アドバイス1 年払いを毎月払いにして家計の平準化を。来年4月から再スタート
ご主人の収入減をきっかけに、家計が変わってしまったことが大きな要因ですが、そのことは承知されておられるので、今、できることを一つ一つ解決していくしかありません。これまで年間40万円かかっていた特別費のうち、年払いのものは、できるだけ毎月払いに変更し、家計の平準化を図っていきましょう。毎月4万円の赤字とのことですが、現在の収支で、約1万9000円が使途不明金になっています。細かく家計を管理されているとは思いますが、今は1000円、2000円も見逃さず、家計把握を改めて行ってください。その上で、毎月1万円は貯蓄する(結果的に支払いに回ったとしても)ことも意識してください。
今すぐに赤字解消は難しいと思いますが、来年4月からお子さんが幼稚園に入園できれば、そこから再スタートが切れます。今は、家計を把握して、手続きなどできるところから進めてください。
その際、新たな出費にはなってしまいますが、夫婦それぞれ医療保障は確保してください。ご主人のがん保険は解約。共済なら2000円程度で最低限の保障は得られます。今、ご主人だけでなく、ほかほかあんまんさんが病気になられたりすると、生活、家事育児が立ち行かなくなる可能性もあります。今ある貯蓄はお子さんのために手をつけたくない、という意思を持っておられるのは立派ですが、いざというときに、取り崩さなくてもいいように、最低限の医療保険だけは加入してください。
アドバイス2 教育費はなんとかなるが、老後資金の目途は立たない
幼稚園については、幼児教育無償化がスタートしていますので、幼稚園費用は基本的にはかからずにすむでしょう。入園を機にパートに出られることができれば、そこからが貯めどきです。8万円程度の収入を得ることができれば、ご主人の収入と合わせて月35万円。特別支出用に4万円積立をし、児童手当と合わせて4万円は貯蓄に回すことができます。まず、赤字解消と毎月の貯蓄のためには、8万円の収入アップはどうしても必要です。ただ、毎月4万円の貯蓄では、教育費の確保が難しくなってきます。ご主人が元の職に戻れる可能性があるなら、その目途を立てて少しでも収入アップを目指してほしいです。ほかほかあんまんさんも、パート収入10万円、できれば厚生年金に加入できる働き方を検討してほしいと思います。
毎月6万円貯蓄できれば、教育費はなんとかクリアできます。毎月6万円貯蓄で年間72万円、お子さんが大学を卒業するまでの18年間で、約1300万円貯めることができます。教育費として小学校から高校まで公立、大学は私立文系とすると、少なくとも900万円が必要です。1300万円から差し引くと残り400万円。この間、車の買い換えで200万円使うとすると、残り200万円。これに現在の貯蓄130万円を加えると、お子さんが大学卒業時点で残るお金は330万円。ご主人61歳、ほかほかあんまんさん63歳です。
この試算も、ご主人の収入アップ、ほかほかあんまんさんも収入アップ、毎月6万円の貯蓄ができるという前提での話です。ご主人は個人事業主ですから、何歳まででも働けますが、それでも限界はあるでしょう。老後資金の道筋は、立てにくいのが現状です。
アドバイス3 収入合算しても住宅購入は難しい。収入アップは不可欠
貯蓄が進み、教育費の確保ができた段階で、もし住宅購入するとしても、ご夫婦の収入を合算して住宅ローンを組むことになりますが、ローン審査が通るのは難しいかもしれません。仮に借りられたとして、頭金200万円、住宅ローン1800万円を借りると、毎月の返済額は8万円となり、現在の住居費より高くなってしまいます。そうしたことを考慮しても、住宅購入は難しいと言わざるを得ません。逆に、現在借りている賃貸住宅は、そこでなければ仕事に差しさわりがあるのでしょうか? 仕事場にもなっているのでしょうか? そうでなければ、公営住宅への住み替えを検討してみてもいいのではないでしょうか?
まずは、ご主人の収入アップ。来年4月から、ほかほかあんまんさんは最低月8万円、できれば月10万円以上の働き方を目指してください。そのためには子育てにご主人の協力は欠かせません。現状維持では前に進むことができません。来年4月、ほかほかあんまんさんが、仕事に就くことができたら、もう一度、相談をお寄せください。その時点でもう一度、計画を立て直しましょう。
相談者「ほかほかあんまん」さんより寄せられた感想
このたびは貴重な機会をいただきありがとうございました。深野先生からのアドバイスを読んで、文末のあたたかいお言葉に思わず目頭が熱くなってしまいました。具体的に月払いにして月の出費をならすこと、全く考えていませんでした。確かにその方が臨機応変に対応できますね。早速取り組みます。住居も公団などにうつれるといいのですが、なかなか猫を飼育できる物件が見つからず諦めていました。もう少し探してみたいと思います。ほかにもすぐに実践できるアドバイスをいただき、冷静に俯瞰する目を失っていたことに気づかされました。まだまだできることがあると気力がわいてきました。職探しも頑張って、また違う家計データでご相談できるよう楽しみながらやっていきたいと思います! ありがとうございました。★「お金の悩みを解決!!マネープランクリニック」の過去記事はコチラへ
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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
取材・文/伊藤加奈子
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