アドバイス1 バイトに切り替えても、教育費はなんとかクリアできる
ご相談は、第2子が中学受験を終えるまで、現在の預貯金で乗り切れるか、ということですが、ご家族の年齢を拝見すると、ご主人が60歳の時、第1子が22歳、第2子が20歳ですから、大学にかかる費用まで大丈夫かを考える必要があると思われます。今後、さくらさんが退職し、バイトに切り替え、ご主人が定年退職する60歳までに、どのくらい預貯金が貯まるのか、まずは、計算してみましょう。さくらさんは、扶養の範囲内で働くということですから、月8万円程度の収入とすると、世帯収入は45万円となります。支出は現在と変わらず、約27万円とすると、毎月18万円の黒字ですが、生活スタイルが変わると支出が増える可能性もあるため、18万円のうち15万円を貯蓄するとします。年間で180万円です。ボーナスはご主人のみとなり、これまでどおりの支出とすると、貯蓄に回せるお金は70万円。合計すると、年間貯蓄額は250万円です。
ご主人が60歳になるまでの12年間で3000万円貯めることができます。これに、さくらさんが退職するまでに貯まると書かれている700万円(子ども名義を除き)、お子さん2人の学資保険の満期学資金600万円。すべて合わせると4300万円となります。
お子さんお2人に教育費をどこまでかけるのか、私立でも文系なのか、理系なのかでも必要な学費は変わってきますが、4300万円あれば、お子さんの教育費については、問題ないでしょう。
アドバイス2 老後資金は、60歳以降の働き方次第で変わる
中学から私立であれば、1人1500万~2000万円の教育費がかかります。2人で3000万~4000万円。60歳時点での預貯金4300万円がどのくらい残るかは、教育費次第となります。その残った預貯金と、ご主人の退職金、すでに全納されている個人年金が850万円。これが夫婦の老後資金となるわけです。その後、ご主人が65歳まで働き、さくらさんも働き、現在の支出27万円をまかなえるだけの収入が得られれば、公的年金の受給が始まる65歳までの間、老後資金を取り崩すことなく生活することができます。お子さんの教育費がかからなくなり、生活コストをさらに抑えることができれば、この間も貯蓄することが可能でしょう。
65歳以降は公的年金と個人年金、さくらさんが、まだ働ければ、その収入が世帯収入となります。ここまで老後資金を取り崩すことなく、貯蓄の上乗せもできていれば、ひとまず安心していいのではないでしょうか。
アドバイス3 できるだけ早く復職し、私立の学校外費用を想定しておく
さくらさんがこれだけの収入を得られているのに、いったん退職する、という決断をされたことに、何か申し上げる立場にはありませんが、世の中の情勢も変化しています。4年後に今と同じ収入が得られるのか、その点はとても心配になります。ここまでのアドバイスは、さくらさんがバイトに切り替えたとして、試算してきたものですから、できるだけ早く復職されれば、その分は、老後資金に上乗せでき、心配はなくなると言えるでしょう。
現在も家計管理をしっかりなさっておられますので、ぜひ今後も続けていってください。ご両親に渡されている2万円は、そのまま継続するのかという点もクリアにしてください。子どもの学習費は、これ以上増やさないと書かれていますが、とかく受験対策を始めるとお金は次々と出ていきます。塾外でのママ会といった交際費、衣服代など、かけようと思えばキリがありません。その点も注意されてください。
最後に保険ですが、もしも心配であれば、終身タイプの保険ではなく、掛け捨てで保険料が割安な定期保険に加入し、保障額1500万円、保険期間10年で十分です。保険料は毎月数千円で収まるはずです。
住宅ローンも完済され、個人年金や学資保険も全納され、さくらさんが、これまで計画的に考えてこられたことは、十分わかります。どうぞ、無理をなさらず、お子さんを交えて、今後のことをご家族でご相談なさってみてください。
相談者「さくら」さんから寄せられた感想
いろいろアドバイスいただき、今後どうしていけばいいかが明確になりました。ありがとうございました。●マネープランクリニックのラジオ番組を始めました!
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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
取材・文/伊藤加奈子
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