(葬儀社または菩提寺)
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火葬・初七日(葬儀社または菩提寺)
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死亡の事実がわかる戸籍謄本を3通はとる(本籍地)。
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健康保険、国民健康保険資格喪失届(健康保険組合または市区町村役場 14日以内)
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埋葬料または葬祭費、高額療養費の支給請求(健康保険組合または市区町村役場)
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後期高齢者医療の資格喪失届(市区町村役場 14日以内)
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年金支給停止、未支給年金・遺族年金、死亡一時金など手続き(年金事務所または市区町村役場)
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公共料金(ガス電気水道、電話、携帯電話など)の名義変更または解約(各会社)
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クレジットカード解約(各カード会社)
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故人の銀行口座の解約
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49日法要、納骨(葬儀社または菩提寺)
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遺言書追認・検認(家庭裁判所)
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相続放棄・限定承認(税務署 3カ月以内)
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故人の所得税準確定申告(税務署 相続あったことを知った日から4カ月)
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事業を引き継ぐ場合「青色申告承認申請書」(税務署 相続あったことを知った日から4カ月)
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遺産分割協議(相続財産ある場合、調停になることも)
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生命保険、預貯金、株式、不動産、自動車などの名義変更
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相続税申告(税務署 10カ月以内)
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一周忌・遺品整理など
死亡時手続きの注意点
それぞれの手続きについて注意点をみてみましょう。1. 死亡診断書の受け取り(医師)
病院や医者が常駐している老人ホームでの死亡でない場合、警察に連絡が必要なこともあります。かかりつけの医師と関係を築き、死亡したときも訪問してもらえればそれがベストです。
2. 死亡届・火葬埋葬申請、住民票変更(故人の市区町村役場)
死亡診断書を持って死亡届(7日以内)・火葬埋葬申請などをしますが、地域によっては火葬に時間がかかります。葬儀社と遺体をどのくらい安置してどこに置くのか決めましょう。住民票は世帯主死亡のとき変更の必要があります。
3. 葬儀後の戸籍謄本取得(本籍地)
死亡が戸籍に載るまでに1週間ほどかかります。原本が必要になることも多いので最低3通は取った方がいいでしょう。年金のためなら無料で戸籍が取れる自治体もあります。世帯主と地番はしっかり確認してから請求します。
4. 健康保険関係手続き(健康保険組合または市区町村役場 14日以内)
資格喪失届、埋葬料(または葬祭費)、高額療養費(医療費が高額だった場合)は、健康保険なら健康保険組合、国保なら市区町村役場へ手続きします。健康保険加入者が死亡した場合、配偶者や子供など被扶養者は国民健康保険に入る手続きをします。死亡者が75歳以上の場合、後期高齢者医療保険も資格喪失手続きします。戸籍謄本や葬祭費用がわかるものを持っていきます。
5. 年金関係手続き(年金事務所または市区町村役場)
1カ月でも厚生年金に加入期間があれば年金事務所で手続きします。国民年金だけの加入なら市区町村役場で手続きできます。手続きが遅くなると故人に振り込まれた年金を返金する必要が生じるので早めに手続きしましょう。未支給年金(故人がもらい残した年金)の時効は2年です。
未支給年金・遺族厚生年金請求(通常一緒に請求)には死亡後の戸籍謄本と死亡診断書のコピーが必要です。子供が高校生以下の場合、学生証が必要になることもあります。まれに故人に未統合の年金記録が見つかることもありますので、故人の職歴や今までの住所なども可能なら控えていくといいでしょう。
6. 公共料金の解約または名義変更(ガス・電気会社、水道は自治体)
ガス、電気、水道をそのまま使い続けるなら名義変更、遺族が他の世帯と住み、使い続けないなら解約です。固定電話は権利が相続財産になるので相続できます。携帯電話は請求がくるので早めに解約します。
7. クレジットカード解約(各カード会社)
公共料金を払っていたり、他の支払いが残っていることもあります。故人の預貯金などで支払いを終えたら解約しましょう。名義変更はできません。故人の預貯金を大幅に超える支払いがある場合は相続放棄で逃れることができます。
8. 銀行口座解約(各銀行)
介護保険料や国保保険料、後期高齢者医療保険料、クレジットカード支払いなどが残っていることがあります。支払いが終わったタイミングで解約した方がいいでしょう。ただし、令和2年4月の民法改正で一定程度の故人の預金引き出しは認められるようになりました。
9.相続関係手続き(家庭裁判所、税務署)
お金や不動産など資産をできる限り確認し、必要なら相続放棄を行います。公正証書遺言の他の遺言(自署など)は家庭裁判所で検認を受けて、法的に有効な遺言となります。ただ実際は、家庭裁判所で検認を受けず、自署遺言だけで遺族や相続人が合意の上で、相続が行われる家庭も多いでしょう。
10.デジタル遺産などその他遺品整理
FBやフリーメールアドレス、スマホに撮った写真などデジタル遺品も落ち着いてからでも停止手続きなどを取りましょう。FBは追憶サービスなどを行っています。ネット銀行やネット証券は気づかれないことがあるかも知れません。日ごろから、情報を共有しておく必要がありますね。
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