AEBの普及により装着車の保険料は割引に

2016年11月に届出された参考純率の改定は、自動車が前方障害物との衝突を回避するため、または衝突速度を下げるために自動でかけるブレーキであるAEBを導入している車両は割引するという内容でした。改定の背景にはAEBを装着した自動車の開発・普及が進んでいることがありました。2016年では総生産台数に対するAEB装着台数の割合が42.8%となっています(*1)。保険実績でもAEBの装着がある自動車は装着がない自動車に比べリスクが軽減していることが確認されています。
 
また参考純率では、自家用普通・小型乗用車について「型式別料率クラス」を導入しています。自動車ごとの特性やユーザー層に基づくリスクの違いを評価するため、車両構造などで自動車を分類する「型式」(自動車検査証に記載されています)ごとに、その保険事故の実績に応じてクラス分けし保険料を区分しています。型式ごとに適用するクラスは、毎年1月に、実績に基づき「クラス見直し」を行います。適用したクラスが直近のリスクの実態に見合っていないと判明した場合、リスクが低ければ翌年はクラスを下げ、高ければ上げる仕組みです。もちろんAEBのリスク軽減効果も反映されますが、発売されて間もない車のように実績の蓄積が充分でない型式については、リスク軽減効果の評価が不充分となります。そこで、自家用普通・小型乗用車についての適用は発売後約3年以内の型式に限定し、AEB装着ありの保険料係数を9%割引くことにしたのです。
 
ただ、自家用軽四輪乗用車(軽自動車)は、まだ「型式別料率クラス」が導入されていません。この改定では、軽自動車についても2020年1月1日までに型式別料率クラスを導入することを前提とし、それまでの期間は全ての型式を対象にAEB装着ありの保険料係数を同様に割引くこととしました。
 
参考:損害保険料率算出機構「【自動車保険】参考純率改定のご案内」(2016年11月24日金融庁長官への届出、2016年12月9日適合性審査結果通知受領)
*1:出所:国土交通省「ASV技術普及状況調査」(2018年10月時点での公表数)

 

「自動ブレーキ(ASV)割引」の導入と適用タイミング

それでは、実際の各保険会社の対応を確認してみましょう。2018年から各保険会社はAEBが装着されている車の保険料割引の名称を「自動ブレーキ(ASV)割引」などとして導入を開始していますが、1月導入の保険会社もあれば、4月や7月導入もあるなど、時期にバラつきがありました。そのため、2018年に割引の対象となる車の保険契約更新、あるいは新規契約をした人でも、導入される前に始期日(補償の開始日)がある場合はまだ割引が適用されていないことになります。

長期契約の場合は契約の各年度における始期日の応当日(例えば、2018年3月1日を始期日として3年契約をした人は、契約2年目の始期日の応当日は2019年3月1日)で適用を判断される保険会社が多いようです。ただし、「ASV割引の導入以前に始期日がある長期契約については、各保険年度の初日がASV割引導入以降であっても、割引を適用しない」といった規定を設けている保険会社もあるなど、各社の規定に注意が必要です。
 
また、自家用普通・小型乗用車で適用されるのは発売後約3年以内の型式と前述しましたが、詳しく言うと「型式が発売された年度に3を加えた年(暦年)の12月末までの期間」に始期日があり、保険会社の割引導入後であることが適用条件になります。例えば、2016年3月に発売された型式の場合、2015年度の発売となるため2018年の12月末までの始期日で、かつ保険会社の割引導入後であることが条件です。割引率はほとんどの保険会社が9%としていますが、一部の特約や項目は割引が適用されないため、年間保険料がそのまま9%の割引にはならないことは頭に入れておきましょう。
 

軽自動車の「型式別料率クラス」導入は要注意

軽自動車を利用している人にとって間違いなく影響が大きいのは上述した「型式別料率クラス」の導入です。2018年9月届出の参考純率の改定内容が先日公表されました。軽自動車でも、型式間のリスク較差を保険料に反映するために、クラス数を3クラスとして「型式別料率クラス」が導入されます。導入にあわせ、軽自動車の「自動ブレーキ(ASV)割引」も、「全型式」から「発売後約3年以内の型式」のみの適用に変更されます。つまり自家用普通・小型乗用車と同じ適用ルールになります。また、自家用普通・小型乗用車の「型式別料率クラス」については、クラス数を現行の9クラスから17クラスに細分化することも発表されました。
 
今後は所有している軽自動車の型式によってかなり保険料が変わることになりますので、必要に応じ補償内容や保険会社の見直しができるよう、保険会社からの案内などでこの制度の導入を早めに把握しておきましょう。

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