労務管理

在留資格とは?外国人労働者に関して知るべき基本と在留カード

外国人が日本国内で働くとき、重要なことは「在留資格」と仕事の内容が一致しているか?です。そもそも、在留資格って何?どのような在留資格であれば、どんな仕事をすることができるの?「在留資格」や「在留カード」に関係する手続きも合わせて解説します。

小西 道代

執筆者:小西 道代

労務管理ガイド

「在留資格」を持たない外国人は日本にいない?

在留資格

「在留資格」を持たない外国人は日本にいない?


在留資格は、外国人が日本に入国して在留することを認める資格です。日本国内にいる外国人は、必ず何らかの「在留資格」を持っています。在留資格を持たない外国人は「不法滞在」となり、発覚すると入国管理庁で収容され強制退去処分となってしまいます。また、外国人一人につき一つの在留資格が認められていて、一人で2つ以上の在留資格を持っている外国人はいません。
 

「在留資格」がある外国人は、全員「在留カード」を持っている?

日本国内にいる外国人は、全員が「在留資格」を持っていますが、「在留カード」が発行されるのは「中長期滞在(3ヶ月以上)」の有効期間がある「在留資格」を持つ外国人だけです(「特別永住者」、「外交」、「公用」等を除く)。観光などで日本を訪れる外国人の在留資格は、「短期滞在」です。「短期滞在」の在留期間は3ヶ月以内であるため、中長期滞在者には該当せず「在留カード」は発行されません。
 
なお、「在留カード」を発行されている外国人は、常時携帯する義務があります(16歳未満は免除)。警察官等に提示を求められたときは、必ず提示しなければなりません。在留カードを携帯していなかったとき、提示を求められたのに提示しなかったとき、ともに罰則があります(20万円いかの罰金など)。
 

日本で働くことができる「在留資格」とできない「在留資格」

在留資格は、以下の3種類に分けることができます。

・職種/業種を問わず働くことができる在留資格
「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」

・一定の範囲内の職種/業種/勤務内容に限って働くことができる在留資格
「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」
「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「介護」「技能」など

・働くことができない在留資格
「短期滞在」「留学」「研修」「家族滞在」「文化活動」
 

働くことができない「在留資格」でも働ける場合とは?

「留学」「家族滞在」の場合、「資格外活動許可」を受ければ働くことができます。ただし、働くことができる時間は、以下です。

1週間に28時間以内(学校で定められた長期休業期間に限り、1日8時間まで)

この時間を超えて働いてしまうと、在留期間の更新手続きで「更新が認められない!」等の大問題となってしまいます。1つの会社で働く時間を押さえたとしても、2つ以上の会社で働くときなどは合算されますので、1週間当たりの時間数を確実に計算して働かなければなりません。
 

「資格外活動許可」で働くときは、ここに注意!

「留学」には、大学や専門学校だけでなく日本語学校の学生も含まれます。日本語学校で日本語を学びながらアルバイトをすれば、より早く日本語を習得することができます。しかし、何らかの事情で学校を辞めてしまったときが問題です。在留資格「留学」の要件に当てはまらなくなってしまうため、日本に在留する資格がないまま日本にいる「不法滞在」となります。
 
これは、学校の卒業式が終わったあとのアルバイトでも同様です。卒業式をもって学生の身分がなくなるため、資格外活動許可の効力も消えてしまいます。卒業式が終わった後、アルバイト先から「1日だけでも手伝って!」と声がかかったとしても、働くことはできません。また、「家族滞在」は学生ではないため、「学校で定められた長期休業期間」がありません。必ず、「1週間に28時間以内」でしか働くことができない点に注意が必要です。
 

採用面接のとき、会社は「在留カード」のどこを見ているのか?

在留カード

在留カード


外国人を採用する会社は、在留カードを確認する義務があります。確認せずに不法就労させた場合、会社が「不法就労助長罪」に問われることになります。
在留カードの右上には番号が記載されていて、入国管理庁の照会サイトでは在留カードが有効か否かの照会をすることができます。偽造カードが多く出回っている現状から、このサイトで確認している会社も多くなっています。
 
採用面接で確認される点は、主に以下です(在留資格「留学」の例)。
  • 在留資格:留学
  • 就労制限の有無:就労不可
  • 在留期間:4年3ヶ月
  • 裏面の記載事項:資格外活動許可欄「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」
留学生がアルバイトをするときは、特に裏面の「資格外活動許可欄」を確認されます。
なお、在留カードを持つ外国人は、氏名や住所等が変わったときには「14日以内」に入国管理庁や住所地の市区町村へ届出をしなければなりません。正しく届出がなされると、在留カードの裏面に変更後の内容が記載されます。住民票に記載された住所と在留カードの住所は一致するため、会社が外国人を雇用するときはここで住所を確認しています。
 

働くことができる在留資格でも、単純労働はダメ!

日本国内で外国人がどのような仕事もできるとなると、日本人の失業が増えてしまう懸念もあり、「専門性が高い外国人に限り、日本で働くことができる在留資格を与えましょう」という方針でした。そのため、働くことができる在留資格には「日本国内で行うことができる活動」として、法律で具体的に職種や業務が限定されています。
 
在留カードの「在留資格」欄を確認することで、この外国人がどのような職種/業務で働くことができるのかが分かります。そして、限定された職種/業務以外で働くことはできません。

<例>在留資格:技能(外国料理の調理師として在留資格が与えられている場合)
→機械工場で単純労働者として働くことはできません。
調理師としてのみ働くことができます。

「永住者」「日本人の配偶者等」などであれば、このような職種/業種問わず働くことができます。日常生活において、コンビニや飲食店、工場などの単純労働で働く外国人を見ることが多くなりましたが、「留学」で「資格外活動許可」を得ている外国人留学生か、これら「職種/業種問わず働くことができる」外国人なのです。
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