お金の悩みを解決!マネープランクリニック/50代以上の家庭のお金悩み相談

57歳パート、貯金4400万。自宅売却とマンション買い替えて大丈夫?(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は1級障害者の夫を持ちパートで働く57歳の女性。現在居住中のマンションが老朽化してきたため、2年後くらいに買い替えを希望。4400万円の貯蓄の大半を買い替え費用に充ててしまって老後資金は大丈夫だろうか、賃貸中の不動産はどうしたらいいだろうか、というご相談です。そんな、ゆんちきさんのお悩みにファイナンシャル・プランナーの藤川太さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 生活に困る心配はない。ストレスをためない方が重要

老後のお金について不安を感じていらっしゃるようですが、はっきり言って心配は不要です。マンションの買い替えについても、自宅の売却価格2500万円+自己資金3000万円の予算だったら問題ありません。それよりも夫婦仲良く、ストレスをためないよう生活を楽しんでください。気をつけなくてはいけないのは金融機関にすすめられるままに投資商品を購入したり、詐欺的な商法に引っかかったりすること。それさえしなければ、お金で困ることはないと思います。
 
では、その根拠を説明しましょう。まず老後の支出を試算してみます。現在の家計からリタイアすることで不要になる定期代、支払いが終わる保険料、ご長男との同居解消で不要になる車両費、減額が見込まれる光熱費などを差し引くと約30万円。これが、毎月の支出の目安となります。

これに対して収入は、ゆんちきさんが退職する60歳~の2年間はご主人の厚生障害年金とゆんちきさんの個人年金①で月21万5000円。62歳~は特別支給の老齢厚生年金と個人年金②が加わり月29万5000円、65歳からは老齢厚生年金が10万5000円ですから月36万円。毎月の収入で支出が不足するのは、60~62歳の2年間だけということがわかります。不足額と説明しましたが、ゆんちきさんには不動産収入もあります。これもくわえて試算すると、貯蓄額が減る時期はあってもいま貯まっているお金を減らすことはありません。仮に不動産収入がなくなっても、65歳以降は貯蓄する余裕があるくらいです。これが、現在の貯蓄から3000万円をマンション買い替え費用として支出しても問題ないと判断する理由です。
 

アドバイス2 賃貸中の不動産は利回りが低いので売却の検討を

賃貸中の不動産については、私なら売却を検討します。というのは、売却したら1億3000万円程度の物件なのに家賃が30万円ということは表面利回りが3%を下回ります。不動産投資としては利回りが低いというのが理由のひとつです。くわえて都心部の不動産は、ここ20年くらい値上がりと値下がりを繰り返しています。家賃収入の利回りが低いということは、現在の物件価格はかなり値上がりした状況ともいえます。数年後に同じ金額で売却できるとは限りませんから、この値段で売れるのならば売却した方がいいのではないでしょうか。
 
ただ、賃貸中の物件の売却は、一般的に通常の住居としての売却に比べ価格が安くなるので、退去した時点での売却をおすすめします。現在の賃借人とどのような契約になっているかわかりませんが、退去してもらえるなら売却を検討する価値はあるでしょう。
 
売却する際の費用として大きいのは、仲介業者の手数料と売却益が出る場合の税金です。仲介業者の手数料は物件価格の3%+6万円が上限です。売却益に対する税金は売却価格から取得費(建物の減価償却を考慮した額)と売買時の費用を引いた金額の20.315%(所有期間が5年超の場合)です。もちろん売却損が出る場合は税金がかかりません。
 

アドバイス3 息子さんたちは現金で残してくれた方が喜ぶかもしれない

相続税対策という意味では現金よりも不動産として保有する方が有利といわれています。不動産には評価減ができるさまざまな制度があるので、相続税がかかる場合には有効です。ただ、その不動産もどこに残すかを見極めることが重要になってきます。次世代になっても市場性がある物件でなくては、親は資産と思って残しても喜んでもらえない可能性があるからです。不動産は管理などに手間がかかりますから、相続人からすると現金で残してくれた方が嬉しいという声が多いのも現実です。
 
賃貸中のマンションの立地はよさそうです。ただ、ゆんちきさんにはご子息が2人いらっしゃるとのこと。このマンションを公平に分けるために、兄弟の共有名義という形で相続したとしても、賃貸管理、家賃のやりとり、売却のことなどで思いがけないトラブルのきっかけになることもあります。相続税対策のために不動産を活用するのならば、トラブルを避けるための分割対策にも留意してください。
 

相談者「ゆんちき」さんより寄せられた感想

この度はアドバイスをいただき、大変ありがとうございました。夫はお金には無頓着で浪費家で、預金があるとわかると、そんなお金があったら使おうと言う人なので私は結婚以来一度も夫に家計を相談することができませんでした。夫には、現在の我が家の預金額も終身年金も私の厚生年金額も内緒でした。その上、自分の心配性の性格もあって、いつもいつも家計や老後を心配してお金の計算をしてきました。大げさではなく本当にいつも老後のお金の計算ばかりしてました。初めて誰かに(それも専門家の方に)相談ができて、「生活に困ることはない」と言っていただけて、やっと報われたように感じました。本当にありがとうございました。

教えてくれたのは……
藤川太さん 
 
 

 


All About「資産運用」ガイド。「家計の見直し相談センター」で10年以上にわたり1万5000世帯を超える家計の見直しを行ってきたFP。資産運用、家計管理、マイホーム購入、不動産投資などに詳しく「普通の人」でもお金を貯める・増やせるようになる方法をアドバイスしています。

取材・文/鈴木弥生




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