アドバイス1 妻の実家で同居、収入アップの道を考えて
複雑なご事情があり、大変なことだと心中、お察しします。そのうえで、厳しいことを申し上げますが、今は、奥さまの健康状態が心配なのと、何かあったときに、借金することになりかねない状態であるということです。まるたかさんが、強い気持ちで、決断すべきときだと思います。今、貯蓄しようにも貯蓄する原資がない状態です。収入アップの道を探って転職をするか、奥さまの実家でお義母さまと同居し、生活費を少しでも節約するしか道はないと思われます。奥さまの健康状態を考えても、慣れ親しんだ場所ということも選択肢としてお持ちのようですし。
資格取得が収入アップにつながらないのは解せません。今の職場でずっと働き続けるのでしょうか? 通勤に往復120kmもかかるとなると、まるたかさんの健康も心配になってきます。もしも、このまま同じ会社で働くのなら、もう少し近いところに引っ越しをするということも考えるべきです。しかしながら、現在、引っ越し費用を捻出するのも難しい状態です。
奥さまのご実家が政令指定都市にあるのなら、同居を考えられてみたらいかがですか? 働き口を探すのも簡単ではないかもしれませんが、正社員として転職できる可能性は高いのではないのでしょうか。そこまで、現在の住まい、職場にこだわる必要がなければ、同居とあわせて転職が最優先だと思います。
アドバイス2 投資する前に、貯蓄と保険の見直しを
将来の不安から、投資を検討する、というのは、絶対NGです。投資をする前に、やるべきことがあります。同居を前提に考えれば、現在かかっている住居費は浮きます。ガソリン代も減らせます。もちろん、生活費を実家に入れる必要はありますが、現在かかっている生活費をかなり抑えることはできるでしょう。その浮いたお金で貯蓄ができるでしょう。同居にかかる引っ越し代は一時的に、お義母さまからお借りすることになるかもしれませんが、支出が抑えられれば、上乗せして返済していくと約束することです。
もうひとつ、気がかりなのは、まるたかさんに万一のことがあった場合です。遺される奥さまの生活費として、死亡保障1000万円、期間20年の定期保険に、最低限でも加入してほしいと思います。割安な通販型の保険であれば、4000円程度で済みます。奥さまの医療保険の保険料が高いように思いますが、新たな加入は難しいかもしれませんので、このままで。まるたかさんの生命保険加入だけは、ご検討ください。
アドバイス3 養育費負担がなくなれば、60歳までに650万円が貯まる
現在、もっとも負担が大きいのが養育費です。現在の家計収支を前提にすれば、5年後には1万5000円減額され5万円となり、15年後にそれがなくなれば、6万5000円をすべて貯蓄することができます。5年後から60歳までの間で、約650万円貯まる計算です。転職して正社員で収入が上がれば、貯金も年金受給額もアップできることでしょう。60歳以降もできるだけ長く働くことが不可欠ですが、老後は安泰、とまではいかなくとも、ある程度の貯蓄はできるのです。今が、一番苦しいときだと思いますが、幸い、カードローンなどの借金があるわけではありません。どうか、良い決断をして、これから挽回していってほしいと思います。
相談者「まるたか」さんから寄せられた感想
先生には色々な方向からのご提案をしていただき、とても参考になりました。現状のままの場合、転職や同居という道もあるということを後押ししてくれました。もちろん、転職や同居というのは、容易なものではありませんが、一つの方法として検討していきます。★「お金の悩みを解決!!マネープランクリニック」の過去記事はコチラへ
★「お金のことで悩む人に、貯金のコツを伝授!貯蓄達人の貯めワザ」はコチラ
教えてくれたのは……
深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
取材・文/伊藤加奈子
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