お金の悩みを解決!マネープランクリニック/50代以上の家庭のお金悩み相談

現在59歳、60歳で仕事を辞めたいのですが、年金は6万4000円とのことです(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、シングルマザーとして2人の子どもを育て上げたものの、現在は心身ともに不調、60歳で仕事を辞めたいと考えている59歳の会社員女性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 60歳定年退職して、しばらく休養を。その後の働き方も考えて

シングルマザーでお二人のお子さんを育ててこられたのは、立派です。ここまでよく頑張りましたね。来年、60歳定年退職でいいと思います。体調も心配ですし、一度身体を休めて、ゆっくりされてください。60歳定年退職でも失業給付が受け取れます。おそらく24万~25万円を一括で給付されると思いますが、退職後にハローワークで詳しくお問い合わせください。
 
とはいえ、余裕があるわけではありませんので、その後も、細く長く働くことが大事になってきます。体調次第ですが、半年から1年ぐらい休んだら、無理のない働き方ができるところを探すようにしてください。
 
休養期間中は、家計の見直しをしてみてください。
 
まず保険ですが、毎月2万円の支払いがある外貨建て個人年金は、払い済みにし、これ以降の支払いをストップします。その時点の保険料で受け取れる年金額が決まります。65歳まで払込をしても、その時の為替レートで受取額が変動することは理解されているようですが、元本割れするかもしれない個人年金に毎月2万円支払うのは、現状の家計では負担が重すぎます。残り1万円の保険料の内訳が不明ですが、医療保障を重視したタイプであれば、ご病気の不安もあると思いますので、そのままでもいいでしょう。
 
また、小遣いと雑費を合わせて3万円。通信費の1万円を加えて4万円です。これらを少しずつ削減できないか検討してみてください。食費や水道光熱費は、お子さんと同居であれば妥当だと思いますが、お子さんが結婚などで独立されるようなことがあれば、削減できる費目だと覚えておいてください。
 
このように家計を少しずつ見直して、支出を20万円に抑えられるようにしてください。
 

アドバイス2 貯蓄の取り崩しを抑えるために、年100万円でも収入を

退職後、仮に半年休養するとしたら、毎月20万円の支出に対して、収入は年金の6万4000円、お子さんからの4万円の合計10万4000円となり、9万6000円のマイナスです。半年で約60万円。失業給付の25万円を充当すれば、半年の貯蓄からの取り崩しは、35万円ほどになります。
 
現在の貯蓄は800万円ですから、765万円が残ることになり、休養後は、この貯蓄をできるだけ取り崩さないようにすることがポイントとなります。ダブルワークを再開されるとのことですが、できれば年間100万円、毎月8万円程度の収入が得られるような働き方を検討してみてください。
 
ベースの収入10万4000円に8万円を加えて18万4000円。毎月のマイナスは1万6000円。年間で19万2000円。約20万円とすると、765万円の貯蓄がゼロになるのは、38年後、つまり98歳まで大丈夫ということになります。
 
ただ、何歳まで働けるのかということもあります。またお子さんが結婚すれば、お子さんからの4万円は当てにできなくなります。そうなると収入は、公的年金のみとなり、貯蓄から取り崩すペースが早まってしまいます。
 
体調を一番に考えることが何よりも大事ですが、60歳で退職後も、細く長く働く必要があることは理解してください。
 

アドバイス3 相続した資産の活用や老後の住まい方をお子さんと相談

家計の見直しで触れませんでしたが、最も気がかりなのは、通院費、薬代、サプリメント代が月6万円かかっていることです。これが家計に重くのしかかっています。
 
かかりつけ医の処方によるものですから、治療、体調を維持するために必要な出費だと思いますが、医療費の自己負担額が一定額を超えると、払い過ぎた分が戻ってくる「高額療養費制度」が適用されているのか、心配です。アップルパイさんの所得からすると、自己負担額の上限は5万7600円で、毎月であれば4万4400円です。会社の健康保険に加入しているなら、一度、会社の担当部署にご相談してみてください。退職後は、国民健康保険になりますので、お住まいの自治体に確認してください。
 
また、サプリメントは医師の処方であっても、健康保険の対象外で全額自己負担になります。サプリメントを否定するわけではありませんが、負担が重いようであれば、医師と相談して見直すことも考えてみてはいかがでしょうか。病気に関しては、セカンドオピニオンを受診してみるのもいいかもしれません。
 
いずれにしましても、いったん20万円とした支出の見直しも、お子さんが独立したタイミングで、もう一段削減が必要になってくることも覚えておいてください。
 
最後に、不動産についてです。ご両親から受け継いだ大切な資産です。現在、住居費の負担が軽く済んでいるのは救いです。マンションの築年数がわかりませんが、今後、設備の買い換えや修繕などの費用もかかってくると思います。もしも、貯蓄が予想外に減ってしまった場合は、売却し、安めの賃貸に移ることを考えなければならないかもしれません。賃料が今より高くなるとは思いますが、売却資金で手元資金が残り、その後の生活が維持できるようなら、不動産の活用も考えてみてください。お子さんが結婚しても同居する、ひとり暮らしなら売却して安い賃貸に住む、そうした将来の住まい方も考えておかれるといいでしょう。
 
まずは、いったん休養して、心と身体を休めてください。状況が変わったら、またご相談ください。
 

相談者「アップルパイ」さんから寄せられた感想

仕事を一旦辞めて休養してもなんとかなる!と思ったら気持ちが楽になり心が軽くなりました。
近い将来、子どもたちも独立し、私一人になるので、食費や光熱費、雑費などが減り、見直しをして暮らしていけそうだとわかり安心しました。今後子どもたちと話しあい暮らし方について考えたいと思います。医療費等の大きな出費も少し減らしていけるよう自分の健康第一に過ごしていきたいと思います。アドバイスをありがとうございました。

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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子


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