アドバイス1 奨学金は早めに完済して、貯められるだけ貯めておく
きちんとお金と向き合っておられ、しっかりされていますね。この段階で、アドバイスできるとしたら、貯められる今、貯められるだけ貯めておく、ということに尽きます。ご両親も現役で働いておられるのでしょうから、親御さんに感謝して、無駄遣いせず、しっかり貯蓄するということで、いいと思います。支出については、実質、ご自身のお小遣いのみで、上限額を決めてその範囲で使うようにしておられますから、それでいいでしょう。
ただし、奨学金の返済については、残り55万円程度とのことですから、結婚や出産を待たず、すぐに完済してしまいましょう。返済の負担は感じないとはいえ、有利子の奨学金ですから無駄に利息を払い続けるのはもったいない。いったん、貯蓄から取り崩すことになっても、毎月、十分な貯蓄ができていますから、まったく問題ありません。奨学金を完済してしまえば、その分も貯蓄に回すことができます。
投資については、現在行っている「つみたてNISA」だけでいいでしょう。勤務先で確定拠出年金がなければ、個人型確定拠出年金(iDeCo)への加入を検討していいかもしれませんが、60歳まで原則引き出しできないので、現段階では、つみたてNISAで十分です。まずは預貯金を増やすことが大切です。保険も結婚して、子どもが生まれたら考えればよく、今は保険に加入する必要はありません。気になるようであれば、医療共済など割安な掛金で最低限の医療保障を確保すれば十分です。
年間で200万円は貯蓄できるわけですから、今後3年で600万円。今ある貯蓄と合わせて1000万円になります。これだけあれば、大抵のことは問題なくクリアできるでしょう。
今は、とにかく貯められるだけ貯める。それが、これからの大きな出費に対応する策となります。
アドバイス2 同棲・結婚してからの家計はきちんと話をしておくこと
心配なのは、同棲・結婚してからの家計です。今は生活にかかる基本的なお金をご両親が出されています。それが同棲・結婚となれば、当然ですが、パートナーと一緒に払っていくことになります。今までのように貯蓄はできなくなるかもしれません。車は中古の軽自動車で120万円以内でと、堅実に考えておられるようなので、その点は安心できますが、ローンは使わずに、現金一括で購入できる範囲と心にとどめておいてください。
結婚後の働き方も含めて、同棲する前に、パートナーと家計については、じっくり話をされることをおすすめします。イメージがつかなければ、どんな費用がいくらぐらいかかっているのか、ご両親に相談なさってみてもいいかもしれませんね。
同棲の間は、それぞれの収入から共通の生活費を負担していき、残りのお金はそれぞれが管理していくことになると思いますが、結婚となれば、世帯でどうお金を管理していくのか、どう貯蓄をしていくのかを共通理解しておくことが大事です。最初が肝心ですよ。
今の状況でいられること、ご両親に感謝し、いずれ恩返しをされるといいですね。結婚されて、新たな家計がスタートし、何か不安に感じたら、またご相談をお寄せください。
相談者「いちご」さんから寄せられた感想
現在・将来への不安に対して色々と教えていただきありがとうございます。奨学金の繰上げ返済は先で良いと思っていたのと、車を購入するときも一気にお金がなくなるのは不安なので頭金ありでローンを組もうかなあと考えていました。貯金がある程度ある場合は借金を作らないように利子を払わない形にしようと思います。また、貯金がある程度あれば投資の割合も増やした方が良いかなと思っていましたが、先生のおっしゃる通りつみたてNISAをコツコツやろうと思います。この生活ができていることを両親に感謝して、同棲となった時は彼とお金について話し合ってみようと思います。マネープランクリニックのラジオ番組『2020年の家計防衛』せひご視聴ください。全51回で完結しました!
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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
取材・文/伊藤加奈子
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