観光産業(グローバルツーリズム)は世界のGDPの約10.4%を占めている
投資の基本は高い成長が見込める地域や国、あるいは産業(業種)に投資することになります。高い成長が期待できる業種といえば、ITなどのハイテク産業が思い浮かびますが、実は旅行・観光サービス業の成長率は製造業に次いで第2位となっているのです。2018年の世界のGDP(国内総生産)の成長率は+3.7%(IMF)ですが、観光産業(グローバルツーリズム)は+5.9%もあり、その割合は世界のGDPの約10.4%を占めているのです。高成長の観光産業、今後も拡大トレンド
昨年まで高い成長をしてきた観光産業ですが、将来的な見通しはどうなっているのでしょうか?カギは中産階級の増加にあるといわれています。中産階級になるとモノの購入が増えるほか、余暇の充実させるため旅行が増えるといわれているからです。その中産階級、新興国の急成長により、既に世界人口の半数以上が中産階級となり、その割合は2020年には64%に達すると予測されています。
また、国際観光客到着数は当初14億人を達成するのは2020年の見通しでしたが、2年前倒しの2018年に到達。2030年にはその数は18億人に達すると予測されていることから、世界の旅行需要は拡大トレンドが続くというわけです。
投資信託を活用して観光産業の拡大トレンドを享受する
拡大が見込まれる観光産業ですが、旅行・観光産業は活動範囲は多岐にわたっているのです。旅行の準備、出発、空路・船旅・陸路、宿泊、旅行先等々、旅行に関するさまざまな局面にかかわる企業があることから、個別株で分散投資を行うのは実際的とはいえないかもしれません。投資信託を活用する場合、2本の投資信託が設定されています。 大和証券投資信託委託の「ダイワ世界ツーリズム関連株式ファンド」とキャピタルアセットマネジメントの「世界ツーリズム株式ファンド」です。
大和証券投資信託委託のダイワ世界ツーリズム関連株式ファンドは、2014年11月28日の設定ですから運用が開始されてからまもなく5年になります。設定来の運用成績は2019年6月28日現在6.0%とやや低迷しています。投資対象はアメリカが約62%、日本が約16%、イギリスが約8%と続いています。
組入上位10銘柄の資産配分比率は49%とやや集中しており、上位にはマクドナルド、スターバックス、ブッキング・ホールディングスなどが並びます。日本を含む世界の株式等の中から、ツーリズム産業の成長の恩恵を受ける企業の株式に投資されると交付目論見書に記載されていますが、業種でいうと一般消費財・サービスへの配分割合が約72%と偏りがあるように見えます。
キャピタルアセットマネジメントの「世界ツーリズム株式ファンド」は、2019年6月28日に新規設定されたファンドであることから、組入比率などはわかりません。ただ、同社のマーケティング本部の話を聞いたところ、一般消費財・サービスなどの一部の業種に偏るような運用は行わない予定とのことでした。
また、銘柄設定にあたってはスペインのバルセロナに本拠をおく「GVC Gaesco社」のアドバイスを受けています。同社が運用するユーロ建ての類似ファンド(2014年2月設定)の運用成績は年率リターンで9.84%の好成績をあげています。
今後の高い成長が期待できる観光産業。テーマ型ファンドはポートフォリオへの組み入れが難しいですが、コア資産はベーシックな資産で運用し、サテライト資産は世界ツーリズムファンドのように遊び心のあるファンで運用するのも1つの手といえるでしょう。
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