タピオカは太る? ダイエット中でも大丈夫?
タピオカは大好きだけど、ダイエットもしたい! タピオカは太るのか、痩せるのか、栄養学的な正解は……?
人気のタピオカは、ずばり太るのでしょうか? それともダイエットにも有効な嬉しい食材なのでしょうか? タピオカが太るのか、痩せるのか、管理栄養士として解説したいと思います。
タピオカとは……キャッサバ芋のデンプンの塊
そもそもタピオカは、「キャッサバ芋」から取れるデンプンを丸めて作られている食品です。キャッサバ芋からあの丸い形状になるまでには、やや長い工程があります。まずキャッサバ芋をすりおろして脱水し、デンプンだけを集めます。それから集めたデンプンに吸水させ、沸騰した湯の中で糊化させ、水に浸け、中心までしっかり吸水させることで、その形状の美しさから「タピオカパール」とも呼ばれる、おなじみの丸いタピオカになります。タピオカは太る? 「デンプンの塊=カロリーの塊」は本当
見た目も美しいタピオカですが、その製造工程を見ると「デンプンの塊」であることは疑いようもありません。ではタピオカのカロリーは高いのでしょうか? 『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』によると、タピオカは乾燥状態で100gあたり355kcal。ゆでた状態では100gあたり62kcalです。
その他の栄養素については「タピオカは体に悪い?栄養素と健康への影響」でも詳しく解説しましたが、タピオカはほぼ100%が炭水化物。その他の栄養素はほとんど入っておらず、食物繊維も1%以下です。一度に食べる量は少なくても、「カロリーの塊」であることは間違いないでしょう。
加えて、「タピオカが太る」といわれる原因には、タピオカそのものの味の問題もあると思います。タピオカ粉を作る際、キャッサバ芋から取れたタピオカデンプンを水さらしするため、ビタミンやミネラルなどはほとんど流れ出てしまいます。そのままでは味もほぼなく、栄養源としての「うまみ」もありません。美味しく食べるために、甘みを濃くしたミルクティーやココナッツミルクに入れたり、砂糖などで甘みをつけたりして食べることが一般的です。砂糖もまた栄養源としてのメリットがあまりなく高カロリーなので、特に現在流行っている食べ方では「タピオカは太る」といわれても仕方がないかもしれません。
タピオカにダイエット効果はなし! 食物繊維や腹持ちも期待できず
タピオカがカロリーの塊である点はお分かりいただけたと思いますが、とはいえ、一度に食べるタピオカは少量です。食物繊維や腹持ちの観点から、ダイエット中でもタピオカのよい面を見つけ、「タピオカダイエット」などを考える方も出てくるかもしれません。まず食物繊維についてですが、残念ながら先述の通り、タピオカに含まれる食物繊維は1%以下。シンプルな見た目から食物繊維くらいは豊富なのではないか……と考えてしまう方もいるのかもしれませんが、100g中に乾燥状態で0.7g、ゆでると0.4gしかありません。
また、もちもちとした弾力があるので、食べていることで満足感はあるかもしれませんが、タピオカドリンクを1杯飲んでもさほどの量のタピオカが入っているわけではありません。腹持ちの面からのメリットも期待できるほどではなく、普通にすぐにおなかが減ってしまうと思います。
そして砂糖などが問題ならタピオカに味をつけずにそのまま食べる……と考える人もいるかもしれませんが、上述の通り、タピオカ自体にはデザートとして楽しめるような美味しさはなく長続きしないように思います。
残念ながらタピオカを使ったダイエット効果はあまり期待しないほうがよいでしょう。
ダイエット中のタピオカは「心の栄養」として楽しんで
ではダイエット中の人はタピオカを食べるべきではないのでしょうか? 管理栄養士としての答えは「No」です。デザートやミルクティーなどのドリンクに使われるタピオカは、 見た目もかわいらしく、美しい食べ物です。流行りのインスタ映えもするでしょうし、ダイエット中であっても心を楽しませてくれる息抜きの時間は大切です。ストイックで極端なダイエットは、食べる楽しみを制限するばかりでストレスも溜まりがち。健康的に着実に痩せるためには、適度におやつも楽しみながら、しっかりと長続きさせることが大切です。ダイエット中に限らずですが、デザートの真髄は「心の栄養」にあります。心と体の健康のバランスを上手にとりながら、楽しく健康的に日々を過ごしていきましょう。
■参考
- キャッサバの基礎の基礎が分かるキャッサバABC(jica)(PDF)
- キャッサバ(農研機構)