月経が不規則になる40代、閉経はいつ?
40代後半の閉経が近い年齢になると月経が数カ月来なくなることもあり、「もう閉経したのかしら」と思っていたら久しぶりにくるといったことは珍しくありません。月経がほとんどこなくなると、「もう妊娠はしないだろう」という認識が強くなるかもしれませんが、避妊が不要になるのは「完全に閉経した」ときです。40代は徐々に生理周期が短くなり、やがて生理がこなくなる
中絶選択率も高い40代後半、避妊は何歳まで必要?
40代後半では避妊はそれほど重要ではないと考えている方もいらっしゃいますが、令和5年10月に公表された厚労省による衛生行政報告例の概況によると、45~49歳の人工妊娠中絶件数は1127件、50歳以上は8件ありました(令和4年度)。この衛生行政報告例と人口動態調査をもとに計算されたここ数年の年齢階級別の中絶選択率は、15~19歳では61.9%、45~49歳では43.9%、50歳以上では48.7%というデータも出ています。全妊娠件数に対して中絶を選択している人の割合は、若者も40代後半も大幅には変わらず、約半数の人が中絶を選択していることがわかります。件数そのものは他の年代に比べて少なくはなりますが、この数字は無視できるものではありません。1年間全く出血がない状態になるまでは必ず避妊が必要です。
日本人の7~8割の方が用いているのがコンドームによる避妊といわれていますが、破損や脱落などを含めると、コンドームでの避妊の「失敗率」は約18%です。決して確実な避妊とはいえない方法なのです。確実に避妊をする方法は「ピルを服用する」「子宮内避妊具を入れる」「避妊手術を受ける」のいずれかになります。
避妊の種類、40代に適した避妊方法
■避妊手術40代になりすでにお子さんもいらっしゃり、今後は妊娠を希望しないという場合、「避妊手術」を受けるという選択肢があります。女性側が受ける場合は「卵管結紮(けっさつ)」、男性が受ける場合は「精管結紮」です。女性側が3度目の帝王切開術を受けるときに、同時に卵管結紮術を受けるケースもあります。避妊手術そのものは保険適応外なので、手術費用がすべて自費になります。
■ピルの服用
ピルは50歳まで服用できる「卵胞ホルモン」と「黄体ホルモン」の合剤で、排卵を抑える薬です。正しく服用すれば排卵が起きないため、99%以上の高い避妊効果が得られます。
また、月経痛や月経量を軽くしたり、月経前の不調を軽減する作用もあり、40代後半も飲み続けていれば更年期障害の予防にもなります。
ただし副作用として「血栓症」に注意が必要です。年齢とともに血栓症リスクは高くなることから、特に40代後半になって初めてピルを開始することはあまりおすすめできません。若い頃から継続的にピルを服用している場合は、50歳まで継続することが可能です。
■子宮内避妊具の挿入
子宮内避妊具は、子宮内に小さな器具を入れることによって主に着床を妨げる方法です。「銅付加タイプ」と「ホルモン付加タイプ」がありますが、最近はホルモン付加のタイプが主流になってきています。子宮内に入れるときに若干の痛みを伴う場合がありますが、通常は無麻酔で外来で入れることが可能です。
使用期限は3~5年間。また、一度入れたら定期検査を受け、時期がきたら入れ替えるだけのため、毎日薬を飲むといった煩雑さがありません。ピルとは異なり、ホルモン付加のタイプでも血栓リスクは上がりませんから、40代の方に最も適した避妊方法といえるでしょう。
ただし、経腟分娩の経験がない方の場合、子宮の出口が細すぎて入らない場合もあります。挿入が可能かどうかは診察してみなければ分からないので、まずは受診して挿入の可否を相談してみるとよいでしょう。
完全に閉経した後も「セーファーセックス」を
夫婦で心がけたいセーファーセックス
【参考情報】
- 平成30年度衛生行政報告例の概況「母体保護関係」(厚生労働省)
- 令和4年度衛生行政報告例の概況「母体保護関係」(厚生労働省)
- 5歳階級別 出産数、中絶数と中絶選択率(日本産婦人科医会)
- 2021年度の人工妊娠中絶届出件数 前年度比1割減(日本家族計画協会)
- 「各種避妊法使用開始1年間の失敗率(100人の女性が1年間に妊娠する率)」バイエル ファーマ ナビ