映画「タイピスト」は、2013年、セザール賞新人監督作品賞など5部門にノミネート、フランス映画祭では観客賞を獲得し話題となりました。舞台は1950年代のフランス。田舎娘の主人公ローズが、タイピングの腕を見込まれ、早打ち競技大会で世界一を目指していくサクセス・エンターテイメント。
絵画のみならず芸術的なものに目がない絵画ガイドの私としては、この時代のファッションやインテリア、音楽の演出にも注目してほしいイチオシ作品なんです。
田舎娘がタイピングの世界一を目指す軽快なストーリー
女性の社会進出がままならない1950年代のフランス。タイピングの早打ちだけが取り柄の田舎娘ローズが、早打ち競技大会で世界一を狙うラブコメディ、かつサクセス・エンターテイメントです。
ローズは不器用だけど、意欲的で芯が強い正直もの。そして大会に出場する個性の強い女性達。社会で認められるために努力する女性たちの輝きも見どころのひとつです。
レトロなタイプライターが、返って斬新!
当時のタイプライターにも注目です。実家の雑貨屋にあったもの、特訓用、ローズの名前から作られたピンクのタイプライターなど、どれもレトロでおしゃれ!指1本で打っていたローズが、5本打ちできるようにと赤、黄、緑、水色とネイルで色分けするのもポップでかわいいんです。レトロでキュートな世界観が観る人を魅了してくれます。
1950年代のファッションが魅力的で素敵!
フランスモード界の黄金時代。ウエストラインを強調し、ふわっと裾の広がった優美なフォルムと美しい色彩。これはクリスチャン・ディオールのニュー・ルックが基盤となっていて、当時このスタイルに誰もが魅了されました。映画の中でも、ローズのドレスはどれもキュート。特に、大会時に着用したホルターネックの水色のドレスは、セクシーさの中にかわいさも光る、ローズにピッタリのドレスでした。
ストーリーもさることながら、これらのファッションや軽快な音楽で、清々しい爽快な映画に仕上がっています。ぜひ一度観て頂きたい作品です。
DATA
タイピスト!
監督:レジス・ロワンサル
出演:ロマン・デュリス、 デボラ・フランソワ