アドバイス1 今は貯められない時と割り切って。徐々に貯蓄ペースを上げていこう
マイホームを買ったばかりで、お子さんも小さい今は、貯められない時期なのだと割り切りましょう。そうはいっても、頭金をたくさん払った後でも300万円の貯蓄があり、きちんと財形を続けているし、児童手当を積み立て、家計も赤字にならずにまわっています。苦しい時期ではありますが、しっかりと家計管理されていると思いますよ。ご自身がおっしゃるとおり、これから下の子が幼稚園に上がって時間ができたらパートに出て、少しずつ貯蓄ペースを上げていけば大丈夫でしょう。財形で毎年20万円の貯蓄を守りつつ、月5万円程度のパート収入から始めれば、下の子が小学校に上がるまでは年間で80万円、3年間で240万円貯められます。3年後、きゃろっとさんが41歳になった頃にパート収入が年間で100万円ほどになれば、財形と合わせて毎年120万円貯まります。60歳になるまでの19年間で2280万円貯まる計算です。
これに今ある貯蓄の300万円と、夫の退職金800万円、学資保険200万円、終身保険300万円、児童手当の250万円を足せば、60歳までに4130万円貯まります。
次に出ていくお金を見てみましょう。教育費は、公立の中学・高校で計300万円、大学400万円として、二人で1400万円を見積もります。車の買い替えが現在と同程度の車として450万円、次の買い替えは子どもが巣立っているでしょうから小さめに買い替えて300万円、合計750万円とします。
教育費と車の買い替え費用の合計2150万円を差し引くと、きゃろっとさんが60歳の時点で1980万円の老後資金が残ります。夫が再雇用、ご自身もパートを続けて夫婦二人で働いていけば、家計はまわっていくでしょう。
アドバイス2 余裕はなくても家計はまわる。妻の働き方次第でワンランクアップも
ただし問題は、夫が76歳になるまで住宅ローンの返済が続くことですね。これはかなり厳しいです。時期にもよりますが、トータルで1000万円程度を繰り上げ返済して、60歳代半ばでの完済を目指しましょう。その場合、60歳時点での老後資金は約1000万円になってしまいます。決して余裕があるとはいえませんが、二人で働きながら上手に創意工夫していければ家計はまわります。先にもお話ししましたが一番のポイントは、きゃろっとさん自身がパートに出るということです。
もし正社員として働くことができれば、経済面で老後をワンランクアップさせることができます。収入がぐっと増えることはもちろん、厚生年金に加入すれば老後の年金が増えますし、退職金の可能性もあり、老後資金の足しにできるはずです。厚生年金などの制度がきちんとあるのなら、派遣社員でも構いませんよ。少しシビアな言い方になってしまいますが、きゃろっとさん自身の働き方次第で、老後はいかようにも変わってくるということです。
アドバイス3 子どもが小さいうちは定期保険で十分な保障を確保しよう
最後に保険についてです。割り切れるのであれば、夫の終身保険と団体保険を解約して、下のお子さんが20歳になるまでの15年間、掛け捨ての定期保険で2000万円ほどの死亡保障を確保することをおすすめします。夫が現在加入している終身保険は特約がたくさんついているタイプで、少し割高なのではないかと推察します。団体保険も月々630円と聞くと安く感じますが、死亡保障は100万円だけです。1000万円の死亡保障が6300円だと考えると割高です。
掛け捨てで2000万円程度の定期保険に入りなおせば、月々6000~7000円ほどの節約になると思います。終身保険にこだわらなければ、「子どもが小さい時期」=「本当に保障が必要な時期」のみ、手頃な保険料で手厚い保障を得ることができます。小さいお子さんが二人いますから、現在の死亡保障では少ないです。団信で住宅ローンは相殺されることを考慮して、2000万円はお子さん二人の養育・教育費として確保しておければ安心です。
今は少し悲観的になっているかもしれませんが、きゃろっとさんがパートに出ることで、家計も生活もガラリと変わってくるはずですから、心配する必要はありません。家計管理がきちんとできていますから、これから収入が増えればその分だけ、貯蓄ペースもグッと上がっていくでしょう。がんばりすぎずに楽しみながら、ここからどうやって家計を改善していくか、前向きに家計管理を続けていってくださいね。
相談者「きゃろっと」さんから寄せられた感想
先生からのアドバイス、大変参考になりました。「今は貯められない時と割り切って」とのことなので、それだけで心が軽くなった気がします。私が、パートに出て収入が増えれば、老後の心配もなくなるときいて、正直ホッとしたのと同時に、私の働き方次第で、老後の生活が変わるときいて、がんばろうと仕事に対する意欲も出てきました。保険についても、主人と相談して、見直していきたいと思います。一番の悩みだった、私の家計管理についても、きちんとできているとおっしゃっていただいたので、これからも安心して家計管理していきたいと思います。今回、先生にアドバイスいただき、自信がつきました。これからは、楽しみながら、前向きに家計管理を続けていきたいと思います。ありがとうございました。★お金の悩みを解決!!マネープランクリニックの過去記事はコチラへ
教えてくれたのは……
深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
取材・文/長島美樹
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