アドバイス1 変額保険はできるだけ早く払済保険に
先に保険について触れます。保険料に月7万1000円は、ご相談者のこんこんちきさんご本人も「多いと思う」と言われているとおり、明らかに多いです。とくに気になるのが変額保険。加入している2本のうち、1本はすでに保険料を一括払いされていますので見直しはできませんが、もう1本は保険料が月5万円。ここまで大きく掛ける必要性を感じません。
将来、転職等で減収になる場合、あるいはお子さんの独立に合わせて、この変額保険を払済保険にすることを検討されているようですが、そういったタイミングに関係なく、なるべく早く払済保険にすべきだと考えます。
なぜかと言えば、まず、こんこんちきさんの理由は「自分で投資をするより安心で保障もついている」とのこと。しかし、学資保険など一部の保険を除き、保障は貯蓄や投資とは切り離して考えることが、予定利率の低い今の時代の基本です。保障は必要最小限を割安な掛け捨てタイプで確保して、浮いた資金を貯蓄したり、投資に回す。保険に関わるコストが発生しない分、貯蓄や投資に無駄が出ません。保険商品だと流動性がなくなるのもデメリットです。
また、この変額保険について運用利回り3.5%の場合の解約返戻金が記されていました。単年ならわかりますが、例えば70歳までの34年間、コンスタントにその利回りを維持することは、運用のプロでも相当に難しいと言えるでしょう。
投資ですから当然リスクはつきものですが、すでにいろいろ投資商品を買われています。保険商品を含めなくても、金融資産の61%以上が投資商品(投資口座内の資金も含む)で占めています。母子家庭であること、お子さんがまだ小さいこと、さらに養育費がもしも中断したらというリスクも考慮すると、そもそも投資への比重が高すぎると思います。
アドバイス2 優先すべきは現金を増やすこと
老後資金を考えてみましょう。現在、年間64万円を貯蓄に回していますが、生活費が今と変わらなければ、児童手当の支給が終わって以降、年間12万円貯蓄ペースが落ちてしまいます。さらに養育費の支払いは取り決めではあと15年間で、こんこんちきさんが51歳のとき、毎月の教育費はなくなります(お子さん大学卒業)が、それでも貯蓄ペースは年間20万円程度に落ちてしまいます。結果的に60歳までに増やせる貯金は1100万円くらいです。
もし変額保険を払済保険にして、その保険料、月4万9000円を貯蓄に回せば年間約59万円。60歳まで貯め続ければ1416万円。現金で、かつ確実にこれだけ貯蓄が増えることは、今後のマネープランにおいて大きな強みです。その意味でも、変額保険は見直すべきだと思います。
さらに保険について言えば、お子さんの医療保険も不要です。加えて、こんこんちきさんのがん保険更新に合わせて保険料がアップするのが気になります。終身保障ですから支払いも終身の可能性があります。今後何度かアップがあるとすれば、保険料が一定の保険に切り替えることを検討されてはどうでしょうか。
アドバイス3 クルマの買い替えは現金で
最後に、クルマの買い替えですが、現金で購入してください。資金的に余裕がまだありますから、ローンを組んで金利を払うのは無駄です。そして、ご自身が出す資金分については、貯蓄からではなく、投資商品のうち利益確定できるものを売却して資金をつくることをおススメします。金融資産における投資比率が下がりますし、タイミングの難しい売却を自動的に行えるというメリットもあります。相談者「こんこんちき」さんより寄せられた感想
やはり保険の金額が大きすぎる点、投資に傾倒している点は否めないかと思います。2019年は貯蓄(現金)に重点を置いて、見直しを図っていきたいと思います。ただ、生活費に対してのダメ出し等はなく、安心しました。子どもかわいさに保険はじめ財布の紐を緩めすぎないよう頑張っていきたいと思います。この度はありがとうございました。教えてくれたのは……
深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
取材・文/清水京武
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