一斉休校、外出自粛要請……ストレスを溜めた子に外出制限を続けさせる難しさ

不機嫌な子どもをなだめる母親

休校や外出自粛などによる子どものストレス。親はどう対処していけばよいのでしょうか?

感染拡大が続く新型コロナウイルス感染症。東京都は不要不急の外出自粛が要請されるなど、花見などの行楽も含め、各種イベントが中止されています。海外ではさらに厳しい外出規制措置が取られている国も多く、各国の厳しい状況は多くの方が報道で目にされている通りです。一人一人がウイルス感染を防ぎ、また、無症状感染の状態で知らずに誰かにうつしてしまわないよう、厳重な注意が必要な局面です。

しかしこのように緊迫した状況でも、感染への不安や深刻さの実感がまだ乏しく、感染防止につながる行動が取れない人たちも少なくありません。一概に年齢だけではいえませんが、高齢者に比べれば重症化しにくいという情報を過信してしまった若年層は、休校を始めとする非日常なストレスの中で、さらに自粛までする必要を感じにくい面もあるようです。

知らずに感染したまま出歩いて、他人を命の危険にさらさないよう、一層の注意をしていきたいところです。とはいえ、こうした自粛ムードの中でも、ある程度の年齢になった子を持つ家庭では、「子どもの行動を制限しきれない」という悩みもあるようです。頭ごなしに「外出はダメ」と家で戒厳令を敷いても、遊びたい盛りの子は親の目を盗んで出かけてしまうかもしれません。叱る→逃げるの不毛なイタチごっこに陥らないために、親はどう接すればよいのか、私の意見をお伝えします。
 

若い世代は「現実原則より快楽原則」……前提として年代の性質の理解を

親子関係が少し難しくなってくる10代の子に対し、「感染源になるかもしれないから集まってはダメ!」と正論で言い聞かせても、勝手に友達との約束を取りつけてしまい、気がつけば家にいない……ということも、珍しいケースではないのでしょう。
 
全ての人が自主的に行動を自粛できればよいのですが、若年層という年代の性質・傾向を考えても、現実的には難しいものがあるかもしれません。幼児から10代、また学生まで、本来子どもとは好奇心旺盛で、楽しいことを優先させてしまうものです。現実原則より快楽原則に従って生きている、それが子どもの特性。大人に近づくほど、現実原則に従って生きられるようになりますが、個人差も大きいものです。

まずはそのことを理解した上で、子どもが納得する方法でとるべき行動を選択させることが大切です。
 

頭ごなしは逆効果! 大切なのは自分で考えて決めさせること

最も大切なポイントは、子どもが自分で何をすべきかを考え、それを自分で言葉にして表現することです。そして、世界的に未曽有の出来事に直面している今こそ、「自らやるべきことを考え、有言実行する」という自主性を育むのに適した時期ともいえます。
 
このような局面でなくても、子どもは大人から「〇〇してはいけない」と一方的に言われると、それを破りたいという反抗心を持ちがちです。また、「子ども扱い」されて楽を覚えると、とことん楽をして子どもっぽい行動を取ってしまうという性質もあります。

その一方で、「子どもにも大人と同じように考える力、実行する力がある」と信じてもらえると、その自覚を持って行動したいという成長欲求もあるのです。したがって、大人が「〇〇するべき」と一方的に教えるより、子ども自身にとるべき行動を考えさせること。そして、決めたことを自分で守れるように導く方が効果的だと言えます。

現在のケースであれば、次のような順で子どもと話し合い、子どもの考えを引き出し、本人の口から自分の言葉として行動の指針を出させるのがよいでしょう。
 
  1. 新型コロナウイルスの“ハイリスク者”でなければ、絶対に安全だといえるのか?
  2. ハイリスク者以外も全員に外出自粛が求められているのは、なぜなのか?
  3. 感染しない・させないために、今、自分にできることは何だろう?
  4. 友だちに会いたいとき、友だちから遊びに誘われたときには、どうするか?
  5. リスクを冒さずに、自粛ストレスを解消する方法はないか?
 
このように子どもに問いかけながら、子ども自身に答えを見つけてもらうとよいでしょう。どのような答えが出ても、あるいは答えが出なくても、否定はしないこと。「難しい質問だけど、一生懸命考えてくれてるね」というように、質問に真摯に向き合っていることにOKメッセージを伝えましょう。
 
もちろん、各質問ごとに、大人の立場からの正答やアイデアを用意しておくことは大切です。しかし、絶対に「こうするべき」と答えを押しつけないことも大切です。本人から良い答えが出ない場合には、「たとえば、こんな風に考えることもできるんじゃないかな」というように提案型でヒントを伝えると、子どもは自分自身で答えにたどりつきやすくなります。

人は自分自身で答えを見つけ出し、それを言葉にすると、その言葉に責任を感じるようになります。子どもも同じです。したがって、「〇〇しなさい」と他者から言われたことをやるより、自分が「〇〇したい」と言ったことをやる方が、断然成功しやすいのです。
 
とはいえ前項でお伝えしたように、まだまだ現実原則より快楽原則に影響されやすいのが子どもであることを忘れないでください。自分の口から「こうするよ」と伝えても、その通りに完璧には守れないものだと思っておきましょう。
 
だから、守れないからと言って叱らないことが大切です。守れなかったとしても、自分の口から「こうするよ」と言った言葉は嘘ではないのです。本人が真剣にそうするべきだと考えて、口に出した言葉です。約束を守れなかったときには、「あのときこう言ってたね。そのとき、どんな気持ちでそう思ったのか、振り返ってみようよ」というように、真剣にそう考えた時に戻り、有言実行に導くことが大切です。何度でもです!
 

長期戦の自粛ストレス……ストレスや不安を受け止めた上で前向きな提案を

非日常的な自粛ストレスは、大人にとってもつらいものです。子どもがイライラしてつい物にあたってしまったり、やる気を失って生活が自堕落になったりすることがあっても、ある程度は無理もありません。頭ごなしに叱らずに、「そういう気持ちになるのも無理はないよね」と、まずは子どものやりきれない気持ちをまるごと受け止めましょう。そして、「お母さんもやりきれないときには、そんな気持ちになることがあるよ」というように共感しましょう。すると、子どもは「自分の気持ちを分かってくれた」「大人でもこういう気持ちになるんだな」と思い、安心します。
 
そして、こうした状況の中でも少しでも生活を楽しく、充実させるために、今できることを一緒に考えてみるといいでしょう。たとえば家から出てはいけないときこそ、親子で一緒に普段はつくらないようなデザートを作ってみる、思い切って部屋の模様替えをしてみる、など、家で過ごす時間があるからこそできることに取り組むチャンスだと考えることもできます。
 

大人も前向きな考え方を意識して、子を支えられるメンタル管理を

子どもは、大人の気分や思考、行動に影響されて成長します。世の中が自粛ムードで物々しい雰囲気になっていても、大人が希望を失わず、限られた環境の中でも楽しく、充実した生活をしようとする姿を見せていると、子どもの気持ちも明るくなり、楽しく生活するアイデアをたくさん考えていくようになります。ぜひ、まずは大人自身が前向きな考え方、前向きな行動をするように心がけていきましょう。
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