クルマの買い替えもありますが、現金で買うべきでしょうか?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、会社員ながら母子家庭でお子さんを育てている36歳の独身女性。クルマの買い替えに際して、ローンを組むかどうか検討中。あわせて保険も心配とのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

 
保険や車の買い替えなどについて悩む

保険やクルマの買い替えなどについて悩む



■相談者
こんこんちきさん(仮名)
女性/会社員/36歳
中部/実家
 
■家族構成
子ども(7歳)、父(無職/60代)
 
■相談内容
母子家庭ですが仕事での月給手取20万円、養育費6万円、児童手当1万円をいただいており、恵まれている方かと思います。半年前に実家に引っ越し、短時間をやめフルタイム復帰で支出を抑え、収入を増やすこともできました。子どもには不自由させたくないので、大学等のお金の備えとして、終身保険(死亡時500万)で私が46歳になるまで255万円(月々1.1万円)払込で、入学時には解約返戻金が約285万円になっている予定です。

また、変額保険(死亡時600万円、77歳満期)約205万円を払込済で、こちらは必要に応じて(大学と言わず、就職や結婚など)解約時期をずらす予定です。ほかにも、私の老後のため変額保険に年払いで約60万円(死亡時1900万円)、あとひととおりの医療・がん・介護保険等もかけています。自分でも保険にお金をかけすぎているような気もするのですが、変額保険は投資だと思っていて、運用の下手な私がするより良いうえ、いざというとき死亡保障があるという点で選びましたので、少なくとも今は信じて任せたいと考えています。自身での投資はNISAを開設し、主に投資信託の積立を月3~5万円くらい(投資口座を元手にしています)と、特定口座で50万円くらいを原資に低位株の取引、たまに信用取引を行っています。

このように、けっこう積極的に投資をして増えてもいるので、少し贅沢したいという気持ちがなきにしもあらず、現在、7年乗っている軽自動車を再来年の車検前には普通車に乗り換えたいです。父も100万円ほど援助してくれるとのことですが、このペースで貯蓄および投資していって、クルマを現金で買ってもよいものでしょうか。ローンは今まで組んだことがありません。クルマを優先するなら、投資ペースを抑えたり一時的に売却してクルマ購入の資金にした方が良いのかなどもアドバイスいただければ幸いです。
 
■家計収支データ
相談者「こんこんちき」さんの家計収支データ

相談者「こんこんちき」さんの家計収支データ



■家計収支データ補足
(1)養育費の期間について
公正証書で大学卒業までと取り決めている。大学院など進路により相談する余地もあり。
 
(2)住宅コスト「3万円」について
実家への「家賃+水道光熱費」として払っている。
 
(3)ボーナスの使いみち(昨年例)
旅行10万円、残り貯蓄
 
(4)加入保険について
・本人/終身保険(46歳払済終了、死亡保障500万円、46歳時の解約返戻金285万円)=毎月の保険料1万1000円
・本人/変額保険1(死亡600万円、77歳満期、46歳で解約して解約返戻金262万円=運用利率3.5%の場合)=払込終了
・本人/変額保険2(終身タイプ、60歳払込み終了、死亡1900万円、70歳時点解約返戻金1293万円=運用利率3.5%の場合)=毎月の保険料5万円
・本人/医療保険(終身保障)=毎月の保険料2834円
・本人/介護保険(保険期間65歳)=毎月の保険料3148円
・本人/がん保険(終身保障)=毎月の保険料2390円(40歳で更新、保険料3350円にアップ)
・子ども/医療(終身保障)=毎月の保険料1221円
 
(5)投資について
相談者コメント「メインは毎月の積立投資信託でその時々で5銘柄くらい、長いもので現在設定中。初期に毎月分配型の投信ばかりを買ってしまい、そのほとんどが収支マイナスになっているので、プラスになった時点、もしくは損切の許容範囲内でポートフォリオを整理中です」
 
(6)クルマの購入について
下取り0円、予算250万円、うち父親から100万円援助予定。
 
(7)教育費について
とくに進路の希望はなし。できれば工業高等専門学校に進んでほしいとのこと。
 
(8)実家について
築35年。水回りはリフォーム済み。相続については他の相続人として兄弟が一人。預金、株式等は1000万円残るかもしれないとのこと。土地家屋は手放す予定。
 
(9)その他ご相談について
相談者コメント「今後給与が大幅に下がるようなら、変額保険2の保障を払済にすることも検討予定です。その点については、子どもが独立するタイミングも一つのきっかけではないかと考えています。こういった保険の見直しのタイミングについては、この考え方でよいでしょうか?」
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 変額保険はできるだけ早く払済保険に
アドバイス2 優先すべきは現金を増やすこと
アドバイス3 クルマの買い替えは現金が望ましい
 

アドバイス1 変額保険はできるだけ早く払済保険に

先に保険について触れます。
保険料に月7万1000円は、ご相談者のこんこんちきさんご本人も「多いと思う」と言われているとおり、明らかに多いです。とくに気になるのが変額保険。加入している2本のうち、1本はすでに保険料を一括払いされていますので見直しはできませんが、もう1本は保険料が月5万円。ここまで大きく掛ける必要性を感じません。

将来、転職等で減収になる場合、あるいはお子さんの独立に合わせて、この変額保険を払済保険にすることを検討されているようですが、そういったタイミングに関係なく、なるべく早く払済保険にすべきだと考えます。

なぜかと言えば、まず、こんこんちきさんの理由は「自分で投資をするより安心で保障もついている」とのこと。しかし、学資保険など一部の保険を除き、保障は貯蓄や投資とは切り離して考えることが、予定利率の低い今の時代の基本です。保障は必要最小限を割安な掛け捨てタイプで確保して、浮いた資金を貯蓄したり、投資に回す。保険に関わるコストが発生しない分、貯蓄や投資に無駄が出ません。保険商品だと流動性がなくなるのもデメリットです。
 
また、この変額保険について運用利回り3.5%の場合の解約返戻金が記されていました。単年ならわかりますが、例えば70歳までの34年間、コンスタントにその利回りを維持することは、運用のプロでも相当に難しいと言えるでしょう。
 
投資ですから当然リスクはつきものですが、すでにいろいろ投資商品を買われています。保険商品を含めなくても、金融資産の61%以上が投資商品(投資口座内の資金も含む)で占めています。母子家庭であること、お子さんがまだ小さいこと、さらに養育費がもしも中断したらというリスクも考慮すると、そもそも投資への比重が高すぎると思います。
 

アドバイス2 優先すべきは現金を増やすこと

老後資金を考えてみましょう。
現在、年間64万円を貯蓄に回していますが、生活費が今と変わらなければ、児童手当の支給が終わって以降、年間12万円貯蓄ペースが落ちてしまいます。さらに養育費の支払いは取り決めではあと15年間で、こんこんちきさんが51歳のとき、毎月の教育費はなくなります(お子さん大学卒業)が、それでも貯蓄ペースは年間20万円程度に落ちてしまいます。結果的に60歳までに増やせる貯金は1100万円くらいです。
 
もし変額保険を払済保険にして、その保険料、月4万9000円を貯蓄に回せば年間約59万円。60歳まで貯め続ければ1416万円。現金で、かつ確実にこれだけ貯蓄が増えることは、今後のマネープランにおいて大きな強みです。その意味でも、変額保険は見直すべきだと思います。
 
さらに保険について言えば、お子さんの医療保険も不要です。加えて、こんこんちきさんのがん保険更新に合わせて保険料がアップするのが気になります。終身保障ですから支払いも終身の可能性があります。今後何度かアップがあるとすれば、保険料が一定の保険に切り替えることを検討されてはどうでしょうか。
 

アドバイス3 クルマの買い替えは現金で

最後に、クルマの買い替えですが、現金で購入してください。資金的に余裕がまだありますから、ローンを組んで金利を払うのは無駄です。そして、ご自身が出す資金分については、貯蓄からではなく、投資商品のうち利益確定できるものを売却して資金をつくることをおススメします。金融資産における投資比率が下がりますし、タイミングの難しい売却を自動的に行えるというメリットもあります。
 

相談者「こんこんちき」さんより寄せられた感想

やはり保険の金額が大きすぎる点、投資に傾倒している点は否めないかと思います。2019年は貯蓄(現金)に重点を置いて、見直しを図っていきたいと思います。ただ、生活費に対してのダメ出し等はなく、安心しました。子どもかわいさに保険はじめ財布の紐を緩めすぎないよう頑張っていきたいと思います。この度はありがとうございました。

教えてくれたのは……
深野 康彦さん
   
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など


取材・文/清水京武


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