歌舞伎

コロナ禍における歌舞伎界の厳しい現状…「最先端×伝統」が復活のカギに(4ページ目)

未曾有の災害といってもいい新型コロナウイルスが世界中を駆け巡った2020年。歌舞伎界も大きな打撃を受け、現状は非常に厳しいままです。しかし、さまざまなアイデアと伝統芸能を掛け合わせた新しい歌舞伎が誕生し、将来への希望も充分に感じられます。今回は、その新しい歌舞伎のうちの一つである市川弘太郎主催の狂言と歌舞伎のコラボ企画「不易流行」の概況と、市川弘太郎のインタビューをまとめました。

宗像 陽子

執筆者:宗像 陽子

歌舞伎ガイド

 

「不易流行」配信を終えて。インタビュー

 
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歌舞伎役者 市川弘太郎

プロフィール
市川弘太郎 東京都出身。1983年生まれ。1993年国立劇場で初舞台。1995年3代目市川猿之助の部屋子となる。近年では新作歌舞伎や歌舞伎以外の舞台で蜷川幸雄、野田秀樹、三谷幸喜、宮本亜門の作品にも出演。舞台上では溌剌とした演技や機敏な動きで観客を惹きつけ、舞台以外では持ち前の明るいキャラクターを活かしてトークショーや司会などでも活躍。
 

舞台とは違った緊張感

 
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収録後、ほっとした表情でアフタートークをに臨む弘太郎丈

 

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今回のゲスト。能楽師の善竹大二郎さん


―無事配信終えられて、お疲れさまでした。いかがでしたか。
僕らはいつも舞台に出ているので舞台に上がるまでのドキドキ感はありますが、今日はすでに収録も編集も終わっているので、配信前は不思議なドキドキでした。
 
―一番苦労した点を教えてください。
とにかく感染予防です。この時期ですから、もしクラスターでも出たら「それみたことか」と言われかねない。また、特に善竹家は、コロナで富太郎さんを亡くされているのに協力してくださったということもあるので、徹底した予防策で挑みました。
 
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巨大アクリル板を舞台中央に設置するのも歌舞伎界初の試み!?


―具体的にはどのようにされましたか。
参加者は最低人数。収録場所は山梨県だったため、移動も極力避けようと、音楽収録は別撮りで行われました。
 
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音は別撮りで。現場はソーシャルディスタンスで。


ところが、通常の歌舞伎では、しゃべっているセリフに合わせて、三味線を弾きだすんです。事前に録音して、役者もイヤーモニターを使って音楽に合わせて動くというのは通常と逆でとても大変でした。音を録音するメンバーも邦楽に詳しいわけではなかったので、どうやって限られた時間の中でスムーズにやるか、とても苦労しましたね。

>次ページ 舞台がないなら自分たちで作ってしまえばいい
 
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