お金の悩みを解決!マネープランクリニック/子どもが3人以上いる人のお金の悩み

32歳子ども3人、貯金は120万円。夫の適正な小遣い額に悩んでいます(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、5年後に住宅購入を希望している30代の主婦の方。ただし、生活の楽しみを削ってまで、貯めることはできないともいいます。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 借入額は返済可能額から割り出す

5年後にマイホームを購入した場合、物件価格はどのくらいが無理なく買える範囲なのか、まずはそこを考えてみます。
 
毎月の貯蓄ペースは現在、14万~15万円ですから、年間頑張って180万円とします。5年間で900万円となりますから、今ある貯蓄と合わせて1020万円。お子さんが3人、しかも、5年後でも上のお子さんがまだ9歳ということを考えると、少なくとも300万円は手元に残したい。住宅購入の諸費用として100万円、頭金に600万円を入れます。

次に借入額ですが、返済可能ということが大前提。購入時、ご主人の年齢が39歳ですから、返済期間は延ばしても25年程度でしょう。また、返済額は家賃と同等か、家計の貯蓄率が高いので、1万~2万円のオーバーは許容範囲と考えます。結果、金利1.5%、全期間固定で2400万円借り入れると、毎月の返済額は約9万6000円。つまり、購入可能な物件価格は、先の頭金と合算して3000万円がひとつの目安になるかと思います。
 
おそらく実際に購入する際は、営業担当者から「もっと借りられます」と言われるはず。今後、5万円の昇給があるというなら、なおさらです。確かにあと1000万円、借入額を上積みしても、毎月の返済額は13万6000円。これでも家計はそれなりに貯蓄ができます。しかし、教育資金が思うようには準備できません。老後資金も同様。「返済可能」とは、それら資金も用意した上で返済できるということ。したがって、現状では、借入額の上限は2400万円と考えてください。
 

アドバイス2 老後資金の不足分は長く働くことでカバー

仮に、2400万円借り入れて、一戸建てを購入したとします。住宅ローンの支払いが家賃より月1万5000円アップ。他に住宅のランニングコストとして、固定資産税と、将来の修繕・リフォーム費用。これらを月割りで加算すれば、住宅コスト全体としては、実質で月額4万~5万円のアップと考えるべき。つまりは、昇給分は新たな住宅コストで消えるとも言えます。
 
また、お子さんの成長にしたがって、教育費はもとより、生活費全般で今よりは確実にアップします。また、現在月4万円の児童手当も、その支給はお子さん15歳まで。それでも、住宅購入後、少なくとも月10万円、年間120万円の貯蓄ペースはキープしたい。ご主人60歳までそれが維持できれば、貯蓄が2500万円ほどできますから、住宅購入後に残った手持ち資金と合わせて、2800万円となります。
 
教育費については高校までは公立とし、かかる費用は何とか家計から捻出する。大学費用は私立文系とすれば、3人分で1200万円。また、60歳までにクルマの買い替えが少なくとも2回はあるでしょう。これを差し引くと、実際に60歳の時点で手元に残る資金は1300万~1400万円。これがいわゆる老後資金となります。
 
これで老後資金が足りるかどうかは、まだ不確定要素が多く、明確には言えません。ただし、統計的に言えば、老後の生活費が公的年金だけでは不足する額は、平均で5万円程度。65歳~90歳の25年間で1500万円。これに予備費も必要ですから、1300万~1400万円はやや心許ないということになります。
 
対策としては、家計管理はもちろんですが、少しでも長く働くということ。60歳以降も働くのは当然として、元気なら70歳まで、いやそれ以降も働くという意識が必要ですし、それが有効な老後対策でもあります。したがって、月10万円の貯蓄ペースが継続できれば、長く働くことで、老後資金も用意できるとも言えるでしょう。
 

アドバイス3 ストレスがたまる家計管理は続かない

住宅資金の貯め方ですが、生活を犠牲にせず、楽しむことを削りたくはないとのこと。いいと思います。ののさんが言われるように、ストレスになっていくような節約の仕方や貯蓄の方法は、結果的に長続きしません。ただし、突発的あるいは無計画な使い方は避けること。予算を組んでその範囲で楽しむよう心掛けてください。
 
ただし、お子さんが高校から私立に通うということになると、それなりに犠牲、我慢も必要でしょう。例えば、貯蓄を月12万円、年間144万円とすれば、60歳までに貯められる貯蓄額が500万円アップします。そうやって貯蓄ペースを上げる=家計を見直すことで、準備する資金を底上げしていくことが対処法になります。
 
保険は上手に加入されています。共済や収入保障保険など、貯蓄性ではなくあくまで保障優先で選んでいる点が合理的。コストは極力抑え、必要な保障は確保している。一方、学資保険は加入していません。教育費は何も保険商品で準備しなくてもいいのですが、そのかわり、しっかり計画性を持って目標額を準備することが、より重要になってきます。
 
最後に、ご主人のお小遣いについて。金額が適正かどうかですが、昼食込みでも決して少なくはないですが、許容範囲だと思います。昇給後の5000円アップも、言われるとおりモチベーションになるでしょうから、されてはどうでしょう。
 

相談者「のの」さんから寄せられた感想

住宅購入の借入額、自分の中で漠然としていて、もう少し借りても大丈夫だと思っていました。
今後の教育費、老後資金をふまえた上での金額の目安が分かり、物件選びは気が大きくならないよう慎重にしたいと思います。また頭金の準備の為にも貯金を確実にしていきたいと思いました。保険の保障額が足りているかの不安も大丈夫だと言っていただき安心できました。夫のお小遣いについても多いのではないかなと思っていましたがアップしようと思います。家族が気持ち良く暮らしていけるように、家計をガチガチにしすぎず、散財せず、頑張っていきたいと思います。いつも読んでいたマネープランクリニックに自分の家計診断していただき嬉しかったです。ありがとうございました。


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
   
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など


取材・文/清水京武
 

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