亀山早苗の恋愛コラム

夫を嫌いになりたくない…セカンドパートナーとつきあう女性の言い分

彼女たちが「セカンドパートナーが必要」と語る裏にはどんな心理があるのだろうか。夫を嫌いになりたくない……など、セカンドパートナーとつきあう女性の言い分についてお話しします。夫と一緒に暮らしながら、妻はセカンドパートナーに惚れ込んでいるのです。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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夫を嫌いになりたくない……セカンドパートナーとつきあう女性の言い分

セカンドパートナーとつきあう女性

セカンドパートナーとつきあう女性

彼女たちが「どうしても彼が必要」と語る裏にはどんな心理があるのだろうか。
 

夫と息の詰まるような生活を経て

「2カ月半、彼に会えなかったんですよ。会えたときは涙が止まらなかった。私にはやはりこの人が必要なんだと改めて思いました」

目を潤ませながらそう言うのは、ルリさん(45歳)だ。再会する日はじゅうぶんに彼と打ち合わせた。高校生になったばかりのひとり息子が夕方まで帰ってこない日で、パートが休みの日。彼も日時を合わせてくれた。

「朝10時から会って、夕方までずっとラブホにいました。私、お弁当を作って持っていったんです。彼も喜んでくれました」

3歳年下の彼とは2年にわたるつきあいだ。以前は「ただ、好きだから」と内なる情熱に従って恋をしていたつもりだったが、自粛生活で家族と顔をつきあわせているうちに、彼が「必要な人」へと変わっていったという。

「7歳年上の夫とは、結婚して17年たちますが、家族3人であんなに密に暮らしたのは、この自粛生活が初めてです。夫は3月末から在宅になり、週に1度の出社が続き、あとは家にいる。会議をしたり取引先に電話をかけたりしているのがイヤでも耳に入ってきて、『この人はどうしてこんなにエラそうなんだろう』としょっちゅう思いました。今までは夫がいないのが当たり前だったので、改めて夫を人間として見つめる時間があり、夫への評価はダダ下がり。息子も『おとうさんみたいな人が上司だと、下がつらいよね』と言うほど。怒鳴ったりするわけじゃなく、嫌みたらたらタイプなんですよ。陰険なの(笑)」

そんな夫の視線は家庭内にも容赦なかった。献立から味つけまで、ちらっと発するひと言が、ルリさんの心を傷つけた。

「毎日3食作るだけでも大変。それなのに食べると、『味が濃いな』『出汁とってる?』など初歩的なことをひと言発する。こっちこそ味わかってるのかと言いたいくらい。そもそも夫はグルメでもないですしね。でも何か言わないと気がすまないんでしょう。『家長だから』。これ、自粛生活中の夫の口癖だったんです」

日々、ストレスがたまっていったが、夫に面と向かって何か言うと家庭内の雰囲気が悪くなる。そんなとき、話し相手になってくれたのが彼。彼にも家庭があるが、時間を見つけてはテレビ電話やメッセージなどで会話を楽しんだ。

「今日は何時から買い物に行くというと、それに合わせて彼が電話をくれる。彼が出社する日は、私も散歩と言って外に出てテレビ電話をしたり。彼がいなかったら、うちはとっくに崩壊していたと思います。家庭が崩壊しないのは彼のおかげ」

もちろん、そんなことを夫に言うわけにはいかないが、それが真実だとルリさんは語気を強めた。
 

夫の言動をスルーするために

「夫と密着するとろくなことがありませんね」

ため息をつきながらそう言うのは、エイコさん(40歳)だ。同い年の男性と結婚して10年、8歳と5歳の子がいる。夫の在宅勤務ではやはりストレスがたまったという。

「うちは友だち夫婦みたいなところがあるから、お互いに言いたい放題だったんですが、さすがに毎日一緒にいると言いたいことを言っているうちに本気でケンカになっていく。それがわかったので、夫の言動をあまり気にしないようにするしかありませんでした」

とはいえ、狭い家で一緒にいればどうしても目に入り、耳に入るのが夫の言動。エイコさんをストレス地獄から救ってくれたのがつきあって1年になる8歳年上の彼だった。

「多忙な人なので、もともとしょっちゅう会えなかった。でもこの期間は彼も週に2度の出社になり、出張などもできなくなっていたので、時間があったんでしょうね。彼が『明日は出社ということになっているけど時間がある』と連絡をくれるんです。私も基本は在宅勤務だったけど、夫には出社だと言って何度か出かけました」

彼に会えば、日頃の憂さは忘れられる。夫の愚痴を言うと、彼は「男の立場で言えば」と解説してくれることもあった。結果、夫を心から憎まずにすんでいるのは彼のおかげなのだとか。

「文句ばかり言うくせに、いざとなると私を頼るんですよね、夫が。それについても彼が『結局、男は妻に認められたいんだよ』って。彼もそうなのかなと思ったけど、彼の家は奥さんが淡々としていて、あまりかまってくれないとか。だから私と一緒にいるときは年上なのに甘えてくる。夫に甘えられると腹が立つけど、彼に甘えられるとうれしいのは、やはり恋をしているからなんでしょうね」

以前、とある既婚男性が「妻がやると腹が立つのに、彼女がやるとかわいいと思うことが多々ある」と言うのを聞いたことがある。男女ともに、「外の異性」には甘いのだ。

「今は離婚することはできないし、離婚までは考えていないけど、ずっと夫を嫌いなままで暮らすのはつらい。彼がいることで、私は夫を嫌いにならずにすんでいるんだと思います。立場上、彼はセカンドパートナーだけど、心の中ではファーストパートナーなんです」

夫という名の男性と一緒に暮らしながら、妻は身も心もセカンドパートナーに惚れ込んでいる。セカンドがいることでファーストが輝くわけではなく、なんとかファーストパートナーとの間を壊さずにすんでいるのだろう。いいとか悪いとかで括れる問題ではなさそうだ。

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