10代女性の運動実施率は? 平均は低いが、二極化傾向が顕著

思春期なのに生理が止まる?運動しすぎのリスクと対策

10代女性の運動時間は二極化している

スポーツ庁が公表している『日本人の体力・運動能力調査の結果(2016年)』によると、10代の女性は男性に比べて運動実施率が低い傾向が示されています。
10代の女性が運動で生理が止まる理由とメカニズム・対処法

参考:平成27年度体力・運動能力調査結果より(スポーツ庁)


これによると女性は10歳で83.6%とピークを迎え、18歳では33.7%にまで減少し、同年代の男性と比べても20ポイントほどの差があることが示されています。女性は体力や体型、第二次性徴に伴う身体的変化など、男性が運動を行う状況とはまた違った要因が伴い、運動実施率の差となって現れているのではないかと考えられます。

一方で10代女性の運動実施率の低さとともに注目したい傾向に、運動実施の二極化が挙げられます。
思春期なのに生理が止まる?運動しすぎのリスクと対策

参考:平成30年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査報告書より(スポーツ庁)


同じくスポーツ庁の資料によると中学2年生の19.8%が保健体育の授業をのぞいた1週間の総運動時間が1時間以内と回答した一方で、1週間に15~17時間を越えて運動を行っている層が見られます。運動をほとんどしない層と、熱心に取り組んでいる層との二極化が顕著であり、競技スポーツなどを行う女子は10代前半には非常に多くの時間を費やして体を動かしていることがわかります。
 

女性競技者の約4割が該当する「月経周期異常」の原因・メカニズム

女性スポーツ促進に向けたスポーツ指導者ハンドブック』(日本スポーツ協会)によると、競技レベルを問わず月経周期異常(生理不順)を有する女性競技者の割合は約40%にものぼるといわれています。

月経周期異常は一般的には疲労やストレスによるホルモンバランスの乱れによって起こるといわれていますが、特に、それまであった月経が3カ月以上停止してしまう「続発性無月経」は、ダイエットなどによる過度な体重減少や強いストレス、環境の変化などが原因と考えられています。運動量に対して体が必要なエネルギー量を確保できていないことが問題です。
 

思春期の無月経がもたらす悪影響……エストロゲン不足による骨粗鬆症リスクなど

「無月経」は、女性の複雑な生殖器系が故障している状態と考えられます。多くの女性にとって生理は「心身のコンディションが悪くなるもの」「面倒なもの」ととらえられがちなので、「生理がない方が日常生活を楽に過ごせる」と考える人も中にはいるかもしれません。

ところが無月経状態が長く続いてしまうと、これから先のコンディションに長く悪影響を及ぼすことが知られています。

女性ホルモンの一つであるエストロゲンが不足すると閉経と類似した状態となり、16~30歳までの無月経の女性の場合、年間で2~5%もの骨量を失うことが指摘されています。このような状態は無月経期間だけではなく生涯を通じて骨粗鬆症へのリスクが高まるほか、スポーツによって疲労骨折を起こすリスクも高くなることが知られています。また将来妊娠を希望するときにも何らかの影響を及ぼすことが懸念されます。
 

運動による月経周期異常予防法……「過度な体重コントロール」は禁物!

生理が止まるなどの月経周期異常の予防に大切なことは、運動に打ち込む場合も、過度な体重コントロールを行わないことです。スポーツ競技でいえば、体重別にクラス分けされている柔道・レスリング等のスポーツ、身体のラインが強調されやすい体操、新体操、フィギュアスケート、アーティスティックスイミング(シンクロナイズドスイミング)等のスポーツ、体重の軽さが競技に有利に働くとされるマラソンなどの持久系競技やスキージャンプ等のスポーツをする選手は、過度に体重管理を行うあまり、運動性無月経を起こしやすいと考えられています。

体脂肪率が15%以下になると次第に生理不順が見られ、10%以下になるとそのほとんどが無月経へと移行するともいわれています。体型や体重などを気にする年代ともいえますが、体を動かすために必要なエネルギーとともに成長に必要なエネルギーを十分にとることが、生理不順を防ぎ、体のコンディションを将来にわたってより良く保つことにつながります。
 

無月経を起こさないスポーツへの取り組み方を

無月経のまま運動をしている女性は、長期的に見るとケガをはじめ、体のコンディションなどさまざまなリスクを負うことになります。競技によっては体重を厳密にコントロールする場合もあると思いますが、無月経になるほどまでに追い込むことは非常に危険です。

特に成長期の女性は、エネルギーの消費量と摂取量のバランスを保ちつつ、無月経を起こさないようにスポーツに取り組んでほしいと思います。

■参考資料
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項