漢方相談でも非常に多いPMSの悩み・体験談

PMS症状に悩む女性

頭痛、下腹部痛、イライラ、だるさ、気分のムラ……毎月やってくるPMSの症状に多くの女性が悩んでいます


主訴以外のことについても、詳しい問診票に記入していただく漢方相談。女性の問診では月経にまつわる不調を尋ねる項目があります。この項目に全く不調の記載がない方は非常に珍しいもの。多くの女性が、特に月経前の時期は何かしらの不調を抱えて過ごされていることがわかります。

日本医療政策機構の発表(PDF)によると、現在または過去にPMS(月経前症候群)の症状があった人は実に70%近くである一方、それに対して何もしていないと回答した割合は60%を超えているという結果が出ています。PMSの症状は多岐に渡り、鎮痛剤などで十分対応できる方から、仕事に支障が出てしまうほど重い不調に悩まれている方までいます。
 
漢方相談の中では、毎月の生理の不調を「仕方がないもの」と諦められていた方から、漢方と出会ったことで「人生が変わりました!」と嬉しい言葉をいただけることもあります。今回は、PMS緩和のためのケア方法についてご紹介させていただきます。
 

 PMS(月経前症候群)とは・原因と主な症状

PMS(月経前症候群)とは、月経が近づくと起こるイライラや頭痛・腹痛を感じるなどの不調で、月経が始まるとともに症状がなくなることも特徴です。
 
PMSの主な症状としては 
  • 下腹部痛、頭痛を感じる
  • ニキビや吹き出物が多くなる
  • 肌荒れ
  • 食欲増進
  • 便秘
  • イライラする
  • 気分にムラがある
  • だるい
などが挙げられます。 
 
PMSの症状が起きる原因は、排卵後に分泌が多くなる黄体ホルモンによる心身の不調と考えられますが、それを強める原因として、ストレス、血行不良、ホルモンバランスの崩れなどが考えられています。また、タバコやカフェインなどにより、症状が悪化することがあります。

それらの症状を緩和させるためには、リラックスできる環境づくりや体をあたためる、食生活を見直すこともお勧めです。エストロゲンの代謝に関わるビタミンB6、抗酸化作用が強いビタミンEは、PMSや月経の痛みの軽減に繋がるという報告もあり、積極的に摂りたい栄養素です。
 
また痛みなどに対しては「とりあえず鎮痛剤を服用して凌いでいる」とお話しされる方も少なくありません。症状が強くて辛い場合には、早めに服用して対処するのはよいでしょう。ただ、過度の使用により血流を悪くしてしまうと、逆に症状が起きやすくなってしまうことがあるため、服用量には注意が必要です。
 

PMSに効く主な漢方薬・それぞれの特徴

漢方薬には、PMSの症状を緩和させる処方が多く存在します。上記の通り、PMS症状は多岐に渡るため、細かな問診と、漢方を用いるための体質診断である「弁証」が必要になりますが、服用することで辛いPMSを緩和させることができる方が多くいらっしゃいます。
 
■加味逍遙散(かみしょうようさん)
情緒不安があり、少し怒りっぽく、月経前にはさらにイライラして、胸の張りや頭痛なども多く、不定愁訴の訴えが多い肝気鬱結(かんきうっけつ)タイプの方には「加味逍遙散」を処方します。
 
■桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
血流が悪くなり、手足は冷えるが上半身にはほてりが生じ、また、めまいや頭重感、月経痛があり月経には塊が混ざるような瘀血(おけつ)タイプの方には「桂枝茯苓丸」を処方します。
 
■当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)
体力がなく、冷え(特に腹部)があり、それに伴う月経痛や下腹部痛がある脾陽虚(ひようきょ)タイプの方には「当帰建中湯」を処方します。痛みの緩和に重点が置かれた処方です。また、このタイプの方は血色が悪く、手足がほてったり冷えのある場合が多いです。
 
■当帰芍薬散
(とうきしゃくやくさん)
ストレスによる神経症やめまい、頭重などがあり、また、冷えや貧血、血の巡りが滞ることによる下腹部痛や水分代謝の低下による嘔気などがある血虚・水滞(けっきょ・すいたい)タイプの方には「当帰芍薬散」を処方します。
 
■芎帰調血飲第一加減
(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)
ホルモンバランスの乱れによるイライラや疲れ、月経不順や月経痛がある気滞瘀血(きたいおけつ)タイプの方には「芎帰調血飲第一加減」を処方します。産後の体力低下やホルモンバランスの乱れにも用います。
 
■桃核承気湯
(とうかくじょうきとう)
身体に熱がこもり便秘がちで、月経痛や腰痛があり、また、それらに伴ない気持ちが不安定になったりする心熱・瘀血(しんねつ・おけつ)タイプの方には「桃核承気湯」を処方します。
 
 

漢方薬の飲み方・注意点

PMSに対して漢方を始めたいときは、上記のように体質に合わせて複数の漢方薬から選択する必要があるため、漢方を専門に取り組まれているドクター、もしくは専門の薬局などの専門家にまずは体質を弁証してもらいましょう。

PMSは、服用を開始した周期、もしくは次の周期には、変化を感じる方が多いので、指示される日数は服用を継続してください。ただ、効果を感じられないのに、何カ月も漫然と継続することはお勧めできません。
 
上記の中には、体質に合わない場合には、副作用が出てしまうこともありますので、下記の症状などが出た場合には、服用を中止して、医療機関に相談しましょう。
 

漢方薬の主な副作用……下痢・軟便・食欲不振など

「漢方は副作用が少ない」と思っている方も多いですが、実は、副作用報告は少なくありません。漢方は本来体質をベースに処方を検討しますので、体質をみることなく、病名から漢方を処方されることが原因になり得ると考えられています。
 
また、頻度の高いものとしては、下痢、軟便、食欲不振、浮腫などがあります。気になる症状が出た場合には、医師、薬剤師に相談しましょう。
 

PMS改善のためには

PMSには血流やストレスの状態も影響するため、症状を改善させるには日々の生活習慣の工夫も大切です。黄体期には食欲が増進する方も多いですが、暴飲暴食やストレスの発散のために甘いものを食べ過ぎてしまうと、胃腸に負担がかかり、気力の低下を招くため、症状の悪化につながることがあります。
 
とはいえ、何もかも我慢をするのは、ストレスが溜まってしまいますよね。食欲が出た時やストレスが溜まった時に「これなら食べても大丈夫!」という食材を覚えておくのもお勧めです。イライラ予防には、香りのよい酸味のある食べ物などがよいでしょう。例えば、いちご、キウイなどの柑橘系の果物、トマト、酢のものなどの、甘酸っぱいような酸味をとることで肝の働きを高めることができます。
 
また、ストレスが重なりうまく発散できない状態が続くと、
  • 過剰に甘いものを欲する
  • イライラがコントロールできない
  • 満腹になってもまだ食べたい
といった症状が出ることがあります。

これは、中医学では「肝脾不和(かんぴふわ)」と呼ばれる状態で、中枢神経系・自律神経系・循環器系を司る「肝」の気(体のエネルギー)を巡らせる働きが低下して、消化器系の「脾」に負担がかかり、甘味を求めている状態です。この「肝脾不和」の状態の時には、チョコレートやケーキ、アイスクリームといった甘みではなく、お米やかぼちゃ、お芋などの自然の甘みがお勧めです。脾胃の状態が弱っている時に、チョコやケーキなど糖質や脂質が高いものをたくさん摂ってしまうと、脾胃の働きが低下して気の流れが悪くなり、悪循環になるので注意しましょう。
 
辛いPMS症状の緩和のために日常生活でもできることを取り入れ、毎月の憂鬱な時期を快適にしていきましょう。
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