体力テストとは……現状の体力・運動能力が把握できるスポーツテスト
本来であれば遊びの中でも向上する体力。例えば雲梯遊びでは、楽しみながら子どもの握力を鍛えることができます
皆さんも学校で「体力テスト」「スポーツテスト」を受けた経験があると思います。これは文部科学省が実施する「体力・運動能力調査」の通称です。現状の体力・運動能力を把握するため、学校での活動や家庭内での過ごし方、また環境や時代の変化など、さまざまな要因が子どもたちの体力・運動能力に対してどのように影響しているのかをみる指標として用いられています。
また得られた測定値を参考にして、生活習慣の見直しや体力・運動能力の向上に役立てられる方法を模索するための資料としても使われます。
現在行われているのは、1999年より実施されている「新スポーツテスト(新体力テスト)」と呼ばれるもので、走力を測る「50m走」や、筋力を見る「握力」、敏捷性を見る「反復横跳び」などの9種目で構成されています。それぞれ対策法・伸ばし方が異なりますが、今回は特に最近10年で中学生以上の男子において明らかな低下傾向が見られる「握力」について解説します。
握力は短期間で鍛えられる? 劇的変化は難しいが日々の工夫で向上
握力は最大筋力を知る測定方法として、体力テストでも実施当初から採用されています。長年にわたる測定によってデータが蓄積され、年代だけではなく他人との比較もしやすくなっているため、握力は筋力の指標として用いられています。筋力は短期間で劇的に変化するものではありませんが、日々の過ごし方やトレーニングを続けることによって向上すると考えられています。
握力を鍛える方法……グーパー運動、掃除、雲梯遊びなども効果的
握力を鍛える基本的な方法は、「物を握る動作」です。自宅で器具なしで今すぐできるものとしては、入浴時にお湯の中で手のグーパー運動を繰り返すこと。方法は至って簡単です。- グーで力強く握る
- パーでリラックスする
これを30回程度繰り返します。慣れてきたら2~3セット行うようにしましょう。お湯による水の抵抗の中でも簡単にできるようになったら次のステップです。パワーボールなどの握力を鍛えるための専用アイテムもありますが、ソフトテニスボールなど柔らかいボールで大丈夫です。ボールをしっかり握る動作を繰り返し行いましょう。
また、トレーニングとして改まって行わなくても、濡れた雑巾などを固くしぼる動作などで握力は鍛えられます。お子さんの場合は、家の掃除などを手伝ってもらいながら握力を鍛えることも可能です。
さらに屋外であれば雲梯やロープを使った綱上り、綱引きなどでも手をグッと握る動作を繰り返し行うため、楽しく遊びながら握力を強化することができます。
体力テストに向けて頑張ろうと思っている親子の読者に一言アドバイス
体の成長は個人によって違うため、体力テストを他人と比較して一喜一憂するものではありません。あくまでも以前の自分と比べてどうか、これからどのような体力要素が必要かといったことを参考にしましょう。もちろん握力を鍛えることは体全体の筋力指標として参考になるものですので、日常生活やスポーツの場面においても「物を握る」という動作を意識し、楽しみながらトレーニングを続けていくことが大切です。■参考
「平成30年度体力・運動能力調査」の概要(PDF)(文部科学省)