新型コロナウイルス感染症の影響を受け、生活に困っている世帯に対する生活維持のための臨時の支援として、30万円が給付されるという「生活支援臨時給付金」制度が直前でキャンセルされ10万円一律給付の「特別定額給付金」に急遽変更となりました。
令和2年4月20日閣議決定がなされ、一方で「生活支援臨時給付金(仮称)事業の実施について」(令和2年4月9日総行政第55号総務大臣通知)は、廃止されたことが正式発表されているので、右往左往しましたが、「特別定額給付金」の運用が開始されることとなります。
そこで、ここでは、まずは発表された「特別定額給付金」制度の給付対象者や給付金額の基準、受給手続き上の添付書類や注意点という点について整理しておきたいと思います。
給付の対象となる人は誰?
「10万円一律給付」制度の正式名称は「特別定額給付金」といわれています。給付対象者1人につき10万円なので、たとえば5人家族であれば50万円となるということです。税法でいうところの「控除対象配偶者である」とか「扶養親族である」とかの適否判定に必要となる「合計所得金額48万円以下」という所得制限は付されていません。受給権者は、給付対象者の属する世帯の世帯主
- 給付対象者は、基準日(令和2年4月27日)において、住民基本台帳に記録されている者
- 受給権者は、その者の属する世帯の世帯主
令和2年4月27日に、住民基本台帳に記録されている?
なお、一部で「ネットカフェで寝泊まりしている人やホームレスの取扱いはどうなる」ということが話題になりまししたが、現行、住民登録がされている市区町村で給付申請は可能との見解を総務省が出しています。また、基準日は令和2年4月27日とされているため- 令和2年4月27日以降にお亡くなりになった方……支給の対象
- 令和2年4月27日の直前にお亡くなりになった方……支給の対象外
具体的な申請の流れはどうなる?
具体的な申請の流れとしては、郵送の場合■市区町村が世帯全員の氏名が記載された申請書を登録住所に郵送
↓↓
■世帯主や代理人が金融機関の口座番号などを記載
↓↓
■運転免許証の写しなどの本人確認書類を添付して市区町村宛てに返送
↓↓
■世帯分の給付金が口座に振り込まれる
という流れになります。
たとえば5人家族であった場合、その家庭の世帯主がとりまとめて行うと、世帯分の給付が指定口座に振り込まれることとなります。
給付申請は、いつからはじまる? 申請期限は申請受付開始から3カ月以内
なお、郵送受付ほかオンライン申請もできます。申請の受け付けと給付の時期は各市区町村に裁量権があり、郵送での申請とオンラインでの申請のそれぞれに受付開始日を設けることができますので、これから各自治体がホームページ等でその情報を周知していくことがもとめられるでしょう。また、申請期限は申請受付開始から3カ月以内とされていますので、「申請ありき」というのもポイントです。
なお、総務大臣が4月20日に会見で「人口規模が小さい自治体では、5月から給付が開始できる」との見通しを述べたということから、比較的規模の小さい市区町村から運用が開始されるのではないでしょうか。
受け取らないという選択肢もあり
給付対象者(この欄が様式案ではすでに印字されてることになっています)の右側に、「特別定額給付金を希望されない方につきましては以下のチェック欄(□)に×印をご記入ください」との記載欄があります。この□欄に×印を記入すれば、給付を受けないことも可能だし、期限内に申請書を提出しなければ給付を受けないという選択肢もありえます。
DVが問題となっている場合等その他の疑問点
しかしながら、離婚調停中や、ドメスティックバイオレンスが問題となっている場合、あるいは育児放棄をしている場合には「給付金が必要なところに行き渡らない」可能性も否定できません。そのような場合には、「基準日において、配偶者からの暴力を理由に避難し、配偶者と生計を別にしている者及びその同伴者であって、基準日において居住している市区町村にその住民票を移していないものについては、一定の要件を満たし、その旨を申し出た場合には、当該市区町村において給付対象とする。DVが原因で別居されているケースについては、申し入れを受ければ避難先の自治体で世帯主とは別に受け取れることも検討している」と総務省から発表されている資料にもあるので、個別具体的な対応を待ちましょう。
なお、総務省内にコールセンターが設置されました。
【コールセンターの概要】
○連絡先 03-5638-5855
○応対時間 9:00~18:30 (土、日、祝日を除く)
必要に応じてこちらを活用してみるのもいいのではないでしょうか。
くれぐれも注意したい詐欺被害
なお、特別定額給付金の現行様式案の末尾には【代理申請(受給)を行う場合】との記載とともに、代理人申請や代理人住所を記載する欄もあります。ということは今後、特別定額給付金の代理人申請詐欺が横行することが予想されます。
現時点では
- 市区町村や総務省などが、住民の皆様の世帯構成や、銀行口座の番号などの個人情報を電話や郵便、メールでお問合せすることはありません。
- 市区町村や総務省などが現金自動預払機(ATM)の操作をお願いすることは、絶対にありません。
- 市区町村や総務省などが「特別定額給付金」の給付のために、手数料の振込みを求めることは、絶対にありません。
自宅や職場などに市区町村や総務省などをかたった電話がかかってきたり、郵便、メールが届いたら、市区町村の窓口、あるいは最寄りの警察署(または警察相談専用電話(#9110))に一度冷静になって連絡してみることをお勧めします。
こういう時だからこそ、ひとつひとつニュースソースを確認することも今後重要となってくるでしょう。