お金の悩みを解決!マネープランクリニック/子どもが欲しいがお金のことが不安な人の悩み相談

41歳貯金400万円。私は第2子希望だが、夫は経済的に不安と言います(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、第2子希望とできれば住宅も購入したいという41歳の会社員・主婦の方。ただし、夫は経済的に両方の実現はきびしいと考えている。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 現状では老後資金にやや不安が残る

まず、第2子を出産したケースを考えます。前提条件として、出産は来年。産休、育休期間中は、家計は赤字にはならないが貯蓄もできない程度の収入。また、第2子が1歳になったとき時短勤務で職場復帰し、3歳になったらフルタイム勤務すると仮定します。
 
それを踏まえて、今後の貯蓄の推移を見ていきます。現在、毎月の貯蓄は6万円、年間で72万円。さらに、ボーナスから半分は貯蓄に回すわけですから、支給が少ない年でも40万円弱はできます。となると、目標額の年間100万円クリアされ、実際は110万円前後貯まっていることになります。
 
したがって、概算ではありますが、貯蓄額は今年が110万円、来年は0円、2年後と3年後はまた110万円、4年後にフルタイムに復帰し、収入が手取額で月7万5000円アップしますが同時に生活コストも若干上がるでしょうから、貯蓄に回せる額を年間70万円増とすれば180万円の貯蓄が可能となります。
 
また、児童手当は「別口座で」とありますので、毎月の6万円とは別に全額、貯蓄(または投資)に回していると判断しました。ここでは、中学までの教育費(高校以降は別途試算)、その他子育て費用に充てるとして貯蓄には含まないとします。
 
そして、4年後に希望どおり、諸経費込み3000万円の新築一戸建てを購入したとします。この時点で手持資金は、約900万円。ここから頭金を500万円出すとすれば、借入額は2500万円。返済を25年、金利1.8%(全期間固定)で試算してみますと、毎月の返済額は10万3500円。これに固定資産税と、将来に向けての修繕費用の積立分を加算すると、少なくとも月割りで2万~3万円は必要。結果、住宅コストは月13万円となり、現在の家賃より3万5000円アップします。年間で42万円ですから、180万円の貯蓄ペースは138万円に減額。もずくさんが定年となる15年間で2070万円、住宅購入時の貯蓄の残高と合わせて、2570万円となります。

ただし、途中、生活コストとして、一部の支払い保険料と奨学金返済がなくなります。これも貯蓄に回るとすれば、およそ3290万円が60歳までの貯蓄総額となります。

次に、ここから定年までに発生する大きな支出を差し引きます。まずは教育費として大学費用を私立文系、高校も念のため私立と仮定すると、学費だけで1人790万円ほど。2人なら1580万円。教育資金として加入されているご主人のドル建て終身保険の解約返戻金は不明ですが、元本だけで240万円ありますから、それを差し引くと1340万円。ただし、第1子同様、第2子の児童手当は中学までの教育費やその他子育て費用に充てるとして、ここでは加算しません。

他に大きな支出としてクルマの買い替えが想定されます。もずくさんが定年となるまで2回、予算200万円とします。また、海外旅行の費用として、年間12万円貯めていくとのことですから、19年間で約230万円。

結果、これらを合算して1770万円。これを先の貯蓄額から差し引けば1520万円。これに、退職金200万円を加算した1720万円が、もずくさん60歳時の貯蓄額=老後資金となります。
 

アドバイス2 住宅の予算を下げることも有効

60歳以降の生活費ですが、今の支出から類推すると、月30万円前後。ボーナスもご主人だけになりますから、支給額が変わらなければ、貯蓄に回るのは10万~20万円。昇給を考慮しなければ、月8万円の赤字になりますが、そこはもずくさんがパート等で働いて、貯蓄を減らさない程度に収入を得るとします。また、もずくさんが71歳のときご主人が定年ですから、ご主人も公的年金受給となる65歳までは働くことが必要でしょう。
 
それで、先の老後資金は足りるかどうかですが、現時点では不確定要素が多く判断はできません。ただし、生活費に対して公的年金の不足額が月5万円なら年間で60万円。予備費(住宅リフォーム費、病気・介護費用、長生きリスクの費用等)として700万~800万と考えると、実質17年で老後資金は底をつく計算になります。そう考えると、老後資金は必ずしも安心できる額とはいえません。
 
もちろんここまでの試算はあくまで仮定の話です。しかし、もずくさんのマネープランがリスクを抱えていることは確かでしょう。仮に第2子を出産しないとすると、単純に教育費が減り、もずくさんの定年までに得る収入が先の試算より増えます。概算で老後資金は1000万円超アップしますが、この額だと資金的にそう困ることはないと考えていいでしょう。
 
あるいは住宅資金を下げるということも対策のひとつ。借入額を2000万円に下げれば、住宅ローンの支払いは月8万3000円。支払い総額で620万円ほどコストダウンできます。
 

アドバイス3 家計の見直しによっては住宅購入も第2子も可能

家計の見直しは、さらに有効です。そもそも家計収支は9万6500円の黒字。そのうち、児童手当は考慮しないとしても、その分、家計支出を下げれば、年間150万円の貯蓄は可能となります。結果として、その程度貯蓄できていれば問題はありませんが、そうでなければデータ表記以外に、継続して毎月2万円が支出に回っているのですから、実際の支出の中身とその必要性は確認すべきでしょう。

もしその貯蓄ペースが可能なら、フルタイムに復帰後は年間200万円の貯蓄も不可能ではありません。結果、住宅の物件価格が3000万円でも、先に試算した老後資金は800万~900万円増えることになります。もちろん、定年までしっかり貯蓄が継続されることが大前提です。
 
最後に保険について。ご主人の3大疾病に備える保険については、詳しい保障内容が不明ですが、医療保障という意味では広く病気やケガをカバーするものが望ましいですし、単体の医療保険か医療共済でもいいのでは。

もずくさん加入の生命保険は解約して解約返戻金を確保するとのこと。それでいいと思います。ただし、3年後の解約なら、保険料は一括でその分を支払う、あるいは年払いにしてもいいと思います。解約後は保険期間20年、死亡保障1000万円程度の定期保険に加入。保険料は2000円台前半です。また、現在加入の医療保険ですが入院1万円は過大。5000円に下げていいでしょう。あるいは解約して、同程度の保障が得られる共済の総合タイプでもいいと思います。
 

相談者「もずく」さんから寄せられた感想

深野先生、ご診断ありがとうございました。自分でもなんとなく試算はしていたのですが、いつどの程度と具体的な数字と、自分でも想定していなかった固定資産税や修繕積立金なども含めてさらに現実的な老後資金を出していただきありがとうございます。最近の、老後は2000万円必要とのニュースがありますが、2人分で2000万円にも足りないこと、居住市内の相場を見ても、住宅の予算を下げるとかなり厳しい条件になってしまうこと、最近の育児疲れもあり、この結果を見てやはり第2子には消極的になっております(泣)。夫の医療保険、私の生命保険に関してこれから検討し、さらに家計の見直しに努めていきたいと思います! 本当にありがとうございました。


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武


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