お金の悩みを解決!マネープランクリニック/マイホーム購入・住宅ローンで悩むファミリー世帯

4000万円の住宅購入して教育費・老後資金を作りながら、親も援助できますか?(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、注文住宅を購入しようと検討中の32歳の会社員男性。教育費や老後資金をためながら、親の援助も必要になりそうで心配とのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 マイホーム購入は問題なし。30年返済にする

注文戸建て住宅を購入したいとのことですが、結論からいえば問題なく希望のマイホームを購入できると思います。しゅんトト45さんは現在共働きでお二人の収入を合わせると児童手当を抜きにしても月に55万円、支出が25万円程度、それに奨学金の返済が1万円あるので、残り29万円が貯蓄に回しているお金です。

これだけで年間348万円、それにボーナスから100万円貯蓄しているので、年間448万円貯金ができていることになります。来年住宅を買うなら、これまでの貯蓄と投資の合計1720万円に1年分の貯蓄積み増し分を足すと1年後には2168万円の資産になります。

ここから頭金1000万円、諸費用300万円使ったとしても800万円ぐらい貯金を残しておくことができます。4000万円の住宅を購入し、住宅ローンを3000万円借りたとすると、金利1.5%、30年返済で月々の返済額は10万3500円ぐらいになります。35年返済にすると月々の返済額は9万1900円ぐらいです。

しゅんトト45さんは35年返済と考えているようですが、30年返済で大丈夫。そうすると完済が63歳になりますがこれでいいと思います。今の住居費負担よりローン返済額のほうが2万4000円ぐらい増えますが、今、月々の収入から29万円も貯金していますから、その程度の支出増は全く問題ないでしょう。

数年内にもう1人子どもが欲しいと考えているようですが、子どもが生まれて奥さんが休職し、収入が減ったとしても、また仕事に復帰するつもりなら一時的な収入の減少は問題ないでしょう。今後仮に月々の貯蓄額が15万円ぐらいに減ってしまったとしても、年間180万円、それにボーナスから半分程度を貯蓄に回せていれば、年間で240万円貯蓄できます。しゅんトト45さんは60歳まであと27、28年ありますから、仮にこのペースでお金を貯め続けたとしたら、定年を待たず25年後に貯蓄額が6000万円を突破します。

子どもが2人に増えて、それぞれ大学まで行かせたとしても、高校まで公立に進学させるつもりでいるなら教育費は2人合わせても1500万円程度あれば足りるでしょう。これを支出したとしても4500万円のお金が残せます。

さらにご夫婦ともにしっかりと退職金がもらえる予定で、その額が二人合わせて4300万円ほどになるとのことなので、老後の資金準備も心配しなくて大丈夫です。親の援助も少しぐらいはできるでしょう。車をいずれ購入予定とのことですが、これも問題はありません。
 

アドバイス2 数年以内に使う予定があるなら投資は控えめに

投資のほうもがんばっていろいろとやっていて、それはとても良いことです。ですが、これから近いうちに住宅を購入したり、子どもをもう1人希望していて一時的に収入が減るかもしれない可能性を考えると、資産のバランスが少しリスク高めになりすぎています。今は現・預金を多めにしておいたほうがいいでしょう。

住宅購入時に投資信託を一部売って資金準備しようと考えているようですが、今のマーケット状況がこの先も続くとは限りません。ちょうどお金が必要な時期にマーケットが悪化していたら資金計画が狂ってしまいますので、今から少し現預金の割合を増やしておきましょう。

マイホームを購入し、子どもが生まれて奥さんが仕事を復帰する時期には、その後の新たな家計の状況がはっきりするでしょうから、そこからまた投資の割合を増やしていくといいのではないでしょうか。老後資金準備もそれで遅すぎることはありません。

途中で住宅ローンの繰り上げ返済もできますから、繰り上げ返済を行えば60歳までにマイホームのローンは余裕で完済するでしょう。そうすれば貯蓄ペースもますます上がるので、65歳になるころにはもしかしたら1億円近くの資産になっているかもしれませんね。

それくらいしっかりと資金の準備ができますから、ある程度お金が貯まったら、保険はやめても大丈夫です。保険はイザというときにカバーする資産が少ない人が少ない人が加入するのが基本ですから、しゅんトト45さんのように、保障のためのお金が十分に貯まったら必要なくなります。終身で払い込む保険料は無駄になってしまうので、しっかり貯まった段階で保険は解約しましょう。貯金もできているし退職金ももらえるのだから、将来に対する過度の心配はいりません。
 

アドバイス3 実家に対する金銭援助は最終手段。順序を守って

ご両親に対する援助ですが、最初は肉体的な援助をやって、そのあとで必要なら経済的援助をという順番で考えたほうがいいですね。

援助を考える前に、親の年金や貯蓄、保険などの状況をもう一度確認したほうがいいでしょう。
まず自分たちのことをきちんと整えてそれから親の援助という順番は守ってください。援助する場合も最初からお金を渡すのではなく、別の形の援助ができないか考えて、そちらを優先しましょう。どうしてもお金が足りなくてほかに方法がないという状況になったら、最終手段として金銭的援助を考えましょう。

しゅんトト45さんはよく勉強されていて、無駄な支出もなくとてもきちんと家計管理ができています。趣味娯楽の支出がゼロというのはちょっと気になります。お子さんが小さいのでこれから少し増えるかもしれませんが、楽しんでお金を使うことも考えましょう。
 

相談者「しゅんトト45」さんから寄せられた感想

FP界の有名人である深野先生にお答えいただけるなんて、とても嬉しかったです。また、住宅を購入した上で、教育資金や老後資金の準備もできるとお答えいただき、夫婦ともに非常に嬉しく、安心しました。今までいろいろと調べて勉強してきましたが『無駄な支出もなくとてもきちんと家計管理ができています』という御言葉をもらえて、やってきたことは無駄ではなかったのだなと自分を認めてあげたくなりました。実家の問題にも肉体援助から資金援助と順番を提示していただけたことで、実親との話し合いにも活用できそうです。将来の不安に駆られて貯金・貯蓄へと励んだ日々でしたが、子どもが小さいうちにしかできないことにもお金をかけて、いろいろな体験をしていきたいと思います。家族仲良く、心も体も健康的に過ごしていきたいと思います。この度は本当にありがとうございました。


★お金の悩みを解決!!マネープランクリニックの過去記事はコチラへ

 
教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/堀内玲子




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