お金の悩みを解決!マネープランクリニック/教育費が準備できるか不安な子育て世代

45歳貯金370万円。農業の収入の不安定さと公的年金の少なさが不安です……(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、ご主人は会社員、自身は農業を営む45歳の主婦の方。不安定な収入面と公的年金等の少なさから、教育資金、老後資金で悩んでいるとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 完済したローンの支払い分はしっかり貯蓄に

まず、現在の家計管理ですが、無駄なく堅実にやりくりされていると思います。負担となっている2本のローンはどちらもそろそろ完済ですから、その後は自動的に貯蓄率もアップします。
 
具体的には、ローンの支払いとして月額7万円がそのまま貯蓄に移行すればいいでしょうが、今後、児童手当の支給もなくなり、お子さんにかかる費用が増えることが想定されますので、頑張って5万5000円貯蓄に回すとします。現在の貯蓄ペース(NISAの積立分含む)が月4万円ですから、ボーナスからの貯蓄と合わせて年間150万円貯めることができます。
 
来年からこのペースで貯められるとすれば、ご主人定年までの14年間で2100万円。これに今ある貯蓄と2本の学資保険の満期金(計600万円)を合わせて3070万円。ここから、今後かかる教育資金等を差し引いた額が、60歳時の手持資金=老後資金となります。
 
では教育資金として、今後どのくらい必要でしょうか。これは進路によって大きく変わります。大学が私立文系なら学費は平均400万円、私立理系なら540万円ほど。2人で大学費用として1000万円は見ておきたいところです。ただし、先の試算で教育費として月4万円を計上していますが、高校は公立に進学してもこれでは足りないでしょう。もし私立に進学となれば、公立の倍のコストとなります。大学費用も学費以外に通学代や教科書代等がかかります。一方、下のお子さんが大学卒業の時点で教育費と学資保険の掛け金が発生しません。
 
それら諸々を考慮して、やや多めながら1500万円を新たに教育資金として捻出するとします。加えて、大きな支出にクルマの買い替えがあります。60歳までに予算200万円×2回で400万円とすれば、手元に残るのは約1200万円(あれば退職金を加算)。これが実質の老後資金となります。
 

アドバイス2 長く働くことで老後資金の目減りを遅らせる

1200万円が老後資金として足りるかどうか。これは明言できません。ただし、不足に備えるための老後対策はあります。
 
長く働き、老後資金の目減りをできるだけ遅らせることです。ご主人は再雇用で定年後も働かれるとのことですが、退職後も健康面で問題がなければ、アルバイトで構わないので、より長く収入を得るという意識が大切です。70歳まで働くことが、決してめずらしくない、そんな時代になりつつあります。まして、公的年金が多く望めないのであれば、なおさらこのことが重要と考えてください。
 
一方、みみずくさんは農業という収入面で不安定なお仕事ですが、自分のペースで長く働けるという大きなメリットがあります。体力的にご苦労も多いでしょうが、食費等のコストを抑えることができるのも利点です。
 
現在発生している家賃も、実家に移り住むことで、相続されると固定資産税が発生しますが、それでも住宅コストはかなり抑えられるはず。いろいろ工夫されれば、70歳まで老後資金に手をつけないで済むことも十分可能だと考えます。
 

アドバイス3 早めに進路について親子で話し合いたい

今後のマネープランで不安要素があるとすれば、やはり教育資金。もしもお子さんが東京など、自宅通学ができない大学等に進学した場合です。お子さんの生活費、つまり仕送りが発生するからです。
 
金額はその家庭によってまちまちですが、平均額は年間100万円ほど。4年間で400万円。もし2人なら倍の金額です。こうなると、その後のご夫婦のマネープランはかなりきびしくなります。ぜひ、早めに高校卒業後の進路について親子で話し合ってください。
 
進学先、進学の有無など、お子さんの希望をしっかりと聞くことが大切ですが、その内容によっては奨学金利用という選択肢が出てくるかもしれません。しかし、返済義務のない給付型(国や地方自治体、学校独自のものもある)なら問題ないですが、貸与型であれば、それはそのままお子さんの借金となります。社会に出る前から数百万円を背負う負担は、相当に重たいものです。ぜひ、慎重に検討してください。
 
最後に保険について。学資保険は22歳満期ですから、第1子名義の保険の満期金を第2子の学資に充てることになるかと思います。それよりも気になるのは、ご主人の死亡保障。現在確保されているのが、病気死亡で600万円。学資保険も死亡保障の役割を果たしますが、それでも不足しています。
 
現在加入の終身保険を払済保険にして、新たに死亡保障1000万円、保険期間10年の定期保険に加入します。保険料は月3000円程度ですから、必要保障額が確保できて、保険料が結果的に5000円浮きます。保険の見直しをお勧めします。
 

相談者「みみずく」さんから寄せられた感想

老後資金や教育費について漠然とした不安が、先生からいただいたアドバイスによって、具体的に数字としてイメージすることができました。老後が資金面できびしいことに変わりはありませんが、収入と支出面で整理ができて、気持ちを新たに家計管理を頑張ろうという気持ちになり、感謝しています。先生からご指摘いただいた子どもたちの進路と主人の保険について家族でよく話し合い良い答えを導き出せたらと思っております。この度はありがとうございました。


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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武


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