別れを告げずにフェードアウトする「自然消滅」とは

大人の恋の終わらせ方とは?

大人の恋の終わらせ方とは?


つい最近、「恋が終わった」と言う人、数人から話を聞く機会があった。結婚している夫婦の場合、白黒はっきりさせなければ離婚という手続きには至らないが、恋愛の場合は「自然消滅」という終わり方がある。そして大人の恋の終わり方としては、これがベストだという意見もけっこうあるのだ。

自然消滅とは、別れを告げずに恋愛がフェードアウトして終わることを指す。どのくらいの期間連絡がないと自然消滅なのかというのは一概には言えないが、話を聞いていると数か月単位であることが多い。また、自然消滅への経緯は、何か修復不可能なトラブルがある場合もあれば、どちらかが愛想をつかして自然消滅を狙ってあえて連絡を絶ったり、誘いを断り続けたりするケース、または、相手に「しばらく距離を置きたい」と伝えた上でフェードアウトするケースもあるようだ。

女性たちはどういう心理で、どんなきっかけで彼氏との仲を「自然消滅」させるのか。
   

彼でなければいけない理由がなくなって、連絡をとらず3カ月

「どうしても彼でなければいけない理由がなくなって」

どうしても彼でなければいけない理由がなくなった。

3カ月前、2年ほどつきあっていた彼と連絡をとらなくなったアヤコさん(42歳)。

「彼とは結婚も視野に入れてつきあっていたのですが、だんだんいろいろなことで違いが見えてきた。何度も話し合ったりしたものの、相容れないんですよね。たとえばマメに連絡をとりたい私と、用がないと連絡してこない彼。私は少しの時間でも会いたいけど、彼はゆっくり時間がとれないと会いたがらない。休みの日も、私は出かけたい、彼は家にいたい。一緒に旅行したときも、あちこち行きたがるのは私で、彼はひとつの場所でゆっくりしたいタイプ。お互いに譲歩しあったりもしたけど、結局、心から楽しめなかったりするんです」

彼のことは好きだが、一緒にいて最高に楽しいとは思えない。常に「そこそこ」の感じ。そうしているうちに、アヤコさんは「どうしても彼でなければいけない理由がなくなっている」ことに気づく。

「ある日、ひとりで映画を観に行き、そのまま関心がある講演会に出かけて、帰りにひとりで食事をしたんです。オープンキッチンだったので、店の人といろいろ話しながら食事をして、とっても楽しかった。彼と一緒にいるよりひとりのほうが行動範囲が広がるんだな、誰かと知り合えたりもするなと思ったら、つきあっている意味がなくなっていると自分の中で結論が出てしまった。だからといって、積極的に別れたいわけでもなかったんですよね」

そのまま彼に連絡をしなくなった。彼からは何度かメールが来たが、「仕事が忙しい」と返事をした。

「いや、本当に仕事が忙しかったんですけどね。ただ、前ならどんなに忙しくても時間を作って彼に会っていたはず。私のなかで何かが変わってしまったのかもしれません」

仕事の合間を縫って女友だちに会い、たまに実家に戻ってゆっくりし、趣味のバイオリンを再開したら、彼に会う時間はますますなくなった。

「完全に連絡をとらなくなって3カ月。自然消滅したんだなあと思っていますが、また会う可能性もなくはない。友だちからは『すっきりしないのってイヤじゃない?』と言われるけど、私は別にこのままでいいかなと思っています」

2年もつきあったのだから、最後はきちんと白黒つけるべきだという意見もあるだろう。だが、彼女はこの曖昧な終わり方こそ、大人の恋愛の最後にふさわしいと言う。

 

揉めずに穏便に、まずは距離を置くことに

もうひとり、アヤコさんよりもさらに長い、4年にわたった恋愛を終わらせようとしているのがミナさん(38歳)だ。相手は同い年のバツイチ男性。

「最初の2年くらいは私が結婚したくて、彼を急かしたこともあるんですが、彼はバツイチということもあり、乗り気ではなかったみたい。一緒にいて楽しいし、そのうち私も結婚にこだわらなくてもいいかと思うようになって……。でも、それと同時に彼への情熱も冷めていったような気がします」

それからは半同棲状態が続いた。お互いにひとり暮らしの部屋はありながら、週末はどちらかの部屋で過ごす。その距離感が居心地よかったのだという。

「ただ、ふと彼にとって私って何だろう、私にとって彼は何だろうと思うようになったんです。別に結婚という形をとることだけが重要なわけではないけど、この先、ふたりは何かひとつの目標に向かって進んでいけるのだろうか、と思ってしまって」

仕事のジャンルが違うから、お互いに相手の仕事のことはわからない。共通の趣味があって一緒にやっているわけでもない。話していると楽しいけれど、温厚な彼の意見にどこか物足りなさを感じてもいる。

「彼は平穏無事が何よりというタイプなんです。私はもっと刺激的な人生を送りたい。その違いは決定的なんですよね。私にとって彼は“世の中の常識”という判断基準にはなりますが、パートナーとしてはやはりあまりおもしろくないんです」

少し離れてみよう、と彼に提案し、彼の部屋に行かなくなった。

「彼と過ごしていた時間を失ったら、何をしたらいいかわからなくなるかもしれないと思っていたんですが、実際はそんなことはなかった。スポーツジムに行き始め、興味のあったガラス工芸教室に通い始め……。自分から何かを求めていくことがこんなに楽しいなんて、今さらながら知りました。そしてスポーツジムで知り合った男性と、ときどき食事に行くようになったんです」

彼とは今もLINEなどでつながっていて、たまに連絡をとりあってはいる。新しく知りあった男性とは、まだつきあうともつきあわないとも決めていない。そんな宙ぶらりんな状態は、以前だったら不安でたまらなかったはずなのに、今は楽しんでいる自分がいるとミナさんは言う。

「好きな人とつきあえばいいし、情熱が冷めたら離れればいい。そんな簡単なことができずに、“彼”なんだから毎週会わなければいけないと思い込んでいたんですよね。基本はひとりであって、ひとりで何でもできるんだとわかると、自分の心に忠実に行動できるのかもしれません」

 

「嫌いになったわけではない」からこその自然消滅

アヤコさん同様、ミナさんも彼を嫌いになったわけではない。ただ、少し離れてみたら、彼がいなくても大丈夫だったとわかってしまっただけだ。

「このまま自然消滅に向かうと思います。それがいちばん揉めずにすむから。彼も大人だから、何も言ってきません。お互いに『いなくてもやっていける』とわかってしまったとき、自然消滅はいちばんいい方法なんじゃないでしょうか。いつかどこかで会ったときにまたすんなり友だちとして話せるような気がするし」

白黒つけないグレーの部分で、ゆるやかに恋愛を終わらせる。確かに大人の恋愛は、互いの心を察して揉めることもなく自然と離れていったほうが傷つかずにすむのかもしれない。

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