確定申告/確定申告の基礎知識

2019年の確定申告が手軽に!「IDとパスワード」方式のやり方って?

マイナンバーカードがなくても、IDとパスワードを税務署で発行すれば、スマホで確定申告できるようになりました。では、実際のどのような手順を踏んで申告していけばいいのでしょうか。パソコンで申告する場合とスマホで申告する場合の注意点も解説します。

田中 卓也

執筆者:田中 卓也

税金ガイド

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2019年3月期確定申告からのトピックといえば、「スマホで確定申告」できることになったことではないでしょうか。実際の方法としては、IDとパスワードを税務署で発行してもらい(詳細は後述)、確定申告書を作成し、e-Taxで送信する方法のツールのひとつにスマホが加わったことから「スマホで確定申告」できる、ということが広められた、というのが現状ではないでしょうか。したがって、ここでは「IDとパスワードで確定申告」をするときの基本から話を整理していきたいと考えます。
   

「IDとパスワード」方式で確定申告するときの基本

従来、e-Taxで確定申告を完了させるには、下記のイメージ図のように
平成31年1月以降のe-Tax利用のイメージ図 (出典:国税庁)

平成31年1月以降のe-Tax利用のイメージ図 (出典:国税庁)

  • マイナンバーカードの取得(通知カードでは不可)
  • e-Taxの開始届出書の提出
  • e-TaxのIDとパスワードの受領
  • e-Taxで申告書を作成し送信
することがもとめられたため、申告時に準備するものとして
 
  1. マイナンバーカード
  2. ICカードリーダライタ
  3. e-TaxのIDとパスワード
の3点が必要でした。
 
したがって、新たにe-Taxで確定申告を完了させるとなると、通知カードをマイナンバーカードに替え、ICカードリーダライタを購入しなければならないため、「たまたま今年は医療費控除があった」とか「たまたま今年はふるさと納税を行った」という場合には、とりたて、e-Taxで申告書を作成し送信するメリットをあまり感じなかったのは事実でしょう。
 
そこで、マイナンバーカードやICカードリーダライタがなくても、e-Taxで申告書を作成し送信できる選択肢を増やした、その方法が「IDとパスワードで確定申告」できることと理解しておくといいでしょう。
 

IDとパスワードで確定申告、まずは「ID・パスワード方式の届出完了通知」から

ID・パスワード方式を利用するには、税務署等で職員と対面による本人確認を行った後に発行された、「ID・パスワード方式の届出完了通知」が必要となります。本人確認をするために、運転免許証などの本人が確認できる書類をお持ちの上、一度は自宅や勤務先の近くの税務署(管轄でなくてもOK)に行くことになります。なお、「ID・パスワード方式の届出完了通知」とは下記のような書類です。
 
「ID・パスワード方式の届出完了通知」の見本 (出典:国税庁)

「ID・パスワード方式の届出完了通知」の見本 (出典:国税庁)

平成30年1月以降、確定申告会場などで既に受け取られた方もいるということですので、お手元の申告書の控えなどをご確認ください。
 

パソコンやスマホ等の利用環境の確認をしよう

確定申告書等作成コーナーで作成した申告書などのデータをe-Taxで送信するには、お使いのパソコンまたはスマートフォン等の利用環境が、以下の推奨環境を満たす必要があります。
 
ID・パスワード方式で申告書を作成する場合のパソコンの推奨環境 (出典:国税庁)

ID・パスワード方式で申告書を作成する場合のパソコンの推奨環境 (出典:国税庁)

 
ID・パスワード方式で申告書を作成する場合のスマートフォンの推奨環境 (出典:国税庁)

ID・パスワード方式で申告書を作成する場合のスマートフォンの推奨環境 (出典:国税庁)


 
実際、私も自身のスマホでここに推奨されている以外の組みあわせで国税庁ホームページの「確定申告書作成コーナー」にアクセスしようとしたところ、警告画面が表示された経験があります。

特に運用初年度ということもあり、推奨環境の確認は重要です。
 

スマホで確定申告の方法と画面とは

このマイナンバーカード方式でもID・パスワード方式でも、あとは国税庁「確定申告書作成コーナー」の画面にしたがって入力していくだけなのですが、ID・パスワード方式でスマホで確定申告書を作成する場合に、対応できる確定申告パターンが限られていますので、ご注意ください。
 
スマホで確定申告する場合の入力画面 抜粋 (出典:国税庁資料より)

スマホで確定申告する場合の入力画面 抜粋 (出典:国税庁資料より)
 

スマホは源泉徴収票と医療費控除、ふるさと納税等の寄附金控除にしか対応してない

上記が実際にID・パスワード方式を利用し、スマホで確定申告書を作成する場合の入力画面なのですが、源泉徴収票と医療費控除、ふるさと納税等の寄附金控除にしか対応してないことがわかります。
ということは
  • 不動産所得や事業所得がある
  • 株の取引やFXの取引がある
  • 保険の満期金をうけとった
  • 仮想通貨で申告しなければいけない取引がある
  • メルカリ等を営利目的で利用した
  • YouTube等でのアフリエイト収入がある
といった場合では「スマホで確定申告」の対象外となります。
 
もちろん、2019年3月期申告が「スマホで確定申告」の初年度対応ですので、今後、申告できるパターンが増えていく可能性はありますし、民間会社がスマホアプリなどで対応幅を増やしているケースはありますが、「確定申告書作成コーナー」で作成できる確定申告書のすべての申告パターンに対応しているとは限らないということです。
 
いずれにせよ従来からある
  • 手書きで申告書を作成し、税務署へ持参・郵送
  • 「確定申告書作成コーナー」を作成し、税務署へ持参・郵送
するほかに、e-Taxで申告書を作成し送信するパターンが
  • マイナンバーカード方式でパソコンで作成・送信
  • ID・パスワード方式でパソコンで作成・送信
  • ID・パスワード方式でスマホで作成・送信
というように5通りにもなったので、ご自身の申告パターンと確定申告の頻度、パソコンやスマホの操作の習熟度などから決めればいいのではないでしょうか。

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