眠れない・夜中に目が覚める・夢見が悪い……睡眠に関するさまざまな悩み

眠れない・不眠の悩み

眠れない、夜中に目が覚める、悪夢を見る等、眠りの質で悩んでいる人は少なくありません

明けましておめでとうございます。皆さまはすでに良い初夢を見られたでしょうか? 日々、漢方相談を行っていると意外なほど多くの方が睡眠にまつわる困りごとを抱えていることに気付かされます。その内容も「スムーズに入眠できない」「夜中に何回も目が覚めてしまう」「朝起きても疲れがとれていない」など様々です。
 
今回は不眠症に使用される漢方薬にくわえて、より良い睡眠をとるための生活上のアドバイスなどをご紹介します。
 

漢方薬はすぐには効かない? 即効性は期待しにくい漢方

いきなり期待を削ぐような話になってしまうのですが、漢方薬は西洋薬の睡眠導入剤(睡眠薬)のような即効性は期待しにくいです。不眠症において、特に寝付きの悪い方が服用する短時間作用型の睡眠薬は数十分から1時間程度で強い効果が発揮されます。
 
一方の漢方薬は服用から効果が出始めるのに数十日から1ヵ月程度はかかる印象があります。このように西洋薬と漢方薬の間には効果が得られるまでの時間軸に、非常に大きいギャップがあるのです。
 
しばしば当薬局には「漢方薬の睡眠薬が欲しい」というご相談があります。その際は上記の点を十分に説明し、あくまでも漢方薬はうまく眠れる身体づくりを行うものと納得された上で調合するよう心がけています。
 

漢方薬と睡眠導入剤(睡眠薬)の違い・西洋薬にはないメリット

即効性が期待できない漢方薬ですが、もちろんメリットもあります。睡眠薬の中でも夜中や早朝に起きてしまう人が服用するタイプは日中に効果が持ち越しやすいです。つまり、日中にも眠気やふらつきが持続しやすいのです。
 
少々の眠気なら良いのですが仕事の効率低下、ふらつきによる転倒も起こりえます。他にも薬によっては自動車の運転に制限がかけられてしまうものもあります。漢方薬の場合、こういった転倒などのリスクや使用制限なく服用できる点は大きなメリットです。前置きが長くなってしまいましたが、次に不眠症に効果が期待できる主な4つの漢方薬をご紹介します。
 

抑肝散(よくかんさん)の効果……イライラ・興奮して眠れない症状にも

抑肝散という名前ですが「肝臓」の漢方薬ではありません。漢方の理論における「肝(かん)」は情緒を安定させたり、筋肉のはたらきを調節するものと考えます。そのような肝のトラブルを解消する漢方薬なので「抑肝散」と名付けられています。
 
抑肝散は普段からイライラ感が強く怒りっぽい方に適した漢方薬です。不眠症においては眠りたいのに興奮して目が冴えてしまうような症状、つまり入眠困難に困っている方に向いています。他にも筋肉の過剰な緊張を緩める作用もあるので、入眠中の食いしばりや歯ぎしりにも有効です。
 

酸棗仁湯(さんそうにんとう)……不眠の他、悪夢や不安感・動悸の症状にも

酸棗仁湯は身体が疲れているのに眠りに入れない、入眠しても途中で起きてしまうような方に適した漢方薬です。仕事や子育てなどで精神的・肉体的ストレスを受け続け、ヘロヘロになっているのに眠れないような方に合った漢方薬といえます。
 
不眠の他にも睡眠中の悪夢、身体の不快なほてり感による寝汗、不安感、動悸などが併せてあるような方により適しています。
 

帰脾湯(きひとう)の効果……下痢・軟便など消化器系の症状がある方にも

帰脾湯は上記で挙げた酸棗仁湯とやや似た性格の漢方薬です。肉体疲労と精神疲労があるにも関わらず、しっかり眠れない方に適した漢方薬です。不眠症の他に食欲不振や精神不安といった3つの「不」を改善する力に優れています。
 
帰脾湯における「脾」は消化器のことを指しています。そのことからも帰脾湯は体質的に食が細く、いくら食べても太れない、下痢や軟便になりがちといった消化器系の不調をターゲットにした漢方薬であることが分かります。
 
人間はしっかり食べないと肉体疲労が回復せず、結果的に精神的にも脆弱になってしまいます。帰脾湯はそのような体質・症状をまとめて改善する漢方薬です。
 

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)の効果……心身をリラックスさせる作用

柴胡加竜骨牡蛎湯は精神症状を改善する代表的な漢方薬です。心身をリラックスする作用に優れているので不眠症だけではなくイライラ感や不安感、情緒の乱れによる動悸やのぼせといった肉体症状にも有効です。
 
柴胡加竜骨牡蛎湯はどちらかというと興奮や緊張によって目が冴えてしまうような入眠困難に有効な印象があります。一方で中途覚醒にも十分効果のあるオールラウンドな使い方が可能な漢方薬です。
 
処方名にもある竜骨は大型哺乳類の化石(骨)であり、牡蛎は貝のカキの殻の事です。これらには鎮静作用があるので、ちょっとしたことで動悸が起こりやすい方や血圧が高めの方に適した漢方薬でもあります。
 

不眠や睡眠の質を改善する方法は? 「生活習慣の改善」が前提

ここまで不眠症に使用できる代表的な漢方薬を紹介してきましたが、不眠症の改善には生活習慣の見直しが不可欠です。漢方相談を行っていて最も多く遭遇するのがカフェインの摂り過ぎと、スマホ・タブレットの深夜までの使用です。
 
カフェインは主に緑茶、紅茶、ウーロン茶、コーヒー、エナジードリンクや栄養ドリンクなどに含まれています。カフェインには覚醒作用があるので不眠気味の方は出来るだけ控えるようにしましょう。摂る場合も15時ごろのおやつ時以降は避けるのが無難であり、それ以降は麦茶などのカフェインを含まないものに切り替えましょう。
 
スマホやタブレットも光の刺激で目が冴えてしまいます。デスクワークの方は日中に目を酷使もしているので、眼精疲労対策の観点からも控えてみましょう。一方、完全に使用禁止にするのは現実的ではありまえん。まずは夕食以降や入眠2時間前は使わないといった緩めのルールから始めるのが良いです。
 
上記のような生活習慣の改善を行っても良い眠りがとれない場合、漢方薬は良い選択肢になるでしょう。睡眠トラブルにお困りの方は一度、漢方薬を試してみてはいかがでしょうか。
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