テレワークで急増するWeb会議
新型コロナウイルスの影響で、テレワークなど従来とは異なる働き方が広がっています。社内や取引先との会議でも、SkypeやZoom、Google Meetなどのテレビ会議ツールを使用する機会が増えてきました。Web会議の効率を高めるために「ノンバーバルコミュニケーション」が大切
モニターを通してのWeb会議では、通常、顔を中心に胸から上しか見えないため、コミュニケーションのとり方に戸惑ってしまうこともあるのではないでしょうか。
そこで、Web会議の効果を高めるための「ノンバーバルコミュニケーションの活用法」を解説します。
<目次>
Web会議で大切な「ノンバーバルコミュニケーション」とは
会社に行かなくても会議ができ、人との接触を減らせるのがWeb会議のメリット。一方で、場の雰囲気を感じにくいなど、感情の共有が難しい点もあります。Web会議での意思疎通を促すには、ノンバーバルコミュニケーションがとても重要になってきます。
ノンバーバルコミュニケーションとは、身だしなみや身振り、表情、視線、持ち物などの視覚や、声のトーン、声の大小、話すスピードなどの聴覚を通して伝わる、言葉以外のコミュニケーションのことです。
私たちは、意思疎通を言葉だけに頼っているわけではありません。ノンバーバルコミュニケーションの研究者であるRey Birdwhistell(レイ・バードウィステル)は「二者間のコミュニケーションでは言葉で伝えられる内容は全体の35%にすぎず、65%はノンバーバルコミュニケーションによる」と分析しています。
参加者同士の会話をスムーズにして会議の効率を高めるために、下記のようなノンバーバルコミュニケーションの活用法が必要になってくるでしょう。
1.「表情」「目線」「身振り」「声や話すスピード」をチェックする
Web会議では、自分の意図が伝わらなかったり、相手の真意が読み取りにくいなど、意思疎通が思うようにいかないジレンマが生じがちです。会議前にモニターを見て「表情」「目線」「身振り」「声や話すスピード」の4つについて、次のポイントをチェックしてみましょう。
初対面の相手が含まれる会議冒頭の自己紹介などでは「笑顔」が欠かせない
・「表情」
話すときの雰囲気づくりに重要な役割を果たすのが「表情」です。
Web会議では、自分が話すとき以外、音声をオフにする「ミュート」にすることがマナーとされています。声を出して相槌が打てない分、話題に相応した表情で考えを伝えることが必要です。
重要な話になれば真剣に、リラックスした話題には楽しい笑顔で対応することで、感情を共有しやすく、参加者同士の心の距離が縮まります。
・「目線」
どこを見ているのかわからない目線は、相手に不安を与えます。
Web会議では、モニターに映った相手の顔を見て話しがちです。ところが、モニターではなくカメラに向かって話さないと、相手からは、下や上を向いた状態に見えてしまいます。
自分が話すときだけではなく、重要な場面ではカメラに目線を向けることを心がけましょう。
・「身振り」
身振りには、会話を補う機能があります。Web会議でも手や首の動きがポイントになります。たとえば「これぐらいの大きさです」「ここからここまでの長さです」と、手を使って示してみることです。
ただ、参加者が多いと、モニターに映る一人ひとりの顔はかなり小さくなります。ジェスチャーをするときは、カメラから少し離れ、自分の姿が映るよう気をつけましょう。
また「理解している」と相手に伝えるうなづきは重要。逆に、わからないときには首をかしげることも必要でしょう。
身振りをやや大げさにすることで、発言していないときでも気持ちや考えが他の参加者に伝わります。
・「声や話すスピード」
同じ内容でも、声や話すスピード次第で印象は変わります。
Web会議は、参加者の環境によって声が聞きとりにくい場合があります。普段よりはっきり発音し、時々「聞こえますか?」と尋ねる、適度なボリュームで、話す速度にも気を配るなどの配慮が重要です。
2.仕事とプライベートの違いを理解する
バーチャル背景を利用する場合も、仕事のイメージに合った落ち着いたものを選んでおく
また、在宅でのテレワークでは、仕事とプライベートの境界線があいまいになりがち。Web会議では、ビジネスにふさわしいメイクや服装、身だしなみが大切です。
通常、モニターには上半身しか映りませんが、カメラとの距離や角度によっては下半身が映る場合も。上半身はジャケットを着ていても、下半身がパジャマ姿では信用を落とすきっかけになりかねません。
また、映り込む部屋の整理整頓もしておく必要があります。背景も含めて自分の印象が左右されると理解しておきましょう。
対面での会議とは違う配慮が必要
これまで述べてきたように、Web会議の効率を高めるためには、ノンバーバルコミュニケーションを上手に使うことが大切です。直接顔を合わせなくても「人を気遣う」「不快にさせない」「TPOへの配慮」というマナーの本質は変わりません。これらをふまえた上で、時代に臨機応変に対応できるビジネスマナーを実践していくことが重要となるでしょう。
※Web会議では、参加者の人数や使用するパソコンのモニターサイズにより、モニター上の顔の大きさが異なります。この記事は、参加者が5人から15人程度までの会議に、12から16インチ程度のモニターを使用して行うことを想定しています。
■参考文献
Rey L.Birdwhistell,Kinesics and Context:Essays on Body Motion Communication Philadelphia:Univ.of Pennsylvania Press.[1970]