子どもに「お母さんなんか嫌い!」と言われてしまったら……

親子げんか・思春期の娘

大事に育てているのに、子どもから「お母さんなんか嫌い!」と言われてしまったら……。その発言の前にある「第一感情」にも目を向けることが大切です


まだまだあどけない小学生、大人びた表情を見せる中学生。どんな年齢であれ、大切に育てている子どもから「お母さんなんか嫌い!」と言われてしまったら、親は少なからずショックを受けてしまうものです。
 
しかし、その言葉通りに受け取ってはいけません。子どもは本来、親のことが大好きです。でも、期待していたのに自分の気持ちを分かってくれない、思い通りの言葉を返してくれない。そういった気持ちが募ることで、「親なんて大っ嫌い!」という気持ちが生まれてしまうことがあるのです。
 
もちろん、子どもが親に対して不満を抱く理由はさまざまです。その中でも、子どもが親に対して不快に感じる行動には、いくつかのパターンがあります。最も多いのは、子どもが傷つくようなことをズケズケと言ってしまうパターンでしょう。「もうちょっと美人だったら」「もうちょっと頭が良ければ」「いじけてないで」「〇〇ちゃんを見習ったら?」……というような発言です。

そもそも、親子は精神的な距離がとても近くて、遠慮がいらない関係です。そのため、お互いに感じたことをそのまま伝えてしまったり、相手が傷つくようなことを冗談めかして伝えてしまうところがあります。

また、子どもは家の中では気が緩んでおり、何度注意をされても、真剣に聞いていないことがあります。さらに、幼いうちには理解力が未熟であるため、遠回しな言い方をしても伝わらないことがあります。こうしたことから、親は「率直に言わないと伝わらない」「何度も言わないと伝わらない」と考えて、発言がきつくなったり、しつこくなったりしてしまうことがあります。

しかし、子どもはズケズケ言われると、平気そうに見えても、内心は傷ついています。すると、本当は親のことが大好きなのに、「無神経なことを言うから嫌い」と感じてしまうことがあるのです。
 

普通に育てているのに、子どもから距離を置かれるのはなぜ?

繰り返しになりますが、子どもは親を本心から嫌っているのではありません。本当は大好きなのです。実際に、子どもから「嫌い」と言われている、子どもから疎ましがられている、という場合でもそうです。こうしたときに、子は親を嫌っているのではなく、自分の気持ちを分かってもらえないことに憤っているのです。

したがって、まずは2つのポイントで、子どもの怒りを理解することをお勧めします。
 
1. 怒りは「第2感情」です。「第1感情」を理解しましょう

「大っ嫌い!」などの怒りの感情は「第2感情」といわれ、怒りの前には必ず「第1感情」が湧いています。第1感情には、「私のこと分かって」「もっとこうしてほしい」「もっと甘えたい」などの素直な感情があります。これらの感情を汲み取ってもらえないから、「大っ嫌い!」という第2感情が生じてしまうのです。

したがって、子どもの怒りにうろたえず、第1感情を受け取ってみましょう。そして、「こういう気持ちだったのかな? 気がつかなくてごめんね」と伝えましょう。すると、子の心の第1感情が満たされ、第2感情は消失します。
 
2. 思春期は親からの自立期。親を避けるのは「大人になるための通過点」と理解しましょう
 
児童期までの子にとって、親子関係はそれこそ「世界の中心」です。しかし、思春期を迎えると、子の心では大人として自立するための準備が始まります。すると、それまで親密だった親を避けるようになり、干渉を嫌がるようになるのです。

こうした行動もまた、親を嫌っているからではありません。むしろ、「親から与えられる立場」としての子どもの役割を卒業し、「親と対等にかかわる大人」になるための準備をしているのです。つまり、「成長して親に近づこうとしている」のだと捉えましょう。

一見、親を避けているように見えるので、「もう私なんて必要ないのかな?」と寂しく思ってしまうかもしれません。しかし、こうした中でも、親は「港」のように「安定していつもと同じ場所にいる」ことが大切です。それだけで、子どもは安心して成長することができます。
 

子どもが攻撃的な発言をしたら「受容と共感」でコミュニケーションを

子どもが親子関係で何かしらのストレスを抱えていると感じた場合、「あれしたら」「これしたら」と意見をするより、まずは「受容」と「共感」のコミュニケーションを優先させましょう。

子どもが何かを言ってきたら、まず「そうか」「そうだったんだ」「そう」「うん、うん」と相手の話をまるごと受容します。どんなことを言われても、まずは受容、が基本です。

たとえば「お母さん、ウザい!」と傷つくようなことを言われても、ムキにならないこと。「そう」などと言ってまずは受容(キャッチ)しましょう。

そして、次に共感です。共感では、「そう感じたんだね」「なるほど」「そう思うこともあるよね」「それはつらいよね」などと、「この子の立場ではそう感じるのだろう」と受け止めて共感的な言葉を返します。

先ほどの会話の例の場合、「お母さん、ウザい!」を「そう」で受容(キャッチ)した後、「ウザいって感じたんだね」などと共感的な言葉を返しましょう。ムカつく気持ちをぐっと抑えて、まずは「受容」と「共感」です。

その後で、「そう言われると悲しいなぁ」というように自分の気持ちを伝えたり、「どんなところをウザいって感じるの?」などの質問をしたりするとよいでしょう。こうすると、感情的にならずに落ち着いて話ができます。
 

子どもに感情的にならないために……「タイムアウト」での対処が有効

多くの親御さんたちは、子育てのイライラやストレスを子どもにぶつけないようにと気を付けているものと思います。そうはいっても、子育てをしていればイライラしてしまうことも、たくさんあります。

イライラは自然に湧く感情なので、発生を止めることはできません。でも、その感情が湧いたときに、後で困ったことにならないように対処することはできます。

たとえば、イライラしたときには、衝動的にその気持ちをぶつけるのではなく、「タイムアウト」をとること。いったんその場から離れる、冷たい水を飲む、トイレに入る、というようなリセット行動がタイムアウトにあたります。

こうして冷静になってから、子どもに注意をするなどの次の行動に移るとよいでしょう。
 

親子の会話は「試合ではなくキャッチボール」を目標に!

身体的にも精神的にも、日々成長している子ども。子どもから「嫌い」「ウザい」などのグサッとくるような言い方をされたとしても、まずは冷静になって「受容」と「共感」を心がけましょう。その上で、自分の気持ちを伝えたり、質問をしたりしましょう。

この点を心がけるだけでも、親子の会話を勝敗を決めるような「試合」にせず、建設的な双方向のやり取りである「キャッチボール」にすることができます。

ぜひ、親子のよりよい関係を育んでいくためにも、意識して行ってみてくださいね。
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