お金の悩みを解決!マネープランクリニック/50代以上の家庭のお金悩み相談

53歳専業主婦、貯金500万円。老後のことを考えて収入を増やしたほうがいいですか?(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、今まで共働きで働いてきたものの、職場の廃業をきっかけに退職して専業主婦になった53歳の女性。老後に向けて収入を増やしたほうがよいと考えているものの、今後は親の介護や孫の世話をする可能性もあるとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 今の貯蓄ペースなら、経済的な不安はないが、年間経費は明確に

すでにお子さん3人が独立され、これからが最後の貯めどきです。現在の貯蓄のペースでいけば、この先の経済的な不安は、まったくありません。
 
毎月の家計で特に無駄な支出はありませんので、このままの家計で、毎月7万3000円、ボーナス200万円を貯蓄。ただし、毎月の貯蓄分は、交際費、家電買い換え費用、車検と車のメンテナンス費用、自動車税、家の固定資産税などの年間経費として使うとのことですから、カウントしないとすると、ご主人が60歳までの7年間で200万円×7年=1400万円が貯まります。これに現在の貯蓄500万円と退職金の1000万円を加えると、60歳までに貯められるのは、2900万円ということになります。
 
毎月の貯蓄分は年間経費として使うとしても、車関係費と固定資産税は毎年かかりますが、そのほかの交際費や家電などの買い換え費用は毎年発生するわけではありません。貯蓄の使い方としては、いいのですが、あらかじめ年間の予算を決めて、残りは老後のための貯蓄として、明確に分けたほうがいいでしょう。毎月貯蓄で年間87万6000円貯まります。その半分は、年間経費としても、50万円程度は残りませんか? これも貯蓄として残せれば、7年で350万円。先の計算の2900万円に加えて、3250万円。これが60歳までに貯められるお金、ということになります。
 

アドバイス2 65歳まで再雇用で働いた分、余裕になる

3250万円の中から、キッチンリフォームの費用(100万円程度)、軽自動車(200万円程度)を差し引くと、残りは2950万円となります。
 
ご主人が60歳から65歳まで再雇用で働くことができれば、今のような貯蓄はできないかもしれませんが、貯蓄を取り崩すことなく、生活はできると思いますし、この5年間は、できるだけ貯蓄を取り崩さないような家計管理を心がけてください。
 
ご主人が65歳で住宅ローンを完済する予定ですが、60歳時点での残りは550万円程度ではないでしょうか? 退職金が出たら、それで完済してしまってもいいかもしれません。先に計算した金融資産、2950万円から550万円を引いても、2400万円残ります。計算の誤差を考慮しても、2000万円以上は65歳時点で残せるわけです。再雇用で収入減がそれほどでもなければ、その分は貯蓄に上乗せできますから、もう少し、余裕ができるでしょう。
 
ご主人が65歳になったら、ご夫婦で月23万円の年金での生活になりますが、その時点では、いずれにしても住宅ローンはないので、住居費が削減でき、毎月の支出は16万4000円。年金だけで十分生活していくことができます。
 
以上のように、今の貯蓄のペースを続け、年間経費の管理をしっかりしていけば、今後の住宅にかかる修繕費を出しながらも、老後生活の経済的な不安は、まったくない、といってもいいでしょう。ご安心ください。
 

アドバイス3 介護、孫の世話も大事だが、気晴らしに出かけるように

実は、バナナさんのご相談内容を拝見して、最初に気になったのは、親御さんの介護やお孫さんのお世話に関することです。これまで共働きで、なかなか親孝行ができなかった、お子さんのサポートをしたい、というお気持ちになられたのはわかります。でも、そういうゆとりができた今だからこそ、バナナさんご本人、ご夫婦の老後について、考えてほしいと思います。
 
経済的な理由で、働く必要はありませんが、もしも今後、親御さんの介護が必要になった場合、そのサポートは10年、15年と続いていくことになり、徐々に時間的な負担も重くなっていきます。それに加えてお孫さんのお世話ともなると、ご自分が自由に使える時間はなくなっていきます。
 
今、ご自身の老後を見据えて、何か新しいことを始められてはいかがでしょうか? 趣味でもいいですし、短い時間のパート、アルバイトでもいいでしょう。そうした自分の時間を確保したうえで、できる介護、できるお孫さんの世話、と考えてみてください。それが一番、心配です。幸い、親御さんはお元気とのことですから、今後、介護が必要になった時に、どういう公的なサービスを使いたいか、どのような介護を希望されるかも、確認しておくのもいいでしょう。
 
家計も、貯蓄も、問題ありません。もう少し肩の力を抜いて、上手に気晴らしされるといいと思います。
 

相談者「バナナ」さんより寄せられた感想

この度はありがとうございます。隣の芝は青いといわれるように資産を多く持たれた方の記事を見てはつい不安な気持ちになり、専業主婦に戻ったこともあり焦りがあったのだと思います。深野先生のアドバイスをいただき少し安心いたしました。これから親たちの介護がどれだけ続くのかはわかりませんが趣味や息抜きも交えながら肩の力を抜いて寄り添っていきたいと思います。ありがとうございました。


★「お金の悩みを解決!!マネープランクリニック」の過去記事はコチラへ
★「お金のことで悩む人に、貯金のコツを伝授!貯蓄達人の貯めワザ」はコチラ

教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子


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