癇癪持ちの子ども、"キレやすい子"の性格は治せる?

癇癪持ち・キレやすい

癇癪持ちの子どもやキレやすい子どもへの対応に頭を悩ませる親御さんは少なくありません


私は婦人科のクリニックで漢方相談を行っていますが、40~50代の方の診療中には、子育てに関するご相談も多くいただきます。お子様の年齢によってお悩みの内容も多岐に渡りますが、2歳のイヤイヤ期を始め、3~5歳頃のまだ小さなお子様がいらっしゃる方からは、子どもの癇癪や、夜泣き、またチック症などのご相談が少なくありません。

子どもに癇癪持ちの傾向がある場合、外出先などで癇癪を起こされると周りの目が気になり強く叱ってしまい、余計に手がつけられない状態になってしまう……といったケースでは、どう対応するのがよいのか、癇癪は自然に治るのか、悩まれる方も多いように思います。
 
癇癪持ちの子が成長し、小学生になってからもその傾向が強い場合、今度は「子どもがキレやすくて心配」「"すぐキレる子"になってしまった」といった表現でのご相談になります。
 

「疳(かん)の虫」とは……東洋医学から見る子の癇癪

お子さまが癇癪持ち、キレやすいと感じられる場合、お母さまのご負担も大きいかと思います。西洋医学的では「癇癪持ち」に対しての治療は必要がないと考えられいますが、東洋医学では「疳(かん)」という概念があります。

「疳(かん)の虫のせいだ」といった言葉を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、「疳」とは、東洋医学でいう病気の総称で、特に脾疳=胃腸からくる症状とも考えられてきました。
 
そのため、実際の漢方の処方でも腹症=お腹の状態や、寒熱をベースに、お子さまの体質にあったものを選ぶことで、癇癪につながる「疳」を落ち着かせることができます。 以下では具体的な漢方の選び方について簡単にご紹介します。
 

癇癪持ちの子、キレやすい子に漢方薬での対処法

■甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)
発作的に激しい症状を示し、時にはひきつけを起こすような場合に用いられます。小麦と大棗と甘草というほとんど食品と言えるような生薬から構成されている処方ですが、意外に鎮静作用が強く女性のヒステリー発作にも用いられます。構成生薬が食品に近いため、夜泣きをする赤ちゃんにも使いやすい処方です。著しく冷えの強い場合以外は、あまり寒がりや、暑がりなどにとらわれずに用いることができます。
 
■桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
激しい発作ではなく、夜中に突然目を覚まして叫んだり泣いたりするという症状を伴う「夜驚症」、神経衰弱の体質を改善する目的で用いられます。お臍の辺りに動悸を触れることが特徴で、お腹は無力性であるのに、腹直筋の緊張しているのが特徴的です。お子さまが虚弱であったり、冷え性・疲れやすい、などの症状がある場合によいでしょう。
 
■抑肝散(よくかんさん)
神経過敏で興奮しやすいものの、甘麦大棗湯ほど急迫した症状が出ないときに用いられます。いわゆる癇の強い子供向きの方剤で、肋骨の下あたりを指す季助下から上腹部にかけて緊張していることを特徴とします。胃腸が弱いお子さまには、抑肝散に胃腸を整える生薬を加えた抑肝散加陳皮半夏もオススメです。歯ぎしりがひどい・寝言が多い、お子さまにも、寝る前の服用で効果が期待できます。また、チック症の症状に対して奏功することもあります。
 

子どもの癇癪やキレやすさに対処するためには親のメンタルケアも重要

小さな子どもの癇癪と異なり、思春期に入る頃の反抗期になると、親の言うとおりに漢方を服用して興奮を抑えることに、本人が積極的に取り組まなくなることもあります。しかし思春期のイライラやキレやすさに対しては、本人も感情を抑えることができず、辛く感じていることもあります。
 
その場合の対処法としてお勧めなのは、子どもではなく親のイライラを抑えることです。子どもの言動に親が反応して同じようにキレてしまうと悪循環になりがちです。反抗期のキレやすさは脳の成長過程としては一概に異常とは言えないため、他者に大きな弊害を与えるのでなければ、精神的なケアを行い、個性の確立を辛抱強く見守る時期と言えます。また、40~50代頃の女性のイライラを抑えるのは、漢方の得意分野です。子どもが"すぐキレる"ことに対してイライラを感じて辛い場合には、まずはご自身をしっかりケアすることで、余裕を持って接せられるようになることを目指しましょう。

漢方は、きちんと体質に合うものを使えば、大人だけでなく、子どもの体にも優しく、症状を緩和させていってくれるものです。専門家に相談し、体質にあったものを取り入れていただけると幸いです。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項