腰痛・膝痛が原因で、スムーズに立ち上がれない悩み
椅子から立ち上がるとき腰が辛い……。スムーズに立ち上がるコツを覚えておきましょう
腰痛や膝痛がある人にとっては負担が大きい、椅子からの立ち上がり動作。腰痛や膝痛の再発や悪化を予防するためにも、なるべく小さな負担で立ち上がりたいものです。
今回は、腰や膝の負担が少なくなる立ち上がり方を、掛け声の意外な効果や、立ち上がり動作が楽になる簡単なトレーニング法を交えてご紹介します。
「よっこらしょ」の掛け声効果
椅子から立ち上がる時、つい口に出てしまうことがある「よっこらしょ!」という掛け声。 老け込んでしまったようなイメージがあり、恥ずかしく思う人もいるかもしれませんが、実際に掛け声をかけた方が立ち上がりやすい効果があります。椅子からの立ち上がる時に掛け声を出すと、腰部や下肢の筋肉が同時に活動するように促すことができ、椅子からお尻を離す際に筋力を高める効果がみられた、という研究結果もあります。腰痛などが辛い時には、必要に応じて上手に掛け声効果を活用してもいいのかもしれません。
ですが、やっぱり掛け声無しで立ち上がりたいという人には、次の方法で立ち上がり動作の負担を減らしてみましょう。
膝痛・腰痛でもスムーズに立ち上がるコツ1. 手をつける台を利用する
椅子から立ち上がる時は、様々な筋肉を使います。どれかひとつの機能が低下しているだけでも動作のバランスが崩れる可能性があり、腰や膝への負担が増してしまいます。お尻が座面から離れるときに腰部への負荷が大きくなったり、重心の移動でスネの筋肉や太ももにある筋肉などに力がかかるために、腰痛や膝痛を感じることがあります。腰部(第4腰椎・第5腰椎)の負荷を調べた研究によると、70cmほどの少し高めの台に手をついて立ち上がると、腰部の負荷軽減につながるようです。台の位置が体の前方、または両側にあって手をつくことができると、効果的であると報告されています。
膝痛・腰痛でもスムーズに立ち上がるコツ2. 太ももを両手で押す動作を取り入れる
椅子に座っている時、背スジを伸ばしたままにするのも筋肉を使うため、ついつい背中を丸めた楽な姿勢になりがちです。背中を丸くしてしまった姿勢から立ち上がる際にもコツがあります。それは、立ち上がる時に太ももに両手をつくことです。
ちょっとした動作ですが、立ち上がり時のスネの筋肉や足関節の負担が減らせ、座面からお尻を離して重心を前方へ移動させやすくなります。座面からお尻が浮いたタイミングで、両手で太ももを押すように力を加えると、さらに立ち上がりやすくなります。
立ち上がりやすくなる筋力アップトレーニング
下半身の安定性を強くするためには、太ももの筋肉強化、腰部、膝関節に関わる筋肉を刺激することが大切です。効果的なトレーニング方法をご紹介します。まずは、両脚の間に柔らかめのボールやクッションを挟んで、膝を軽く屈伸させます。これを5~10回ほど繰り返し動かします(この動作で腰や膝などに痛みを感じる場合は行わないで下さい)。
ふくらはぎの筋力アップに効果! 簡単にできる腓腹筋トレーニング
年齢を重ねると、足関節の安定性に関わるふくらはぎの筋肉のひとつ「腓腹筋(ひふくきん)」の活動が、立ち上がり動作の際にみられなくなる傾向があります。立ち上がりのバランスを崩さず保つためには、腓腹筋の筋力を低下させないことが大切。ゆっくりとカカトを上げてつま先立ちを繰り返すなどのトレーニングも有効です。
■参考
- 『腰部負荷からみた手をつく立ち上がり動作』長澤 夏子・横田 善夫・木村 謙・渡辺 仁史・勝平 純司・ 山本 澄子・牛山 琴美
- 『高這位パターンでの床からの立ち上がり動作時の体幹前傾角度と高這位姿勢での脊柱起立筋の筋活動』丸田 和夫
- 『日常生活動作の生体工学的調査研究』中島 康博・安河内 義明・綿貫 幸宏・武田 秀勝・橋本 伸也・田中 敏明・小島 悟 武田 涼子・伊福部 達・井野 秀一・敦賀 健志
- 『立ち上がり動作 -力学的負荷に着目した動作分析とアライメントー』
- 後藤 淳・高田 毅・末廣 健児
- 『大腿部に手をついて行う円背姿勢の立ち上がり動作の分析』
- 五十嵐 ふみ・大島 広実・我妻 真里・高橋 俊章
- 『かけ声が立ち上がり動作に及ぼす影響』
- 櫻井 佳宏・鈴木 裕子・関場 大樹・廣瀬 悠基 ・南澤 忠儀・神先 秀人