楽しみを削らず貯蓄に励むにはどうすれば……?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、5年後に住宅購入を希望している30代の主婦の方。ただし、生活の楽しみを削ってまで、貯めることはできないともいいます。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

 
生活の楽しみを削らずに貯金を増やすためには

生活の楽しみを削らずに貯金を増やすためには





■相談者
ののさん(仮名)
女性/パート/32歳
関東/賃貸住宅
 
■家族構成
夫(会社員/34歳)、子ども(4歳・2歳・0歳)
 
■相談内容
5年後くらいにマイホーム購入を考えています。できる限り貯蓄をして、頭金を貯めたいと思っています。今の生活を大切にし、楽しみながらどの程度貯蓄をするのが適当かアドバイスが欲しい。夫のお小遣いについては、現在適当かどうか。また、5万円の昇給予定がありますが、モチベーションのために、その都度あげていくべきかどうか?保険について、保障が足りているかどうか?よろしくお願いいたします。
 
■家計収支データ
 
相談者「のの」さんの家計収支データ

相談者「のの」さんの家計収支データ



 
■家計収支データ補足
(1)ボーナスの使い途(昨年例)
ふるさと納税/6万円、夏休み用/5万円、他は家電、寝具等。貯蓄はゼロ
 
(2)雑費について
美容院代5000円、医療費5000円、誕生日等イベント1万円、夫のスーツ代積立5000円、他に家族の被服代、おむつ代、養父の入院にともなう雑費など
                           
(3)住宅購入について
希望は一戸建て、できれば新築がいいが無理なら中古も可。想定している物件価格は3000万~4000万円。
 
(4)加入保険について
・夫/共済保険(病気死亡保障400万円、入院4500円)=毎月の保険料2000円
・夫/収入保障保険(保険期間60歳まで、死亡保障・月10万円)=毎月の保険料3000円
・夫/がん保険=毎月の保険料1200円
・妻/共済保険(病気死亡保障400万円、入院4500円)=毎月の保険料2000円
・妻/がん保険=毎月の保険料1200円
 
(5)生活の楽しみについて
相談者コメント「 夫は浪費家で、休日用の娯楽費を使い切ってしまっていても、小さな子どもがいてどこにも出かけないでいるのはストレスがたまって嫌なようで、貯金を使って出掛けようと言い出すことが毎月のようにあります。貯金も大事だけど、今の生活にストレスをためたくないと。私も平日ワンオペ育児状態で、やはりストレスがたまっているので、お金のことを気にしないで遊びに行きたい気持ちも分かります。貯金を減らし、娯楽費を増やすべきか悩んでいます」
 
(6)昇給について
昇給は今年4月の予定。無理にとは言わないが、できれば5000円アップを希望しているとのこと。ちなみに現在の小遣いは昼食代込み。
 
(7)定年と退職金について
勤務先がまだ新しい会社のため、定年制度そのものが明確ではないが、現時点で60歳以上の社員がいることを考えると、60歳以降も勤務できるのでは、とのこと。退職金制度も不明。
 
(8)今後の保育園費用について
真ん中の子は1万5000円、一番下の子は0円(第三子以降は無料)
 
(9)子どもの進路について
親としては中学、高校とも公立希望。でも本人が私立を希望したら進学させてやりたい。
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 借入額は返済可能額から割り出す
アドバイス2 老後資金の不足分は長く働くことでカバー
アドバイス3 ストレスがたまる家計管理は続かない
 

アドバイス1 借入額は返済可能額から割り出す

5年後にマイホームを購入した場合、物件価格はどのくらいが無理なく買える範囲なのか、まずはそこを考えてみます。
 
毎月の貯蓄ペースは現在、14万~15万円ですから、年間頑張って180万円とします。5年間で900万円となりますから、今ある貯蓄と合わせて1020万円。お子さんが3人、しかも、5年後でも上のお子さんがまだ9歳ということを考えると、少なくとも300万円は手元に残したい。住宅購入の諸費用として100万円、頭金に600万円を入れます。

次に借入額ですが、返済可能ということが大前提。購入時、ご主人の年齢が39歳ですから、返済期間は延ばしても25年程度でしょう。また、返済額は家賃と同等か、家計の貯蓄率が高いので、1万~2万円のオーバーは許容範囲と考えます。結果、金利1.5%、全期間固定で2400万円借り入れると、毎月の返済額は約9万6000円。つまり、購入可能な物件価格は、先の頭金と合算して3000万円がひとつの目安になるかと思います。
 
おそらく実際に購入する際は、営業担当者から「もっと借りられます」と言われるはず。今後、5万円の昇給があるというなら、なおさらです。確かにあと1000万円、借入額を上積みしても、毎月の返済額は13万6000円。これでも家計はそれなりに貯蓄ができます。しかし、教育資金が思うようには準備できません。老後資金も同様。「返済可能」とは、それら資金も用意した上で返済できるということ。したがって、現状では、借入額の上限は2400万円と考えてください。
 

アドバイス2 老後資金の不足分は長く働くことでカバー

仮に、2400万円借り入れて、一戸建てを購入したとします。住宅ローンの支払いが家賃より月1万5000円アップ。他に住宅のランニングコストとして、固定資産税と、将来の修繕・リフォーム費用。これらを月割りで加算すれば、住宅コスト全体としては、実質で月額4万~5万円のアップと考えるべき。つまりは、昇給分は新たな住宅コストで消えるとも言えます。
 
また、お子さんの成長にしたがって、教育費はもとより、生活費全般で今よりは確実にアップします。また、現在月4万円の児童手当も、その支給はお子さん15歳まで。それでも、住宅購入後、少なくとも月10万円、年間120万円の貯蓄ペースはキープしたい。ご主人60歳までそれが維持できれば、貯蓄が2500万円ほどできますから、住宅購入後に残った手持ち資金と合わせて、2800万円となります。
 
教育費については高校までは公立とし、かかる費用は何とか家計から捻出する。大学費用は私立文系とすれば、3人分で1200万円。また、60歳までにクルマの買い替えが少なくとも2回はあるでしょう。これを差し引くと、実際に60歳の時点で手元に残る資金は1300万~1400万円。これがいわゆる老後資金となります。
 
これで老後資金が足りるかどうかは、まだ不確定要素が多く、明確には言えません。ただし、統計的に言えば、老後の生活費が公的年金だけでは不足する額は、平均で5万円程度。65歳~90歳の25年間で1500万円。これに予備費も必要ですから、1300万~1400万円はやや心許ないということになります。
 
対策としては、家計管理はもちろんですが、少しでも長く働くということ。60歳以降も働くのは当然として、元気なら70歳まで、いやそれ以降も働くという意識が必要ですし、それが有効な老後対策でもあります。したがって、月10万円の貯蓄ペースが継続できれば、長く働くことで、老後資金も用意できるとも言えるでしょう。
 

アドバイス3 ストレスがたまる家計管理は続かない

住宅資金の貯め方ですが、生活を犠牲にせず、楽しむことを削りたくはないとのこと。いいと思います。ののさんが言われるように、ストレスになっていくような節約の仕方や貯蓄の方法は、結果的に長続きしません。ただし、突発的あるいは無計画な使い方は避けること。予算を組んでその範囲で楽しむよう心掛けてください。
 
ただし、お子さんが高校から私立に通うということになると、それなりに犠牲、我慢も必要でしょう。例えば、貯蓄を月12万円、年間144万円とすれば、60歳までに貯められる貯蓄額が500万円アップします。そうやって貯蓄ペースを上げる=家計を見直すことで、準備する資金を底上げしていくことが対処法になります。
 
保険は上手に加入されています。共済や収入保障保険など、貯蓄性ではなくあくまで保障優先で選んでいる点が合理的。コストは極力抑え、必要な保障は確保している。一方、学資保険は加入していません。教育費は何も保険商品で準備しなくてもいいのですが、そのかわり、しっかり計画性を持って目標額を準備することが、より重要になってきます。
 
最後に、ご主人のお小遣いについて。金額が適正かどうかですが、昼食込みでも決して少なくはないですが、許容範囲だと思います。昇給後の5000円アップも、言われるとおりモチベーションになるでしょうから、されてはどうでしょう。
 

相談者「のの」さんから寄せられた感想

住宅購入の借入額、自分の中で漠然としていて、もう少し借りても大丈夫だと思っていました。
今後の教育費、老後資金をふまえた上での金額の目安が分かり、物件選びは気が大きくならないよう慎重にしたいと思います。また頭金の準備の為にも貯金を確実にしていきたいと思いました。保険の保障額が足りているかの不安も大丈夫だと言っていただき安心できました。夫のお小遣いについても多いのではないかなと思っていましたがアップしようと思います。家族が気持ち良く暮らしていけるように、家計をガチガチにしすぎず、散財せず、頑張っていきたいと思います。いつも読んでいたマネープランクリニックに自分の家計診断していただき嬉しかったです。ありがとうございました。


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
   
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など


取材・文/清水京武
 

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