妊活・子作り・妊娠準備/妊活とは?妊娠したいと思ったら始めること

「卵子の在庫数」を調べるAMH検査を受けてみて

原子卵胞の数が、現時点でどのくらいあるのかを予測できるのが「AMH(アンチミュラリアンホルモン)検査」。若い頃から月経周期が長い&月経量が少ない、卵巣の手術や抗がん剤などの治療を受けたことがあるなどの場合は、AMHの値を参考に「いつ、どのように」妊娠を目指すのかを考えた方がよいでしょう。

清水 なほみ

執筆者:清水 なほみ

産婦人科医 / 女性の病気ガイド

胎児期でピークの原子卵胞数は毎月の排卵で徐々に減り、ゼロになり閉経

AMH(アンチミュラリアンホルモン)検査

原子卵胞の数が、現時点でどのくらいあるのかを予測できる「AMH(アンチミュラリアンホルモン)検査」

女性の卵巣の中には、卵子として排卵される卵の「元」となる細胞(原子卵胞)がストックされています。この原子卵胞の数は、実は胎児である20週くらいまでに急激に増えていき、ピークは約700万個になります。ところが、せっかく準備された原子卵胞は、生まれるころには約200万個まで減り、さらに思春期を迎えるころには20~30万個に減っていきます。

思春期を迎えると、毎月排卵が起こり、その数はさらに減っていきます。1回の排卵で1個の原子卵胞が失われるわけではなく、10~15歳で思春期を迎えてから、51~52歳で閉経するまでの間にどんどん数が減っていき、原子卵胞が「ゼロ」になった時点で閉経するのです。

この、原子卵胞が減っていくスピードを「遅らせる」ことはできません。予定より早く原子卵胞が減ってしまうことはあります。原因としては、元々持っている染色体異常・抗がん剤や放射線治療の影響・卵巣の手術の影響・喫煙などの生活習慣の影響などが考えられます。

 

年齢を重ねるごとに卵子は劣化し、妊娠率低下や流産率しやすく

卵子は胎児期に作られたら減っていく一方であり、新しく作り変えられることはありません。つまり、生まれた時が最も卵子がフレッシュな状態であり、その後は年齢を重ねるごとに卵子そのものが劣化していくのです。つまり、年齢が上がるにつれて、卵子が妊娠には適さない状態になったり、卵子に起きる染色体異常の率が上がります。このため、年齢的要因で妊娠率が低下したり、流産率が上がることになるのです。

一方、精子はだいたい3日に1回くらいのペースで新しく作り変えられています。精子の状態も、年齢的影響を全く受けないわけではありませんが、卵子が年齢とともに古くなってしまうのに対して、精子は常にフレッシュな状態を保ちやすいといえます。

 

AMH(アンチミュラリアンホルモン)の検査で原子卵胞の大体の数を予測

この、原子卵胞の数が、現時点でどのくらいあるのかを予測できる検査がAMH(アンチミュラリアンホルモン)の検査です。AMHは、小さな卵胞から排卵の準備をするために中くらいまで育ちかかった卵胞から出るホルモンです。このホルモンの値が年齢相応なら、卵子のストックが年齢相応にあると予測できます。

ただ、数値が高ければよいというものでもなく、年齢の基準値よりも極端に高い場合は、多のう胞性卵巣症候群などの別の異常がある可能性が考えられます。また、AMHが高いからと言って「まだまだ妊娠できる保証」にはなりません。あくまで、卵子のストックがどのくらいなのかが分かるだけで、排卵した卵子が妊娠に適した「質」なのかどうかはわからないからです。
AMHが低い場合

AMHが低くて妊娠を希望している場合は、早期に体外受精も視野に入れて不妊治療を開始した方がよい

一つ言えることは、AMHの数値が年齢の基準値より低かった場合は、予定より早くストックがなくなる、つまり通常より早く閉経してしまう可能性があるということです。そのため、AMHが低くて妊娠を希望している場合は、タイミング法でのんびり様子を見るのではなく、早期に体外受精も視野に入れて不妊治療を開始した方がよいといえます。

AMHの検査自体は、保険がききませんので自費の検査になります。料金は病院によって異なりますが、1万円前後のところが多いでしょう。若いころから月経周期が長い&月経量が少ない・卵巣の手術や抗がん剤などの治療を受けたことがある・妊活開始時期を今より遅らせようか迷っている、といった場合は、AMHの値を参考に「いつ、どのように」妊娠を目指すのかを考えた方がよいでしょう。


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