国も決算をしている!
個人で商売をしている人や会社経営をしている人などは、最低でも年に1回は決算、確定申告を行っていると思います。決算とは、一定の期間(個人の場合は、1月1日から12月31日、法人の場合は、会計期間)の収入と支出を計算して、利益や損失つまり赤字などを算出することです。実は、国も決算をしています。
国や地方公共団体の場合、一会計年度(4月1日から翌年3月31日)における一切の収入(歳入といいます)と一切の支出(歳出といいます)を計算し、公表しています。
国の歳入にはどんなものがあるの?
財務省発表の平成29年度決算(一般会計)における歳入のイメージは以下のようになっています。(財務省HP『平成29年度 歳入・歳出の概要』より)
1.租税及び印紙収入 約58.8兆円 (56.7%)
2. 公債金収入 約33.6兆円 (32.4%)
3. 税外収入 約 6.1兆円 (5.8%)
4. 前年度剰余金等 約 5.2兆円 (5.1%)
合計 約103.7兆円 (100%)
国の収入(一般会計)のうち、租税等による収入(租税及び印紙収入)の占める割合は、60%に満たないことになっており、不足分は国債の発行などにより、補っています。
租税等による収入の内訳は?
平成29年度決算(一般会計)における租税等による収入のイメージは以下のようになっています。1.所得税 18.9兆円 (32.1%)
2.消費税 17.5兆円 (29.8%)
3.法人税 12.0兆円 (20.4%)
4.相続税 2.3兆円 ( 3.9%)
5.その他 8.1兆円 (13.8%)
合計 58.8兆円 (100%)
租税等による収入のうち、所得税と消費税がそれぞれ約30%、法人税が約20%を占めています。所得税と消費税と法人税で80%以上を占めています。
相続税は4%程度です。意外に少ないと感じる人も多いのではないでしょうか。
国の歳出にはどんなものがあるの?
平成29年度決算(一般会計)における歳出等のイメージは以下のようになっています。1.社会保障関連費 約32.5兆円 (31.3%)
2.国債費 約22.5兆円 (21.7%)
3.地方交付税交付金等 約15.6兆円 (15.0%)
4.公共事業関連費 約6.9兆円 (6.7%)
5.文教及び科学振興費 約5.7兆円 (5.5%)
6.防衛関係費 約5.3兆円 (5.1%)
7.その他(剰余金含む) 約15.2兆円 (14.7%)
合計 約103.7兆円 (100%)
社会保障関連費は、年金や医療などの給付費が含まれており、年金給付費は11.5兆円、医療給付費11.4兆円で、あわせて22.9兆円となっています。歳出等に占める割合は、約22%となっており、年々負担が増えていることが社会問題となっています。
地方交付税交付金等は、主に、国から県や市などの地方公共団体へ支出しているものとなります。これは、地方公共団体側からすると、歳入ということになります。
公共事業関連費には、道路整備1.5兆円や公園水道廃棄物処理等1.7兆円、住宅都市環境整備0.5兆円などが含まれています。道路に整備や維持など、社会生活に欠かせない支出となっています。
住民税等は?
では、住民税等はどのようになっているのでしょうか。都道府県や市町村によりことなりますが、東京都の場合を見てみましょう。(東京都会計管理局HPの平成29年度一般会計・特別会計歳入歳出決算等を参照)東京都の平成29年度をみてみますと、都税の収入が約5.3兆円で、東京都の収入の総額に占める割合は75.7%となっています。
都民税(住民税)は、1.8兆円で、うち、個人分は0.9兆円、固定資産税・都市計画税は1.4兆円、事業税は1.1兆円となっています。足し上げると都民税と固定資産税・都市計画税、事業税で約4.3兆円となりますので、都税歳入の約81%を占めています。
一方、主な歳出は、医療政策事業や保健政策事業などの福祉保健費が1兆円を超えています。そのほか、教育費が約0.8兆円、警察・消防費は約0.9兆円、土木費0.4兆円など、地域社会生活に必要な支出が含まれています。
私たちが納めている税金は、原則として、私たちの社会生活に欠かせない費用に充てるために使われています。実際にどのように使われているのか、について知っておくことも大切なのではないでしょうか。