名付けに使える? 幸運・幸福を表す漢字の成り立ちと意味
子どもの名づけの方法には、親が好む漢字・呼び名や音から考える、占いに従って名字と字画の合うものにするといったやり方などがあります。そのような名づけの考え方のひとつに、名前に本人への希望を表現する方法がありますが、子どもの幸福を願う気持ちから「幸運を意味する漢字」が昔からよく使われてきました。
画像の六つの字を含む、九つの「幸運を表す字」をご紹介
瑞(ズイ・みず)
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幸運を表す字「瑞」……瑞はととのった宝石をあらわす
このような成り立ちの「瑞」という漢字は、本来は質のいい宝石を表わしますが、「良いことがあるしるし」という意味で使われてきました。
【名付け例】
瑞穂(みずほ)、瑞華(みずか)、瑞花(みずか)、瑞葉(みずは)
吉(キチ・キツ・よし)
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幸運を表す字「吉」……吉は中身がギュッとつまること
「吉」という漢字は、満たされた、安心できる状態の意味で使われ、昔から「〇吉」という男性の名に非常に多く使われてきました。
【名付け例】
大吉(だいきち)、吉之(よしゆき)、吉帆(よしほ)、吉美(よしみ)
※今はそれほど多くは使われません
祥(ショウ・さき・さち)
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幸運を表す字「祥」……祥は祈りの結果があらわれること
祭壇と羊を合わせた「祥」の字は、祈りの結果が表われることを意味します。吉の字と合わせて吉祥(きっしょう・きちじょう)という言葉が生まれ、吉祥天(きっしょうてん)というヒンズー教の女神もいますし、東京の吉祥寺(きちじょうじ)の地名にもなっています。
【名付け例】
祥太(しょうた)、祥平(しょうへい)、祥也(しょうや)、祥吾(しょうご)、祥馬(しょうま)、祥大(しょうだい)、祥真(しょうま)、祥香(さちか)、祥帆(さちほ)
幸(コウ・さち・ゆき)
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幸運を表す字「幸」……幸はほぐれて楽になること
女性の幸子という名が非常に多かった時代もありますが、今はむしろ男性の名のほうに多くなっています。
【名付け例】
幸大(こうだい)、幸太(こうた)、幸介(こうすけ)、幸太郎(こうたろう)、幸也(こうや)、幸馬(こうま)、幸貴(こうき)、幸平(こうへい)、幸輝(こうき)、幸絵(ゆきえ)、幸穂(ゆきほ)、幸乃(ゆきの)
福(フク)
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幸運を表す字「福」……幸運を表す字は祈りと関係する字が多い
「福」という字は見えない力のおかげでゆとりがある状態を表わします。昔は名前によく見られた字ですが、今はほとんど使われなくなりました。
祉(シ)
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幸運を表す字「祉」……祉は見えない力が近くにあること
兆(チョウ)
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幸運を表す字「兆」……兆はきざしが見えること
名前には滅多に使われませんが、歴史上では明治の思想家、中江兆民(本名は篤介)の雅号が有名です。
禎(テイ)
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幸運を表す字「禎」……禎は見えない力によって安定すること
「禎」という字は、見えないものの力をさずかって安定することを意味します。
【名付け例】
禎(てい)、禎一(ていいち)
名前に使われることは少なく、禎(てい)、禎一(ていいち)もまれです。
禄(ロク)
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幸運を表す字「禄」……禄は見えない力の分け前をもらうこと
シメスヘンは祭壇で祈るための用具です。右側は古くは「彔」と書き、何かを削る動作を表わし、また古いものを削ったときの緑の色も表わします。碌(割れた小石)、醁(緑色の酒)、剥(削りとる)、録(金属を削って文を書く)、緑(竹や葉を削って染めた糸の色)の字にも含まれます。
「禄」の字は見えないものから分け与えられた幸運のことを表わします。一般には雇い主から与えられる俸給の意味でも使われてきました。
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